ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2016J1リーグ2ndステージ第3節アビスパ福岡vsFC東京@レベスタ20160713

2016-07-15 18:21:49 | FC東京

なかなか梅雨明けしませんね。そろそろスカッと夏が来て欲しいです。

ポチえもんはひと足お先に夏休みをいただきます。ここ数年は東北をぐるっとドライブしてきましたけど、今年は夏休みを一週間まるまる取れないので断念して、一気に西飛びます。

九州でございます。

いよいよ金曜日に博多祇園山笠の追い山です。

町なかにお尻(^O^)。

追い山は観ることができなかったのですけど、追い山ならしに出会うことができました。おいさー(^_^)/。おいさーはアビスパの試合を観れば聞けるのですけど、ホンモノはもっとリズムが速く、気圧がすごいです。流し山が近づいてくると気圧されてびびっちゃいました。

子どもの流もあって、かわいいです。

東京の三連戦に合わせて、九州旅の前後を合わせて四連戦します。二戦目の今日は九州初戦、ひさびさのレベルファイブスタジアム、福岡でございます。

アビスパは選抜総選挙中。本日のYou'll Never Walk Alone♪

今年の九州は鬼門なのかしら。鳥栖戦に続いて終盤での逆転負けです。

東京は前節と同じ布陣で臨みます。シフトは4-4-2。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは室屋と徳永。ボランチはヨネと拳人。メイヤは右に広貴左に慶悟。2トップはバーンズとムリキです。

福岡は1stステージ最終戦から三連敗中。もちろん2ndステージは勝ち点ゼロです。布陣は日替わりで、打開策を模索している最中でしょう。シフトは4-2-3-1。GKは神山。CBはキム・ヒョヌンと濱田。SBは右に北斗左に亀川。ボランチは三門と富安。WGは右に城後左に金森。トップ下は邦本。1トップは将生です。

東京は成績はともかくチームの内容はかたちができてきていますので、これから先はコンペティティブなレベルに上げて行く工程です。一方の福岡は、残留に向けて勝ち点を取れるかたちを手探りでしょうから、必然、試合をかたち作る実行権は福岡にあります。というわけで当面の興味は、福岡がどんな闘いかたで臨むか、に尽きます。

福岡の選択は、コンサバティブなものでした。もっと割り切ったシンプルなサッカーに徹すると思っていました。なのでかなり意外でした。福岡の生命線はなんと言ってもウェリントンと末吉です。ウェリントンを目標としたロングカウンターが、福岡の絶対的な攻撃パターンと言っていいでしょう。ワンパターンだろうがバレバレだろうが、ウェリントンのコンディションが極上であればJ上位でもそうそう止められるわけではないので、ウェリントンデーの数が残留か降格かを分ける分水嶺だと思っています。

ところが井原さんは、あんな優しい顔をして、どうやらかなり強かなようです。東京は、井原さんが仕掛けた巧妙な罠に時間を追うごとに取り込まれていきます。

福岡は、この状況下において、極めてオーソドックスに綺麗なサッカーを展開します。はじめ10分ほどはラッシュをしかけ東京をフォアチェックで追い込みます。でもこれは最初のブラフ。東京の出方を見るのと、東京のファーストアタックを封じることを意図したものだと思います。

最近の東京はキックオフから本気攻めに出ることが少ないので、福岡の攻撃を受けます。福岡はこれをうけ、Aプランに移行します。福岡は4+4の2ラインを綺麗に敷いた、コレクティブな守備網を作ります。ラインの位置は高めなのですけど、守備網を維持することを優先しますので、フォアチェックを仕掛けることはありません。

福岡は、中盤でトランジションすると、バイタルエリアにポストを当ててサイドに展開します。サイドでは城後と金森が基点になり、SBと邦本が絡んでトライアングルを作ります。短いパスの交換で東京のサイドのゾーンを混乱させ、スペースを作る狙いだと思います。とてもオーソドックスな、スモールゾーンでの局面の勝負を作るポゼッションスタイルです。およそカウンターの要素は感じられません。

福岡はアタッキングサードに入るチャンスメークまではできていました。これは東京が同じくリトリートスタイルだからという理由もあるのですけど、それだけではありません。トップ下に入った邦本の動きが秀逸でした。邦本はバイタルエリアを広範囲に動いて、チャンスメークに絡みます。フリーランニングでスペースメイクするというよりかは、ボールに積極的に絡んでいくことを好むようですね。それを実行できるだけの技術が邦本にはあるようです。ボールさばきもさることながら、ポジショニングが良くて、チャンスの局面を目で追っていると必ず邦本の姿を見かけます。これはおそらく、攻撃ルートが見えているのと、ポジショニングのタイミングがいいからだろうと思います。それにしても、シリアスな状況でも若い選手の成長を考えている井原さんもすごいし、きちんと実力を発揮できる邦本もすごいですね。

ただ福岡は、そこから先、ペナルティエリアに入ることができません。なので、ポゼッションはできているのですけど、シュートにつながりません。全体的に見ると福岡の攻撃は、パスを回しているだけのように見えます。それでもチャレンジする気持ちに欠けているように見えないのは、アタッカーが不発にしろ積極的にゴールに向かい続けるゆえでしょう。

とは言え、そんなアグレッシブな福岡にペナルティエリアにすら入ることを許さない東京の守備は、前節も同様でしたけど、やはり安定感があります。今日はヨネが目立ちました。最近はヨネの広範囲なフォローに慣れてきて、当然のように受け入れてしまっているのですけど、やっぱり稀有なことですね。今日目立った理由はわからないけど、中盤の随所に顔を出し、危険の芽を摘み続けます。今年一緒に組む相棒が次々と代わって、責任感と向上心のあるヨネゆえに先走った感があったけど、拳人と組むようになって、秀人と組むときとはまた違うヨネらしさが出てきているような気がします。

福岡がリトリートした時間帯から、東京がポゼッションを見せます。これまで東京のアタッカー陣は比較的流動的にポジション変更をしてきました。今日は、ポジションを基本的に固定します。バーンズとムリキの独力突破を基軸にしていることには変わりはないのですけど、広貴は室屋を活かす分、幾分右サイドにはる頻度が高い気がします。慶悟は、これまでは中盤サイドでの基点を担っていましたけど、今日はもっと前目で、フィニッシュのひとつ手前の仕事を担っていました。

SBの位置も、前節とは少し違います。前節は自分をして室屋祭りになってしまうほど、アグレッシブなオーバーラップを頻繁に見せていた室屋ですけど、今日は対面の金森と亀川の対応を意識するミッションなのか、なかなか攻撃参加がありません。徳永もアタックは慶悟とムリキにゆだねている印象です。ボランチの積極的な攻撃参加もあまり見られず、ゆえに、攻撃は前4人に偏ることになります。

前半は、なので互いにコンサバティブモードの鍔迫り合いとなります。もちろん隙あらばのアタックの狙いはあるとは思いますけど、コンディションが整っていないのか、そもそも安定した堅い守備網をかいくぐるほどの威力あるアタッカーがいないのか、いや実はブラフなのか、とにかくとても地味な鍔迫り合いが延々続きます。

雨上がりのものすごい湿度のなか、試合内容もモワーとしたまま、前半はスコアレスで終了。

後半頭から井原さんが動きます。三門に代えて末吉を同じくボランチに投入します。ハーフタイムに前半を終え上がってくる選手が、高湿度に参ったという表情をしていたので、前半は互いに省エネサッカーなのかもと思いました。でも、確かにその要素はあったのかもしれませんけど、こと井原さんに関しては、腹に秘策をのんでいたのかもしれません。その第一弾が末吉なのでしょう。福岡は末吉投入とともに、一気にモードを変えてきます。三門と富安のセットだと、三門が下がって富安が前に出る役割分担でした。なので三門がさばき役なのですけど、三門はあまり縦に長いボールを使ってきません。これは作戦だったのだと思います。末吉投入は、三門がよくないというよりかは、モードを変えていくぞという号砲なのだと思います。

福岡の攻撃リズムを作る心臓部たる末吉ですから、福岡は前半のそれとはまったく異なるチームと言っていいくらい、アグレッシブになります。アタッカー陣の動きが縦横無尽になってきます。前半はほぼ消えていた金森が中央、時には右サイドにも顔を出し、局面で数的優位を作ろうとします。城後も前半は右サイドにはっていましたけど、ゴール前で将生とともにフィニッシュに絡もうとするようになります。さらに亀川のオーバーラップの頻度が多くなります。室屋とのマッチアップが室屋vs亀川のシンプルなタイマンになってきて、熱い激突がそれぞれの陣で見られるようになります。

福岡がオープンファイトを臨んできたことを受け、東京はどうするかなと思っていましたら、受けて立とうじゃないとばかりに、東京もオープンファイトに入っていきます。自重していた室屋と徳永が前に出てきます。さらに拳人が前線に顔を出すようになります。攻守の切り替えがはやくなり、ようやく試合が活性化します。ぼくらの鼓動の高まりに応えるように、先制ゴールが生まれます。

50分。室屋のスローインから。ボールを持った広貴が寄せてくる亀川を左手一本のハンドオフで抑えながらカットインして、前方のバーンズにパス。このボールが逸れてバーンズはギリギリ左足で当てます。事件はアクシデンタルな状況で起こる。このボールはさらに濱田の左足もかすめ、ペナルティエリアに転がります。そこに走りこんでいたのは、なんと拳人でした。拳人は神山の様子を見て、右足で流し込みます。福岡0-1東京。

この時点では、先にオープンファイトを仕掛けてきた井原さんにヒロシが逆襲をくらわせるかたちになりました。末吉投入というか、作戦そのものが裏目に出たと思いました。福岡には選択肢がありませんから、オープンファイトを継続します。きちんとデータを見たわけではないのですけど、なんとなく今年の東京は、得点直後の失点や、その逆の失点直後の得点が多いような気がします。得点後の失点については、リードするとリトリートするのですけど、モード切替がスムーズに出来ていないことが理由のような気がします。今日はとても集中していました。例によってリトリートして、危ないシーンもありはしたのですけど、気をつけなければいけない時間帯はなんとか乗り切りました。

ところがそこに落とし穴がありました。観ているこちらもほっと一安心できると思った先制後10分を過ぎた頃、中途半端であいまいなクリアを続けているなかで、危険がヒタヒタとやってきました。

60分。クリア合戦の中盤の空中戦から、まるのクリアを北斗が拾って富安にパス。富安はさらに頭で前方にフリックします。富安にヨネが寄せようとしますけど、中途半端な距離で躊躇します。その背後に城後が入っていました。富安のフリックは城後に収まります。ショートカウンターの成立です。城後はターン。前方では右に将生が流れ、左には邦本がいます。城後は邦本にパス。東京のラインは下がり基調だったので、邦本のマーカーのモリゲもつくのが精一杯。ただ、ラインは揃っていて、邦本が縦を狙うスペースとコースもありません。邦本は右に流れながら上がってきた北斗にパス。フリーの北斗は余裕を持ってルックアップ。ゴール前は邦本と入れ替わって中央に城後がいて拳人がついています。ファアに金森がいて室屋が見てます。東京はニアにまるもいて、3on2の数的優位です。城後は一度ニアに入るフェイク一発で拳人を前に出し、自らはステイ。一緒フリーになります。北斗はこれを見逃しません。城後がフリーなピンポイントにクロスを送ります。拳人が城後の位置を確認するための視線を送った瞬間にクロスが送られてきたため、拳人は反応が遅れます。城後は飛び込んで頭で合わせました。福岡1-1東京。

ホントは試合を落ち着かせたかったヒロシでしょうけど、福岡のオープンファイトに結果的に付き合った流れのまま追いつかれてしまいましたので、計算違いな想いがあったと思います。同点直後のヒロシと井原さんの選択がこの試合のターニングポイントになります。まずヒロシが動きます。慶悟に代えて翔哉を同じく左メイヤに投入します。翔哉自身も、同じオリンピック代表の室屋と亀川だけでなく、選に漏れた拳人、金森、富安がスターターだったし、さらに下の世代の邦本が活躍していたりしたので、出場したくてたまらなかったでしょう。前節は逆に羽生でコンサバティブな選択をしたヒロシも、そんな翔哉に対する想いを抱いたのかもしれません。結果的には、これが裏目に出ます。おそらくは、まずはオープンファイトを受けて立つことを前提に、翔哉に左サイドでどんどん仕掛けさせ、チームとしてのパワーで圧倒しようという意図だと思います。それは大げさなるも、少なくとも翔哉にボールを集めておけば、攻撃の継続性を得られるという算段はあったと思います。

自分を含め、東京サポは概ね賛意を感じたと思うし、一般のファンもオリンピック代表の10番を観られて良いと思ったでしょう。でもただひとり、井原さんだけニヤリとほくそ笑んだと思います。これを見た井原さんがすかさず動きます。いよいよ大エースの登場です。将生に代えてウェリントンを同じくトップに投入します。まさかヒロシはウェリントンの存在を忘れていたとは思いません。ウェリントンが入っても、翔哉を加えた前線4人のポゼッションで勝ると踏んだのだと思います。

ところが井原さんはその上をいきます。そもそも、この布陣が今日の井原さんのベストセットだったのかもしれません。当初から後半勝負の作戦で、ウェリントンを活かすサッカーの威力を増すために、あえて前半はその真逆のようなサッカーを展開したのではないかと思います。あくまでも妄想ですけど、なんという壮大な罠。井原氏、おぬしも悪よの。

さて、ご推察の通り。福岡は一気にウェリントン大作戦に切り替えます。それまで邦本を軸に城後と金森で左右の負荷分散をしていたのが、ウェリントンをめがけたロングフィードからのカウンターに作戦を切り替えます。Bプランの発動です。いやむしろこっちがAプランでしょう。ウェリントン投入とともに攻守の切り替えがさらに増し、しかも試合展開がオープンで分かり易くなりましたから、それまで静かだったレベスタのムードが一気にヒートアップします。好プレーに対するどよめきが反応して、天候不順なミッドウィークのナイトマッチでお客さんの数は少なかったのですけど、そんなこと関係ないほど盛り上がります。やっぱりサッカーは生で、スタジアムで観てほしいと思います。この臨場感はネットやテレビでは感じられないものです。

将生と違って、あえてコンタクトを仕掛けてくるウェリントンに対峙するために、モリゲもまるも緊張感を持ったと思います。とくにウェリントンは意図的なのか分かりませんけど、あえてモリゲを狙います。モリゲもそれに応え、とても激しいマッチアップ、てかもはや相撲が展開されます。この二人の激突を観ているだけでご飯三杯はいけるほど見ごたえがありました。

ヒロシはヤダなあと思ったと思います。あるいはしまったと思ったかも。ウェリントン大作戦によって空中戦になりましたし、福岡の攻撃が縦に長く、はやくなります。こうなるとオープンファイトではあっても、前線でのボール保持にあまり意味がなくなります。実際、翔哉は前目ではほとんどボールを触れません。アタッキングサードでボールを持てないので、仕掛けもできません。

さてヒロシはどうするかなと注目しました。もう一度目には目をで、東京もターゲットマンを置くか、それともウェリントンに出すところを消しに行くか、はたまた攻撃的なムードをいったん収束させるか。

ただ、東京の攻撃そのものは、ウェリントン参入の反動で、こちらも活性化します。福岡が攻守の切り替えを意識しはじめたので、中盤でトランジションがあった時の福岡の守備バランスが少し崩れるようになります。これで、バーンズとムリキが蘇ります。とくにバーンズが鬼神のごとく、福岡の守備陣をバッタバッタとなぎ倒します。バーンズがペナルティエリア近くでしっかりとボールを保持してくれるので、他のアタッカーたちが信頼して仕掛けられます。こうしてもはや互いに後にはひけないオープンファイトが完全に確立されました。

そしてヒロシが動きます。バーンズに代えて相太を同じくトップに投入します。相太をターゲットにして高い位置でボールを持つことで、イニシアチブを握ろうという意図だと思います。ちょっとびっくりしました。バーンズが最高のクオリティを見せていたので、代える選択は意識もしなかったので。外から分からないバーンズのコンディションがあるのかもしれません。慣れない日本の高湿環境ですから、バーンズ自身が意識しなくても、体に負担がかかっているかもしれませんから。いずれにしろ、ヒロシの選択は今度は成功します。右サイドの攻撃が引き続き安定していたので、チャンスボールがゴール前に供給されます。ムリキと相太もこれに応え惜しいシュートを放ちます。いくつかあったビッグチャンスが決まっていたら、今日の結果は真逆になったことでしょう。

これはもう時間の問題かなと思ってワクワクしていたのですけど、確変モードは長く続くものではありません。神山の好セーブに封じられ、時間が経過するとともに、ふっと攻撃の手がゆるみはじめます。

井原さんはどうするかなと思いました。2ndでまだ勝点がないので、ミニマムな成果をとりあえず取りに行くことも選択肢にはあったと思います。ただホームということもありますし、攻められてはいても、ウェリントンが機能していたのでカウンターの可能性は十分に有り得ました。そこで井原さんが動きます。城後に代えて坂田を同じく右WGに投入します。ウェリントンのフォロワーをさらに強化するために、ゴール前のフィニッシャーを兼ねられるチャンスメーカーから、純然たるスピードマンに切り替えます。これでますます福岡の攻撃は縦にはやくなります。攻め立てる東京に対し、福岡がカウンターを狙う構図が出来上がります。

ヒロシのほうもどうするかなと思いました。勝点1で最善とは言えないけど、短期決戦とは言え、ちょっとずつでも積み立てをしておくことは大事かもしれないと思っていました。ヒロシの選択はあくまでも勝利でした。ムリキに代えて遼一を同じくトップに投入します。ターゲットマンを二人にすることで、2トップの威力を増そうという意図だと思います。

どつきあいで興奮する面白い試合になったので、正直言うと白黒決着がついてほしいなと思いました。もちろん東京が勝つことが望ましいけど、ドローはなんとなくもったいない感を感じるだろうなと思いました。なので、ヒロシと井原さんの今日のアグレッシブな選択は、ホントにありがたいと思いました。そして、どつきあいの決着がつきます。

後半アディショナルタイム+1。北斗のシュートを秋元がビッグセーブした直後の末吉の右CK。東京はニアに相太と徳永のストーン二枚。福岡はゴールエリアに坂田を一枚入れて、室屋が見ます。福岡の主力はゴール正面に固まります。濱田、ウェリントン、富安、ヒョヌン。東京は遼一、モリゲ、拳人、まるが見ます。福岡は少し工夫をしてきます。富安がスクリーンのようになってマーカーの拳人を引きつけ、ちょうどウェリントンと濱田を隠すようになります。なので、ウェリントンと濱田のマーカーのモリゲと遼一は付ききれていません。さらにファアからヒョヌンが大外を回ってニアに入っていき、同じく濱田もニアに飛び込み、東京の意識をニアに寄せます。当然フェイク。狙いはいつもウェリントン。末吉は高いロブフィードを、ひとりファアに流れるウェリントンに送ります。モリゲが対応しますけど、反応が遅れたのでウェリントンをフリーで飛ばさせます。ウェリントンはゴール前にフリック。左右に揺さぶられた東京の視線は全員ボールに行ってました。ただボールの落ち処には相太、拳人、徳永がいたので普通なら問題無かったでしょう。ここでまたも意地悪なサッカーの女神さまが顔を見せます。ウェリントンのフリックボールは、東京の誰でもなく、福岡でひとりゴール前に入ってきていた濱田の胸に当たってゴールに吸い込まれます。福岡2-1東京。

東京には残念ながらもういっぱつどつくこぶしがありませんでした。このまま試合終了。福岡2-1東京。

試合の流れを作る決定権を持っていたのは井原さんですし、実際に決定したのも井原さんでした。なんとなく、東京は受けに回った感があります。それそのものが良くないというわけではないですけど、ちょっとまともに張り合い過ぎた感は否めません。もっともその分、面白い試合になったので、それはそれで良っかとも思います。

珍しくどつきあいを望むところとしたヒロシに驚きました。作戦の上でのことだったり、漢ヒロシが一次的に戻ってきたのなら良いけど、焦りがあってそれが現れたのなら、ちょっと心配です。杞憂であってほしいですけど。結果は伴ってないけど、東京内部は今取り組んでいるサッカーに対する信頼は揺らいでないと思います。ただ、ACL崩れで選手が中途半端に飽和しているのも事実です。選手も人間ですから、少なからず危険は伴います。結果が一番の説得力なのだけど、それが叶わないのがもどかしいですね。

福岡にはリベンジの機会がカップ戦であります。次も楽しい試合をして、結果も喜んで帰りたいですね。


2016J1リーグ2ndステージ第2節FC東京vsヴァンフォーレ甲府@味スタ20160709

2016-07-10 20:59:12 | FC東京

雨が望まれる関東地方のカラ梅雨の終盤。まとまった雨かなと思ったら週末に直撃です。

終日雨予報だったのですけど、雨雲のコースがちょっと南に逸れたようで、試合前には雨があがりました。

本日は、恒例のテディベアデーです。まだテディベアデーが国立開催だったころの、たしか最初の年に特別ベアが当たって以来ベアを連れて帰れておらず、今年もダメでした。今年のは結構かわいかったのですけど。

可愛いテディベアデーに合わせたのか、本日はCHEER UP TOKYOが開催されていました。ピンクのTシャツと花飾りが可愛かったですね。なにもがっつり東京グッズで武装しなくても、味スタはひとり一人の表現の場であるべきだと思うので、ぼくらも見習って、もっと可愛く楽しまなくっちゃ。できれば青赤をモチーフにね。

特別なテディベアを観られる幸運な相手チームは、今年は甲府です。われらワールド的には、青赤ダービーであり、ヒロシダービーでもあります。先週はミステルダービーで、ぼくらはミステルの現在地を確認する場でしたけど、今度は立場が変わって、甲府サポがヒロシの現在地を確認できる機会です。本日のYou'll Never Walk Alone♪

モリゲの早々ゴールを守り切って、今年一番のオーガナイズ力を見せつけ、快勝です。

東京サポ的にはもうひとつ重要なイベントがあります。室屋がJ1デビューです。シフトはもはやヒロシ東京のオリジナルということにしましょう。4-4-2です。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは右に室屋左に徳永。ボランチはヨネと拳人。メイヤは右に広貴左に慶悟。2トップはバーンズとムリキです。

甲府は大エースクリスティアーノが柏に復帰する衝撃がありました。プロの世界とは言え、純粋に気の毒です。クリスティアーノが甲府の安心感そのものでしたので、攻撃うんぬんだけでなく、チームとしてどう闘うのか、リビルドを課せられていることでしょう。柏からみというか、新加入のドゥドゥは今日は間に合わず。マルキーニョス・パラナの復帰も検討されているようですけど、これも間に合わず。今日は、そんなこともあってか、オール日本人布陣です。シフトは3-4-2-1。GKは河田。3CHは右からバウル、津田、涼平。ボランチは稲垣と黒木。WBは右に橋爪左に松橋。2シャドウは右に佑昌左に福田。1トップは河本です。

自分はあまり選手にフィーチャーすることはないのですけど、今日はちょっと信条を変えていきたいと思います。試合がはじまるまで気持ちはいつもと変わらなかったのですけど、いきなり室屋のインパクトを受け、ほぼ室屋ばかり観てしまいました。

室屋、かっこいいし、おもしろい!

いちおうなんとなくリオ予選はテレビで観たのですけど、正直よくわかんなかったのです。SBは自分に特異なポジションで、テレビ画面ではもっとも迫力が伝わってこないのです。たぶん、テレビ画面にプレーエリアが収まりきらないのはSBだけなんじゃないかと思います。SBの信条は、縦のプレーエリアの長さですから、テレビではよくわからないのはそのせいでしょう。

SBは素人にもプレーが分かり易い唯一のポジションだと思います。前述の通りフィールドプレイヤーのなかではプレーエリアが限られていますし、1on1の局面で構成されているので、サッカーのなかでは野球的な一面を持っているポジションだと思います。そのあたりが分かり易さの理由なのでしょう。自分はSBの評価は対人強度とプレータイミングだと思います。攻撃時も守備時も対面の選手との局面の勝負を繰り返しますので、対人強度はSBの絶対条件でしょう。近年はサイドアタック基調のチームが増えたというか、ほぼすべてのチームがサイドアタックを基本プランとしていますから、SBには強度だけでなく強度を補完する能力と技術が求められるようになっていると思います。それがプレータイミングです。攻撃の時、俯瞰的にボールの流れを観ていると、SBに居て欲しいポジションとタイミングがぼんやり見えてくるようになります。極端に言うと、SBの位置で攻撃の可能性の濃度が異なってくると言っていいと思います。東京を応援するようになって、数多の新SBのデビュー戦を観てきましたけど、ほとんどの選手がプロのプレータイミングに合わず、チームの攻撃がノッキングする原因となっていました。それほどSBのプレータイミングは難しいのだと思います。

SBは使われるプレイヤーのイメージが強いですけど、むしろ使う側を上手く使うことで自らを活かす性質を持っていると思います。SBのポジションがチームの重心を上げ下げしたり、対人プレーが安定感とメンタリティーをもたらすような気がするからです。なので、SBはとてもインテリジェンスを必要とするポジションだと思います。プレーがシンプルだからこそ、いっそう考えてプレーすることの重要性が増すのだろうと思います。

さて、室屋のプレーを観てまず衝撃を受けたのは、はじめてプレーする選手という印象をまったく受けないことに気付いたことです。対人強度については、東京が試合をほぼ完全にオーガナイズしていたので、よりクリティカルなシーンでのプレーを確認する機会が今日はありませんでした。また次の機会の楽しみにしたいと思います。今日の衝撃は、もっぱらプレータイミングです。試合開始早々、右サイドがいつになく滑らかで、かつ攻撃志向になっているなと思って、あらためて観察していると、それは室屋が作っている状況だということが分かりました。まず室屋は、攻撃権を持ったときのポジション移動が極めてはやく、かつアグレッシブな位置取りをします。トランジションしたボールがCBに戻ったなと思ったら、もう室屋はボランチより高く、広貴と絡める位置に上がっています。徳永より2、3mほど高い印象です。加地より高いと思うし、左右の違いはありますけど、宏介よりも高い。東京時代の最後のほうのアモーレに似ているかもしれません。このことの是非は相対的に観ていく必要があって、もちろん高ければ高いほど良いわけですけど、その分リスクを伴いますから、室屋のセルフカバーリングの技術を観てみないことには今日はなんとも言えません。ただ、攻撃時は常に同じようなポジショニングだったので、想像するとセルフカバーに相当な自信があるのだろうなと思います。それを成し得ているのは、スピードと体幹の強さなのではないかと思います。

それから状況察知能力が高そうな気がします。これも攻撃時のことしか確認できなかったのですけど、甲府の守備網の状況を観て、ライン際を上がるかダイアゴナルにゴールを目指すか、瞬時に判断することができるように感じます。スタンドから俯瞰した場合とプレーレベルでは視界が違うので、ほとんどのサイドの選手は、プレーのタイミングと観ているこちらとでタイムラグがあります。でも室屋にはそれがなく、「あ、スペースができた」と思ったら、すでに初動を開始しているのです。俯瞰的な立場のこちらよりはやく状況を察知できるのって、どんな視野を持っているのか室屋を素材に実験してみてほしいほどです。このことはエンターテイメントとしてのプロサッカーにとっても重要な要素だと思います。なぜならば、室屋のプレーは、リズムが良いので小気味良く、観ていて気持ちがいいのです。なおかつアグレッシブなので、爽快感すら感じます。

さらには、室屋はたぶんにファイター気質のようです。東京にはかねてより根っからのファイターという存在がいなくて、スマートな印象が強いチームです。モリゲですらプレーに優しさや人間的な柔らかさを感じることがあります。東京の最終ラインは審判への接し方がそれぞれ個性的です。強面のモリゲを筆頭に、笑顔懐柔派のまる、泣き落としの諒也、大人なネゴシエーターの徳永、最も普通なカズ。室屋はさてさて。モリゲと河本が警告を受けたとき逆サイドから室屋がかけつけていて、てっきり消火に行ったのかと思いきや、火を注いでいる風に見えました。それから、デビュー戦で自らトラブルの火種になる選手を東京ではじめてみました。しかも相手は歴戦のバウル。もしかしたら室屋は、ゴルゴ13のような冷徹さを東京に味付けしてくれる存在なのかもしれません。繰り返しになりますけど、鹿島に脈々と受け継がれるあの凛とした強さが、これからの東京にも必要だと思います。

以上のことはプレー内容に過ぎず、また繰り返すようですけど守備面の確認はできなかったので、珍しく大称賛しますけど、6番のユニに手が伸びるにはもうちょっと時をかけてみたいと思います。室屋自身が満足していないと言っていたのは、おそらくゴールやアシスト、つまり試合の趨勢に直接影響する結果を残せなかったことを悔いているのだと思います。ただ、現在の編成では最も攻撃的な拳人を軽く超える攻撃性と、しかも淀みを感じさせない完成度の高さを持ち合わせていますから、試合に出れば遠からず結果はついてくると思います。SBの流れのなかでのゴールという、東京に待望久しいフィニッシュパターンを室屋はもたらしてくれるかもしれません。

個人的に室屋祭りな試合になったので、今日の戦評はこれで十分かなと思ったのですけど、それでは試合がなんのこっちゃになるので、ちょっとなぞってみます。試合は室屋のアグレッシブネスにひっぱられるかたちで、いきなり動きます。

6分。東京はお得意の、1stステージ最終戦のマリノス戦の相太のゴールと似たかたちです。広貴の右CK。直前にショートコーナーを見せていたのも関係したかもしれません。甲府のストーンは涼平と稲垣の二枚。東京は2オプションです。ゴール前はバーンズがいて松橋が見ます。少し離れ気味に主力艦隊が二列縦陣で構えます。ニア側はゴールに近いところからまると室屋、ファアは拳人とモリゲ。甲府のマッチアップは黒木、バウル、佑昌、津田です。主力艦隊の手前ゴール側に慶悟がいて橋爪が見ています。広貴のキックモーションと同時に東京の主力はニアに室屋と拳人、ファアにまると慶悟が分散します。やや遅れ気味にモリゲが中央に飛び込みます。ただそれだけなのに、モリゲにマッチアップしていた津田が出遅れます。一瞬集中を欠いたのか、視線をモリゲに集中し過ぎていたのか、はたまたモリゲが巧みだったのか、真相は分かりません。いずれ広貴の狙いは中央のモリゲでした。モリゲはどフリーで合わせます。東京1-0甲府。

今日の東京は、今年一番のクオリティを見せます。しばらくシフトと布陣を固定化して取り組んできた成果が、ここに来て一定のかたちになってきていると思います。

サッカーは、いっぽうが守りたい志向をする場合、往々にして守備側が試合の流れの決定権を持ちます。今日の甲府が然り。1stの山中での甲府は、今日よりもよりアグレッシブで、ロングボールを主体にクリスティアーノを基点にすることでラインの裏を狙い続ける脅威を持っていました。ところが今日の甲府は、リビルドの最中ということもあるのか、はたまたオール日本人という編成が成すことなのか、非常にコンサバティブです。甲府の守備モードはふたつ。きわめてオーソドックスです。東京が自陣深くでボールを持つ場合のみアグレッシブなフォアチェックを見せます。ショートカウンター狙いですね。それ以外の場合は、ボールがミッドサードにある場合も、甲府はリトリートし、5+4の守備網を維持することを優先します。

したがって、今日の東京のテーマは甲府の堅い守備網をいかにして崩すかにあります。この時点で、表層的な試合は渋い内容になることは必然でした。東京がとった対策は三つ。まずは中盤を支配することです。甲府は自陣にはった網に東京をひっかけるプランで、当然攻撃の起点は低くなるわけですけど、攻撃方法はビルドアップスタイルを選択します。ここは1stとの違いが顕著で、なぜそのような選択を佐久間さんがしたのか、興味深いところです。いずれ、甲府は中盤に下りてくるシャドウを一次基点にサイドに展開するパターンで臨んだと思います。なので、甲府のビルドアップが成功するか否かは、中盤の構成にあります。今日の東京はここを完全に断ちます。ヨネも拳人も、それからサポートする広貴と慶悟も、中盤のイーブンボールに対する反応がはやく、甲府に中盤の攻撃ルートを作ることを許しません。それよりも特筆すべきは、前線の選手を含め、ボールロストした時のセルフリカバリーが非常に良かったことです。自己責任の現れだと思います。前線と中盤がこれをやってくれるので、甲府がせっかく良いかたちでトランジションしても、カウンターにつなげることができません。守備側の選手にとっては、とても心強かったことでしょう。地味ですけど、こういう自己犠牲のプレーこそ、鹿島のような具体的な強さを身につける素地のような気がします。

東京は中盤を完全に支配しますから、連続攻撃を繰り出すことができます。問題はアタッキングサードにいかにして効果的に入るか、です。甲府の堅城であったとしても、アタッキングサードでスピードもしくはスペースを得られるならば、局地戦に持ち込むことができます。そのための工夫が二つ。ひとつはここ数戦続けている、バーンズとムリキの個のちからを活かしたオラオラアタックです。前節までは、バーンズとムリキがサイドに開き広貴と慶悟がクロスオーバーしてトップに入るかたちを基本としていましたけど、今日は甲府のリトリート対策なのか、少し違う仕組みで臨んでいました。

東京の三つ目の工夫はここにあります。狙いはバイタルエリアです。甲府の癖なのか、あるいは東京の細かい仕掛けの成果なのかは分からずしまいなのですけど、甲府の堅城は、なぜかバイタルエリアにスペースができます。今日の東京は、実質4-2-3-1とも取れる配置をします。前線の4人のポジショニングが流動的ですけど、いずれにせよトップ下に相当する中央のポジションに必ず誰かが入ります。もしかしたら、この流動性とトップ下の配置が、甲府の守備網をしてスペースを作らせたのかもしれません。右は広貴、左は慶悟もしくはムリキ、バーンズがバイタルエリアに顔を出し、そこにポストが納められます。

この中央での基点が安定するため、両サイドの奥のスペースを狙うことができます。そこにタイミングよく、右は室屋、左は徳永、ムリキ、バーンズが入り込み、アタッキングサードでスピードに乗った攻撃ができるようになっていました。

対照的に甲府は、ビルドアップの際オーソドックスに河本にポストを預けますけど、河本はこれをことごとくまるに阻止されます。フィジカルのミスマッチは如何ともしがたく、その分をタイトなコンタクトで補おうとするわけですけど、モリゲとまるの前に、ついに攻城の先陣を切ることはできませんでした。河本は1stの対戦でポスト役として機能していてドローに貢献しましたけど、あの時は右の稲垣と左のクリスティアーノがポストを分担していて、今日のように河本頼みなかたちではありませんでした。とりあえずクリスティアーノ離脱の影響を最も受けているのは河本であることは間違いありません。

こうして甲府は全体を押し上げる基点を失います。このためビルドアップは低重心になります。シャドウがいるにも関わらず裏を狙う動きも見せられないので、いたずらにサイドチェンジを繰り返すばかり。守備網のバランスを崩す意図を含んでいるのですけど、ただボールを横に動かすだけでは効果はありません。気がつけば、甲府はアタッキングサードにすら入れなくなっていました。

こうして前半は、東京の完全なオーガナイズができあがります。やること成すことすべて思惑通りにはまり、安心感が充満していました。前半はリードのまま終了。

甲府の問題点が試合中には対処が難しそうなやっかいさだったので、後半に入っても流れは変わらず、東京がオーガナイズしたままです。なので、期待は東京のゴールに集中します。素晴らしい内容でしたので、はじめてサッカーを観るかたや子どもたちも楽しめて、試合後に爽快な気分で家路についてもらうためには、やっぱりゴールです。大向こうをうならすサッカーは2014年と2015年で十分堪能しました。今日はホントに内容が完璧でしたから、複数点が欲しかったです。

東京はバーンズとムリキの個の突破力を推進力の基本的な源にしています。前半途中から甲府のマンマークがタイトになり、バイタルエリアでバーンズとムリキにダブル、あるいはトリプルチームで対処していました。バーンズとムリキは、それでもかまわずゴリゴリ行けるのですけど、連戦もあってか、今日はなかなか強引さが実を結びません。変わって東京は、サイドに活路を見出します。右は広貴とのタベーラから室屋を走らせ、左は慶悟を基点に徳永がオーバーラップします。そこまでは良いのですが、そこから先のペナルティエリアで、コンビネーションが上手くつながらないなどのミスがあって、有効なプレーができません。終わってみればシュート7本ですから、退屈な試合と取られても仕方ない部分はあると思います。

今日は東京に二度アクシデントが起きます。前節サッカーの女神さまに悪戯された東京ですけど、なんだか目をつけられたのかもしれません。今日も試合の流れに少なからず影響しましたので、何事もなく終わったけど、紙一重だったかもしれません。ヒロシが動きます。広貴に代えて羽生を同じく右メイヤに投入します。オーガナイズしていたので先に動く義理はないですからおや?と思ったのですけど、ベンチに戻った広貴の周りにスタッフが深刻な様子で集まっていましたので、もしかすると広貴の足の状態が良くなかったのかもしれません。右なので羽生というオートマティックな選択かもしれませんけど、翔哉を使わなかったと見れば、時間がまだたっぷり残っていたので、バランスを重視したのでしょう。

ただこれで東京は3mほど重心を下げることになります。このため、あれほど完璧に支配していた中盤でボールを保持できなくなります。ここから甲府に逆襲をくらうようになります。それほどカウンターの驚異もなかったですから、翔哉を選んでいたほうが重心を維持できたかもしれません。

そこで佐久間さんが動きます。佑昌に代えて森を同じく右シャドウに投入します。ビルドアップの基点ではなく、シャドウに縦を狙う要素を加えます。森は積極的にスペースメイクに励みます。これで甲府の攻撃が活性化の兆しを見せはじめます。

さらに佐久間さんが加えます。河本に代えて吉野を同じくトップに投入します。同時に布陣を変更します。福田がボランチに下がり、入れ替わるように稲垣が右シャドウに上がります。森が左シャドウに回ります。ボールが持てる佑昌と福田をシャドウに置いたのは、基点をそこに作る意図だったのでしょうけど機能しなかったので、アグレッシブにスペースを狙えるシャドウに総入れ替えです。さらに、裏を狙える吉野を前線に置くことで、ひたすら縦を見る推進力を作ろうという意図だと思います。

これが奏功します。さらに甲府は、ボランチを縦配列にします。アジリティとスピードのあるアタッカー三人が動き回るのを、中央要の位置で福田がコントロールする図式になります。さらに橋爪と松橋もこれに絡み、終盤に来てようやく甲府の攻撃が活性化します。東京がバランスを意識してリトリートしたことと絡み、東京のオーガナイズから一転、甲府にイニシアチブが渡る展開になります。

さらに女神さまが東京に試練を授けます。アクシデントが起こります。モリゲが足を痛め、一度は戻りますけどすぐに退場します。代わってカズが同じくCBに入ります。二度のアクシデントでヒロシがコンサバティブな対応を強いられるのに対し、佐久間さんは自由かつ大胆にモードチェンジすることができました。試合はここにきて、甲府が押し切るかはたまた東京が粘り切るかという展開になります。

天王山は74分。稲垣のシュートの跳ね返りを森が詰めたシーンでした。秋元が右足一本で弾き返し事なきを得ましたけど、一歩間違えたら、展開から言って鳥栖戦の二の舞も有り得ました。ほんの1シーンのことですけど、もしかしたら2ndステージ全体の流れに影響することかもしれません。少なくとも今日勝点3を積むことができた要因の大きなひとつであることは間違いありません。

佐久間さんが動きます。津田に代えて畑尾を同じくアンカーに投入します。この意図はちょっとよく分かりませんでした。津田のコンディションを考慮したのだろうと思います。それから長いボールが増えることを想定して、畑尾のフィードに期待したのかもしれません。

最後にヒロシが動きます。ムリキに代えて遼一を同じくトップに投入します。重心が下がり過ぎていたので、前線にボールの納め処を作りたかったのだろうと思います。それから遼一は粘り強くチェックをし続けられる選手ですから、甲府のビルドアップを起点から狂わそうという意図も込めていたと思います。

結局、東京がスミイチを守り切り、このまま試合終了。東京1-0甲府。眠らない街♪プロポーズ大作戦♪室屋の初シュワッチ

前節のことがあったので、終盤は正直ヒヤヒヤしました。試合展開も、前半はオーガナイズできるのに、試合が進むにつれて劣勢になっていくことが浦和戦以来続いています。今日と鳥栖戦は不運の要素もあったと思います。ただ、ほかにも何か因果関係というか、東京自身が改善すべきことはあるような気がしますので、まずは課題を明確にすることが必要かもしれません。一見内容がいいので、ちょっと難しいかもしれませんけど。

三連戦の初戦を白星で飾り、ようやく2ndステージがはじまった感覚です。短期間勝負ですから、粘り強くついていけば光明が見える気がします。例年夏場に調子を上げ、秋口とともに急降下します。今年は好調がサステナブルであることを祈って、いよいよ夏本番!。次は福岡へ。


2016J2リーグ2ndステージ第21節ロアッソ熊本vsセレッソ大阪@うまスタ20160703

2016-07-07 23:29:22 | サッカー

ロアッソ熊本が、熊本に帰ってきます。

4月14日の地震発生以来、長い間、本当に長い間余震と被災支援のために、ホームうまかな・よかなスタジアムでの開催が見送られてきました。約3か月ぶりの、うまスタ帰還です。

ロアッソ熊本の選手、スタッフ、サポーター、スポンサーほか、熊本県の皆さん、本当におめでとうございます。

今なお、日常のように余震が続いています。今日も、試合前のイベント時に余震がありました。心身ともご苦労が続いていると思います。ロアッソのサッカーが、熊本の皆さんを勇気付けてくれると思いますし、いつもと変わらないサッカーが身近にある日常が戻ったことを実感できると思います。これから少しずつ、普段の生活を取り戻されることを心から願います。

セレッソ大阪の選手、スタッフ、そしてサポーターの皆さんは、偶然とは言え、まだ余震が続く熊本に来ることに不安を持ったかたもいらっしゃったと思います。それでも、日曜のナイトマッチにも関わらずとても多くのサポーターが熊本にいらしていました。セレッソサポの代表のかたから、ロアッソサポにエールがありました。なによりも、熊本にロアッソが戻ったことをお祝いする気持ちが伝わりました。とても素晴らしいと思います。

少しはやめに博多から熊本へ。熊本城の様子を見に来ました。

震災被害の影響で城内はほとんど閉鎖されているのですけど、最近、加藤神社には入ることができるようになっています。なので、本丸を間近で見られるようです。

路面電車の熊本城・市役所前駅の前から、熊本城に向かいます。

須戸口門の平御櫓です。

その南側の塀。いきなり震災被害を目の当たりにして、言葉がなかったです。

熊本大神宮の奥の石垣です。この上に再建された本丸御殿がありますけど、近寄ることはできません。どうなっているんでしょうね。

五間櫓です。

熊本城の復旧工事の準備のため、落石した石垣が整理されています。

復旧の工程です。

このようにナンバリングされ、保管されています。

棒庵坂から徒歩で加藤神社に入れます。車の場合は北側の新堀橋から入れます。

戌亥櫓の東側の石垣です。

戌亥櫓へと続く、北大手門の西側の石垣。

北大手門の東側の石垣です。

北大手門にバリケードが置いてあります。たぶん、参拝者を石垣の崩落から防ぐ応急措置なのでしょう。

西出丸から入って、加藤神社です。

そして、西出丸から望む、現在最も間近で見られる熊本城本丸です。

実は子供のころから城好きでして、熊本城は長年憧れていました。なかでも宇土櫓はぜひ訪れてみたかったのです。たしかもともと宇土城の天守だったのを熊本城に移設したのだと思うのですけど、子供ながらにすげーと思ったのがきっかけです。

熊本城大天守と小天守です。

がまだせ!熊本。

熊本をはじめ九州は、先月からずっと長雨が続き、地震に続き大雨の被害もありました。週末はその雨もやみ、ようやく晴天が戻るという予報だったのですけど、ちょうど熊本城に来た頃から、なぜか熊本市上空を西南西の方角からほぼ同じコースで雨雲が断続的に通過しはじめ、結局それはキックオフ直前まで続きました。熊本城を見られる範囲でぐるっと回ろうと思っていたのですけど、加藤神社で断念して、熊本駅に引き返すことにしました。

熊本から光の森に行き、シャトルバスに乗り換えてやってまいりましたのは、初うまスタ、うまかな・よかなスタジアムです。

まだメインスタンドしか安全確認がとれていないとのことで、今日はメインのみ解放です。それでも1万人近いファンが訪れていて、うまスタの周辺はすごい賑わいです。こちらは優先入場の待機列。

こちらは一般入場の待機列です。

なんと、サガン鳥栖の青木剛選手と鹿島アントラーズの芝崎岳選手もうまスタ再開の試合を観に来られていました。青木選手は昨日鳥栖で試合でしたけど、芝崎選手は鹿島のホームゲームですので、わざわざ来られたのですね。素晴らしいです。

それでは試合に参りましょう。あらためまして、本日はうまかな・よかなスタジアムのロアッソ熊本帰還マッチです。本日のHIKARI♪勝どき

開始早々の先制ゴールで熊本に一気に期待感が増しましたけど、終わってみればセレッソのゴレアーダ。

熊本のシフトは3-4-2-1。GKは昭大。3CBは右から園田、薗田、龍仁朗。ボランチはキム・テヨンと高柳。WBは右に黒木左に上原。2シャドウは右に岡本左に嶋田。1トップは功暉です。

セレッソのシフトは4-2-3-1。GKはキム・ジンヒョン。CBは裕介と山下。SBは右にりく左にレジェンド丸橋。ボランチは帰国からのセレッソ復帰初戦の蛍とソウザ。WGは右に清原左に健勇。トップ下はブルーノ・メネゲウ。1トップはリカルド・サントスです。

中断期間中の取り戻すスケジュールがはじまった熊本は、ただいま絶賛怒涛の5連戦中。今日はそのなか日です。熊本は細かくターンオーバーしてきましたけど、今日が谷間なのか、シフトすら変えて臨みます。地元九州に戻ってからは3勝1分の負けなしと絶好調。コンディション不良が短期間で整ったとは思えませんから、精神論ではなく、純粋にモチベーションを高められているのだと思います。

ただ、闘いの世界ですから、フラットな条件で見たときに、コンディションが不利なのはエクスキューズとして多いにあります。正直なところ、勝ち点を取れるときに取っておくことが最優先だろうと思います。

その意味では、今日の相手は昇格争いただなかのセレッソですし、5連戦の谷間でもありますから、条件によってはノラリクラリとあわよくば勝ち点1を狙う作戦で臨んでもおかしくはないし、むしろそれが妥当だろうと思います。

シフト変更の意味はなにか?。本来の熊本を観たことがないので推測でしかないですけど、オリジナルシフトの4-4-2はバランスを重視するものですので、コンディションのことを考えると、ゾーンを保つことを優先するのが基本プランかなと思います。さて、今日採用された3-4-2-1は、かたちだけでは意図が探れません。WBの使い方で攻撃的にも守備的にも使える、幅の広い作戦が取れますから。

うまスタ帰還初戦の祝賀ムードが、清川さんの選択に影響するかなと思いましたけど、とても冷静です。熊本の選択は、ハイブリッドなスタイルです。攻守のバランスを意識していると言っていいと思います。WBはそれほど高い位置を取りません。黒木も上原も、攻撃参加時に長い距離を走っていた印象があります。今年は様変わりをしているのですけど、昨年までJ2を席巻した昇格スタイルに並びの上では似ていますけど、ちょっとコンサバティブなプランだったのでしょう。

つまり攻撃は、基本的には前線の三枚で頑張れということです。序盤功暉は右に流れてプレーしていました。もともと右が好きなのか、はたまたレジェンドを狙ったのかはわかりません。レジェンドにしろりくにしろ、スピードに問題はないですけどパワーには同様なウィークポイントがありますけど、レジェンドのほうが経験が豊かですので、単純に功暉は右が好きなんでしょうね。ようするに、熊本の攻撃は、実に功暉頼みです。

功暉はこれに応えます。山下とレジェンドを狙ってグイングインとしかけます。正直功暉のプレーを観た記憶がないのですけど、これほどパワーで優位性を示せるとは思いませんでした。熊本の狙いは、功暉がドリブルで引っ張ってアタッキングサードまでチームを押し上げ、サイドアタックからチャンスを伺うというものだったと思います。セットプレーのオポチュニティを含め。そして、試合ははやばや動きます。

8分。左CK。シュートコーナーからの嶋田のクロスはファアの園田を狙います。園田がなんとか折り返したクロスに、薗田が飛び込んでダイビングヘッドで豪快に合わせました。熊本1-0セレッソ。

うまスタ帰還初戦で先制とは、盛り上がらないわけにはいきません。選手の喜びかたを観ても、熊本の人たち、スタッフ、家族に対する想いはもちろんのこと、なにより自分自身がサッカーを楽しめるという純粋な喜びが溢れているように感じました。

ただ、客観的に見たら、正直はやすぎると思いました。清川さんもそうだったでしょう。いくらコンサバティブな対処も視野にしたプランで臨んだとはいえ、80分以上セレッソを封じ切るのは難儀なことですから。でも、スコアレスもあり得たので、熊本にかかわるすべてのかたがゴールの喜びをひさびさに感じられたことは、本当に良かったと思います。そして、セレッソがさっそく追いつきます。

13分。メネゲウの左CKを清原が合わせます。熊本1-1セレッソ。

はやばや降り出しに戻りましたので、かわって次はセレッソを観ていきます。あらためてセレッソの陣容を観ると、まったく反則な編成です。クルピさんが長年かけて築き上げた堅い守備を前提としたセレッソサッカーは、まだ芯が若いまま成熟しきっておらず、クルピさんが去るとともに瓦解します。さらに曜一朗の謎の不調も重なり、あの頃の輝きが嘘のようにあれよあれよと今J2です。河内と摂津は人柄がぜんぜん違うけど、本質的に大阪なのか、ガンバが落ちていった時と似たような道程を辿りました。

誰もが思うことでしょうけど、原因はチームとしてのバランスが欠けたことでしょう。具体的には素人にはわからないけど、興味深いのは、ほぼ編成が同じでもチームの内容に天と地ほどの差が出るということです。セレッソがはからずも体現してくれたのですけど、サッカーには個をつなぐ見えないなにかが重要なんだなと感じました。

もちろん熊本に来たのはうまスタ帰還初戦をお祝いしたかったからなのですけど、セレッソ戦でなければ行動しなかったと思います。セレッソは大好きなチームです。友だちがサポーターということもあるのだけど、やっぱり曜一朗を中心とするサッカーのエロさは、J1、J2、J3のどれを見渡してもない、個性のかたまりです。普段爽やかなチームを応援しているから、余計にそう感じます。だからセレッソが今年の昇格を逃したのはとても残念でした。去年は確認できなかったので、曜一朗と蛍が復帰して主力が成熟期に入ったセレッソをぜひ目撃したいという気持ちもかなりありました。残念ながら曜一朗は出場できないけど。

よりによってセレッソらしさのもっとも対局な実績を持つキヨシをセレッソは選択したわけですけど、キヨシもまた、あのキヨシをして、やはりエロさを身につけたいというのはオトナのさがなのでしょうか。今のセレッソは、キヨシらしいスーパーコンサバティブはかけらもなく、実にセレッソらしいサッカーです。もっとも中心が健勇、メネゲウ、サントスではエロさは半減ですけど。このあたりもパトリックが入ったガンバに良く似ていますね。

セレッソはポゼッションスタイルです。熊本のチェックがそれほどタイトでなく、また攻撃も功暉に偏ったので、肝心のセレッソの守備の強度はよくわかりませんでした。チラッとだけ、健勇が自分がボールを奪われた直後に奪い返しにダッシュしていたのを見て、健勇をしてそうなのだから、リスクを消す意識はチーム全体にありそうな気がしました。

セレッソの攻撃はソウザシステムです。ソウザがイメージするサッカーはポゼッションの基本というか、とても合理的なのでしょう。サイドとか中央とかエリアには関係なく、フリーマンこそが攻撃ルートというシンプルな考えなのだと思います。なのでソウザから縦チャレンジのパスがどんどん出てきます。

これを実現する要因は二つ。ひとつはソウザ自身が中盤中央をワイドに動けこと。もうひとつは受け手がスペースメイクをすることです。ポイントは、動く清原、メネゲウと、動かない健勇、サントスです。右は清原が細かい出入り、中央はメネゲウがダイナミックな前後の動きを見せます。一方左は、健勇がデンと構えて目標になります。最前線のサントスもまたしかり。

おそらくセレッソの生命線は、ソウザのリズムメイクなのだろうと思います。実質ソウザシステムですから、狙われるとある意味守り易くもあるし、ソウザのコンディション次第で浮沈しかねないと思います。だから、同じリズムメイカーの蛍が入ったことは、キヨシセレッソにとってとても良い影響を与えているだろうと思います。プレースタイルから主力部隊を指揮し近距離を受け持つソウザに対し、蛍は機動部隊の指揮が得意な広角砲です。蛍が左右にパスを散らすことで、熊本の守備を揺さぶります。

セレッソのフィニッシュパターンはマルチです。もともと個性が異なるアタッカーを配置していますから、自ずとマルチになりやすそうです。主武器はサントスのゴール前のパワーと高さ。これにセカンドアタッカーとして、メネゲウ、清原、健勇が絡みます。

さて、試合は実質25分で終わります。先制ゴールをあげたヒーロー薗田がサントスを倒し退場します。今日のキーマンをひとりあげろと言われたら、薗田です。キックオフ以前からエクスキューズがあった熊本ですから、追いつかれてイーブンな状態に戻ってもモチベーションに影響は無かったと思いますけど、心身でギリギリの緊張感のなかにあったと思います。緊張感は良いかたちにはまると神がかった集中につながります。薗田の退場は、まだ試合の流れができる前のカオスでの出来事でしたから、熊本には負の要素しかもたらしません。プレー選択の是非はともかく、薗田は悔しかったでしょうね。

27分。サントスが倒されて得たPKをメネゲウがゴール左に決めます。熊本1-2セレッソ。

PKとは言え、今日の試合の趨勢はこのゴールで決まります。これで馬と狼の異種格闘技戦は、馬が狼の牙のもとに屈します。

薗田退場を受け、熊本はシフトを4-4-1に変更します。WBがSBに下がり、園田と龍仁朗がCB。メイヤは右に岡本左に嶋田です。熊本はオリジナルシフトに戻して、まずは守備を安定させて落ち着こうとしたと思います。布陣的には無理のあるポジションが無く、冷静に普段のやりかたをすれば、もしかしたら試合を作り直すこともできたかもしれません。

客観的に観たらこれで勝負は決したのですけど、熊本はまだコンセンサスがしっかりできていません。まだなにがあるかわかりませんから、守ってチャンスを伺う意識はなんとなくチームにあったと思いますけど、それがコレクティブなかたちにあらわれるまで、アジャストに時間を要したのかもしれません。もしかしたら、帰還戦の重要性と雰囲気が、この大事な時間帯でネガティヴに影響したかもしれません。そして狼がさらにひと噛み加えます。

35分。メネゲウのスルーに抜け出したサントスが、一度はポストに嫌われたシュートを自ら押し込み直します。熊本1-3セレッソ。

これでようやく熊本のたぎりがおさまります。あらためてリトリートし、4+4のゾーンをかためます。なのでセレッソの攻撃プランが少し変わります。ポゼッションが高まり、ゆるいリズムで左右にサイドチェンジを繰り返しはじめます。守備網を左右に揺さぶってゾーンのほころびを作る意図です。アタッカーの役割分担がいっそう顕著になります。

三点目をあげてからサントスの存在感が増してきます。とくに園田をターゲットに裏を狙う動きを執拗に見せます。サイズがありますので、どうしてもマークに集中せざるを得ない状況ができますから、熊本の守備網はゾーンのバランスを崩すリスクが増えます。

セレッソの完全なオーガナイズのまま、前半が終了。

後半も流れは変わりません。清川さんの対策はあったと思いますけど、物理的な不利は如何ともしがたいですから。

そこで清川さんが動きます。黒木に代えて鈴木を投入します。同時にシフトを3-4-1-1に変更します。鈴木は右CBに入ります。岡本が右WBに回ります。

リセットして光明を見出したい熊本をいなすように、セレッソがゴールを重ねます。

64分。アタッキングサード手前で熊本のパスをカットしたソウザが、そのまま中央にパス。メネゲウがスルーしたその先には健勇がいました。健勇はワントラップして、ペナルティエリアの外から狙いすましたゴールを左隅に決めます。熊本1-4セレッソ。

シーズンのために傷口を広げない選択もありましたけど、熊本の地元にサッカーが戻ってきた喜びを熊本のサポーターに感じてもらうことを清川さんは優先したかもしれません。攻撃モードに切り替えます。岡本に代えて誠一郎を投入します。同時にシフトを3-4-2に変更します。とにかく誠一郎と功暉に預けて、二人の個のちからでラインの裏を取るという意図だと思います。

やっぱり誠一郎が入ると雰囲気が変わります。誠一郎は自分が全面にたって熊本のまちをサポートしてきましたけど、メディア対応を一手に引き受けることで、チームメートがサッカーに集中できる環境を可能な限り作ろうとしているんじゃないかと思います。実際に熊本の生活に触れたわけではないけど、希望や願いや、ささやかだけど日々を潤し、暮らしていく気持ちの支えとなる、ロアッソへのサポーターの愛を誠一郎は背負いつつ、受け止めているんじゃないかと思います。誠一郎がピッチサイドに立った時のうまスタの熱量にそんなことを感じました。なによりも、誠一郎のプレーを見られて本当によかった。

熊本に対し真剣勝負で応えるキヨシが動きます。健勇に代えて関口右WGに投入します。清原が左に回ります。アジリティと運動量があるサイドアタッカーを左右に揃えことで、コンディションに不利がある熊本をさらに揺さぶる意図です。

さらにキヨシが動きます。丸橋に代えて康太右CBに投入します。裕介が左SBに回ります。誠一郎の高さに対処するために高さを加えたのと、功暉のパワーアタックを予防するために左サイドの守備を強化する意図でしょう。

清川さんが最後のカードを切ります。高柳に代えて斎藤を投入します。同時にシフトを3-3-1-2に変更します。斎藤はトップ下に入ります。いよいよ熊本のゴールをもう一点サポーターに見せることに割り切った作戦です。粋のいいドリブラーアタッカーの斎藤のキレで前線を活性化し、一矢報いようという意図でしょう。

当然のことながら熊本の守備網はルーズになりますので、キヨシが冷たく動きます。メネゲウに代えて玉田を投入します。玉田に裏を狙わせ、さいごのひと息まで絶つ意図です。

そして、ゴレアーダの終焉は、やっぱりセレッソでした。

後半アディショナルタイム+1分。玉田のスルーで、オーバーラップした裕介が抜け出します。裕介は中央に顔を出したサントスに合わせました。熊本1-5セレッソ。

熊本は力尽きました。このまま試合終了。熊本1-5セレッソ。試合後にロアッソの選手がセレッソサポを、セレッソの選手がロアッソサポに挨拶していました。

熊本はタイミング的にもしんどかったですね。コンディションの谷間でもあったでしょうし、相手がセレッソだったことも試合を難しくしました。それでも、再出発の第一歩をスタートできたことは、今日の結果に関係なく、とても良かったと思います。

ホームセレッソ戦後のアウェイ山形戦もゴレアーダ敗戦で、ネガティブなイメージが続きますけど、心配ないと思います。今年は、勝ち点を取れるときにターゲットを絞って、メリハリをつけてしっかりJ2に残留することが第一義でしょう。なによりも、ロアッソ熊本が熊本のかたの普段の暮らしに存在することが大切ですし、それが現状望みえる最上の舞台であれば、なお良いと思います。熊本のサポーターの期待を胸に来年J1昇格争いをするために、今は安定したサッカーライフを送り、力を蓄える時でしょう。

熊本に、一日もはやい平穏が戻りますように。


2016J1リーグ2ndステージ第1節サガン鳥栖vsFC東京@ベアスタ20160702

2016-07-06 20:48:04 | FC東京

梅雨はそろそろ開けるのかなってサインのように、雲が真っ白く大きくモコモコしてきました。

東京は猛暑が襲ったようですね。ちょっと抜け出して、雨続きが心配される九州にやってまいりました。

なんだか毎年祇園山笠の時期に博多に来ている気がします。でもいっぺんも祭りそのものは見たことがなく(^^;;。

祇園山笠ムードの博多を袖にして、やってまいりましたは、今年も鳥栖。毎年、来年もまた来られたらいいね、なんて思っていたけど、いつの間にか力をつけ成長し続けて、気がつけばアウェイ鳥栖は恒例になっています。

もうすぐ七夕。熊本に祈りを。

さて、2ndステージ開幕でございます。先週怒涛の5連戦の結末を相太のサヨナラゴールの末に1stステージが終わったばかりなので、なんだかピンときませんけど、とにかく始まりました。本日のYou'll Never Walk Alone♪恋人はサンタクロースの競演♪

順調に点を重ねて試合を終始オーガナイズするも、最後の最後に大逆転を許し、鳥栖には極上の歓喜を、東京にはどん底の苦難を与えることになりました。

東京は1st終盤のかたちを踏襲します。シフトは4-4-2。布陣は現時点のベストを揃えます。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは徳永と諒也。ボランチはヨネと拳人。メイヤは右に広貴左に慶悟。2トップはムリキとバーンズです。

鳥栖も粘り強くミステルイズムを構築しているところだと思います。一貫するシフトはミステルの4-3-1-2。布陣はリセットのタイミングに乗ってベストメンバーです。GKは彰洋。CBは谷口とキム・ミンヒョク。SBは右に優人左に豊。3CHは右からキム・ミヌ、義希、福田。トップ下は鎌田。2トップは富山と大エース豊田です。

今シーズンのぼくらの幸せのひとつは、ミステルがJリーグに残ってくれたことです。ミステルのアーティスティックなサッカーを、今度は客観視ですけど、今年もまた観ることができます。そして、ヒロシ自身が望んだことかどうかはいざ知らず、過程としては、ヒロシは巡り巡ってミステルのサッカーをベースとしました。なのでミステルからヒロシへ転換した理由である、守備力を維持しつつ攻撃力を上げる難題への取り組みに道筋をつけられるか、ファン目線で確認できる滅多にないチャンスをいただきました。

我々サポーターは、極めて日本人的で大衆受け狙いな一般メディアの分析方法が脳内に沁み込んでいて、自分が知りうる範囲の限られた情報で勝手気儘にサッカーを語る性質を持った種族です。所詮居酒屋トークに過ぎませんから、どうせ勝っても負けても美味しいもの食べて飲むなら、酒でサッカーの憂さを流しちゃうくらいの大雑把がちょうど良いと思っています。

とはいえ、サッカーの好みは十人十色です。有り体に言えばヒロシのサッカーというか、ヒロシ自身が気に入らないサポーターもいるでしょう。キヨシの時もポポさんの時もミステルの時もそういう声が聞こえていたので、ある種のサポーター族には、そういう気質があるのだろうと思います。

ただ、嫌う範囲にも限度があって、サッカースタイルを嫌うのは良いと思いますけど、監督の人権を侵害するような批判は、思うのは仕方ないだろうけど、言ってはならないと思います。監督にも生活と人生があるし、家族がいらっしゃいますから。今でこそ言えますけど、第一次ヒロシ政権の終盤、一部エキセントリックなメディアの攻撃にヒロシが晒された時期、ヒロシのご家族はとても辛い思いをされたそうです。クラブもサポも本来は同じファミリーのはずなのに、矛盾というか疎外感というか、ご家族のことを思うと気持ちが痛かったです。

とはいえ監督もその家族もそれを覚悟で臨むのだろうし、そこにチャレンジスピリットが発するエクスタシーがあるのでしょうから、自己責任として、仕方ないよねと思わないでもありません。すべては自分の力量と運次第。それって、サポの大部分を占める勤め人にとっては眩しいし羨ましいし。かっこいいじゃない?。それらを承知の上で、ヒロシを叩くなら、おおいにアリだと思います。できれば面白く叩いてください。

というわけで、確かにミステル鳥栖との直接対決は、理屈の上ではミステルとヒロシの比較ができるかもしれないのですけど、事はそう単純ではありません。かつてのヒロシはさりとて、ミステルも今のヒロシも、割とサッカースタイルは柔軟です。つまり、状況と条件に合わせたサッカーをします。ただ、ミステルの柔軟性は核となる4-3-3あるいは4-4-2をベースとした、細部のマイナーチェンジであるのに対し、ヒロシはもっと大胆な方針変換を厭いません。アンチヒロシの主だった意見はそこだろうと思います。

ミステル鳥栖は、前回対戦時とそれほど大きな違いはありません。この辺りはさすがミステルですね。中盤から後ろの役割の構成は変わりありません。守備のやり方は、素人目には基本は東京時代と同じだと思います。リトリートのゾーンスタイルなのですけど、主体性を持った守りかたです。アタッカーとIHを中心にボールホルダーに積極的に仕掛けます。守備から主導権を取りに行く狙いです。

このコンセプトは、ヒロシ東京のそれとはかなり異なります。ヒロシ東京の守りかたは、よりリトリート色が強く、ゾーンを保って網にかかるのを待つイメージです。とくにACLが終わって4-4-2になってから一層顕著になってきたと思います。

この違いは、守りそのものではなく、いずれも攻撃のやり方から逆算した結果採用されたものであることが興味深いです。つまり、ヒロシ東京とミステル鳥栖の違いは、そしてミステル東京とミステル鳥栖の違いは、攻撃コンセプトにこそその起源があります。

今日の鳥栖はかなりビルドアップに寄ったイメージがあります。その因は定かではありませんけど、いずれミステルが意図したものではないと思います。ミステルのキャラからして。前回対戦と変わらないのは、サイドの使い方です。東京時代に比べてよりサイド偏重な印象がありましたけど、今回も変わらないということは、ミステル鳥栖の攻撃ルートの基本はサイドであるといっていいということでしょう。これは、大エースであり飛び込み職人である豊田と、もはやミスター鳥栖と言っていいミヌの存在ゆえだろうと思います。

なので鳥栖の生命線は、サイドでの一次基点の位置にあると思います。結論を言うと、今日はこの位置が低すぎました。前回対戦との違いは、鎌田の役割です。前回は復帰初戦のぶっつけ出場だったようですから、もしかしたら今日の鎌田が本来の姿なのかもしれません。鎌田は中央にデンといて、サイドに流す手前の仕事をしていた印象でした。今日の鎌田は、鎌田自身がサイドのスペースに飛び込むミッションを帯びていたと思います。

おそらく鳥栖の攻撃の基本プランは、ボールを持てるミヌと福田が時間を作り、優人と豊を上げ、SBを引きつけたところに鎌田あるいは富山をその裏に流し込むイメージだったと思います。

ところが、東京の4+4のゾーンが想像以上に強力だったのでしょう。スペースに飛び込んで攻撃を加速すべきアタッカーがタイミングとスペースを見つけられないため、サイドの基点が出しところを見つけられません。このため鳥栖の攻撃は、サイドに出してはバックパスからサイドチェンジのパターンを繰り返すことになります。

東京は、キックオフ直前から上空を気にしてました。風がかなり強かったので、ハイボールに注意しようということだと思います。それは、ハイボールそのものというよりも、クロスの出し手に対するケアだったのかもしれません。豊田に対して有効なクロスを上げさせませんでしたので、守備プラン遂行としては十分だったと思います。

さて東京もサイドを基調とする闘いかたを基本とします。バーンズとムリキの組み合わせになって、サイドの基点はアタッカーが担うようになっています。バーンズが右ムリキが左に流れ基点となり、変わりに広貴と慶悟がダイアゴナルに中に入ってきます。なので、ゴール前には3枚のオプションが用意されるかたちになります。ミステル東京で言われた課題のひとつは、ゴール前にかける人数の少なさです。ヒロシは攻撃のやり方をよりシンプルにすることで、選手をより連携し易くしているのかもしれません。

結果的にサイドで苦しんだ鳥栖に対し、東京は縦への推進力を発揮します。この違いは、サイドでの攻撃方法に起因します。鳥栖は、ショートパスとムービング、つまりコレクティブに崩そうとします。ことばだけ捉えるとかつてのヒロシのコンセプトのようですけど、まさにそうです。現ヒロシ東京は持てるものと持たざるものの違いを鮮明にするべく、個に特化した作戦を繰り出します。バーンズとムリキです。とくにバーンズは2、3人に囲まれても粘って、突破するパワーを見せつけます。単純ですけど、これができると最強です。サッカーは突き詰めると1on1の勝負ですから、最終的には個の力に勝るものはありません。ヒロシの変わりように驚くばかりです。

鳥栖もパワー勝負を嫌って、予防のためサイドにボールが入るとSBがはやめにチェックしていました。東京はそこも予見していたのか、SBの裏を積極的に狙います。そして東京の意図通りになった良い流れのまま、先制ゴールが生まれます。

10分。徳永のハーフウェイ付近のスローインから。徳永は広貴からのリターンを前方にロブ。これをバーンズ、ムリキとヘッドでつないでヨネに。ヨネは右ライン際の広貴に縦パス。広貴は寄ってきたバーンズに預けます。さぁここからバーンズのショータイムです。バーンズに対し福田と義希がダブルチームを仕掛けます。バーンズは粘り強く足元を巧みに使ってキープ。バーンと抜け出します。バーンズはルックアップ。このときゴール前は、ニアから谷口、ミンヒョク、優人が並びますけど、間隔が開き気味です。東京はニアに広貴、中央にムリキ、ファアに慶悟が走り込んでます。バーンズは広貴に合わせますけど、これは谷口が触ります。でもこのなんちゃってクリアがムリキへのパスになります。ムリキは左足で流し込みます。鳥栖0-1東京。

ムリキは2ndステージ開幕でさっそく結果を残しました。浦和戦のゴールから間を空けず、3試合で2ゴール。まだ気がはやいけど、長らく待ちわびた量産型ゴールゲッターが東京に降臨するかもしれません。

ムリキはサッカーを良く知っているのか、あるいは具体的なチームプレーのイメージがあるのかもしれませんね。プレー中のムリキの特長は、とにかく指示のジェスチャーが多いことです。プレー後やオフプレー時に要求する選手は多いのだけど、ムリキは流れが変わる瞬間にジェスチャーで後方の選手にポジションや動きを指示してるシーンが頻繁にあります。攻撃よりもむしろ守備の時にしていることが多いので、勝つために何をすべきかを知っているのでしょう。もしかしたらムリキは、ゴールだけじゃなく東京に足りない何か、ぼくらが知らない勝利の条件をもたらしてくれるのかもしれません。

先制した東京は、プレーを落ち着かせます。鳥栖に攻撃権を渡し、4+4のゾーンを維持することを優先します。鳥栖がラインの裏に飛び出せたのは、たぶん前半は三回くらいだったと思います。

安定感のある理想的な展開で前半は終了。

後半も東京が安定感を見せたままスタートします。鳥栖も東京の個の仕掛けのリズムに慣れてきて、守備が安定感をもちはじめます。互いに中盤のタイトマークが安定感の信条ですので、コンタクトが激しくなります。

とくに、セットプレーの攻防が熱かったです。ミステルと言えばセットプレー。鳥栖はターゲットを分散配置するパターンです。空中戦の能力が高い選手が揃っているためだと思いますけど、なかでもやっぱり大エース豊田でしょう。豊田のマーカーを集団から離して1on1の状況を作る意図でしょう。その豊田をマークするのが、これまた東京の守備の大エース、キャプテンモリゲですから、熱くならないわけがありません。セットプレーではこの二人のやりとりを見ていたのですけど、離したい豊田と離したくないモリゲのせめぎ合いが楽しかったです。モリゲも豊田も楽しかったでしょうね。

 

そのセットプレーで、大エース豊田ではなく、意外なかたちで同点ゴールが生まれます。

58分。富山の左CK。東京はゾーンとマンマークのハイブリッドです。ストーンはヨネ、徳永、バーンズの三枚。ファアは豊田vsモリゲ、ミンヒョクvsまる。中央はなれ加減に鎌田vs諒也。秋元の周りに集まってGKの視野を狭める工夫があって、ゴール間近に谷口vs拳人、義希vs慶悟。谷口が拳人をお尻で押しながらジリジリとファアに下がります。拳人は前を塞がれしかもプレッシャーをかけられ、谷口の真意に気づく余裕がなかったでしょう。谷口は突然前に走り出します。当然拳人はおいてけぼり。富山はゴールライン際をニアに寄せる谷口に合わせます。このボールを谷口は触れませんでしたけど、なんと直接ゴールに入ります。鳥栖1-1東京。

けして富山も狙ったわけではないのでしょうけど、この後の展開を予兆させるような、悪戯好きなサッカーの女神さまがちょっとだけ姿を見せはじめていました。東京は守備モードに入っていたので、あらためてモードチェンジができるのか、ちょっと心配だったのだけど、杞憂でした。直後のことです。

62分。秋元のスローインから。まる、諒也、ヨネ、拳人、ヨネ、諒也と渡り、鳥栖陣に入ります。諒也は下がってきたバーンズにパス。バーンズはターン。ここで攻撃スイッチが押されます。このときバーンズと入れ替わって前線にいた慶悟が優人をひきつけながら下がります。これで左奥にスペースができます。この瞬間、バーンズと慶悟と諒也の意識がシンクロします。バーンズは諒也とのタベーラで抜け出します。これに義希がつきますけど、スルーに追いついたバーンズはすでに仕掛ける体勢です。バーンズはルックアップ。このときゴール前は、鳥栖のラインがゴールエリアまで下がったのに対し、ムリキと広貴はちょっと離れてステイ。これを見たバーンズはマイナスのクロスを広貴に合わせます。広貴は左足でたたき込みました。鳥栖1-2東京。

アタッキングサードのサイドエリアでトライアングルを作って、連携でチャンスメークする、ヒロシが本来やりたい2016バージョンのサッカーがひさしぶりに飛び出しました。キーマンのひとりである慶悟はともかく、バーンズと諒也が絡んで実現したことは、これからのチームにとってとても大きい経験なんじゃないかと思います。

そしてヒロシが動きます。慶悟に代えて秀人をボランチに投入します。拳人が右メイヤ、広貴が左メイヤにそれぞれ回ります。ちょっと今までにないパターンなので、おや?と思いました。中盤右の対面は福田と豊ですけど、それほど有効な攻撃を出せてなかったので、拳人の守備に問題があるようには思えませんでしたから。通常なら慶悟→宏太もしくは相太でしょう。安定してた中盤のバランスをいじるリスクを負ったのは、秀人を使いたかったのでしょうね。とはいえ秀人とヨネの安定感は保証済みですから、まったく心配はありませんでした。

ミステルが動きます。富山に代えて圭を同じくトップに投入します。富山のコンディションを考慮したのと、アタッキングサードでの運動量を増やして、東京守備網のバランスを乱そうという意図だと思います。

さらにミステルが続きます。鎌田に代えて早坂を投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。ミステルの常套手段ですね。早坂は左メイヤに入ります。福田が右メイヤ、ミヌがボランチにそれぞれ回ります。東京時代の4-4-2は、守備を安定させるためにとくにリードした状況で使うことが多かった印象ですけど、鳥栖では逆に攻撃モードとして使っているのでしょうか。鎌田の裏に抜ける狙いが効果的ではなかったので、スピードとアジリティのあるメイヤと圭でハイスピードなカウンターを狙おうという意図かもしれません。

ミステルが一気に重ねます。勝負に出ます。福田に代えて岡本を投入します。同時にシフトを4-3-1-2に戻します。岡本は左CBに入ります。ミヌが再び右IHに入ります。早坂が左IHに回ります。そして谷口がトップに入るスクランブルです。しのごの言わず、とにかくしゃにむに縦に急ぐ作戦でしょう。見方を変えると、ままよどうにかなりまっしゃろ大作戦です。東京時代のミステルにはなりふり構わず挑むサッカーを見せた記憶がないので、ちょっとびっくりしました。それほど結果を残したい状況だし、結果を残したい東京戦だったのだと思います。

振り返ってみれば、今となっては影もかたちもなくなったけど、もともとわけわかんない状況に相手を引きずり込むのは東京の十八番でした。エル・シクロン。いつから観られなくなったかなぁ。今日は受ける側とは言え、懐かしさを感じてました。

どう対処するかなと思っていましたら、ヒロシはちょっと熱くなったか、それとも役者に花を添えてあげたかったか、動きます。広貴に代えて宏太を右メイヤに投入します。拳人が左メイヤに回ります。おそらく、縦に急ぐ相手に対し、裏を狙える選手を置いて、カウンター返しの脅威を植え付けようという意図でしょう。それに鳥栖サポに宏太のプレーを見せたかったでしょうから。

ヒロシが〆にかかります。バーンズに代えて相太を同じくトップに投入します。前線に落ち着き処を作って、ポゼッションを高めるのと、サイドアタッカーのランをサポートする意図だと思います。

ヒロシの作戦はセオリーだと思います。ただ、セオリー通りにことがはこぶかというと、そこはサッカーはドラマ。何しろサッカーの女神さまの指先でいかようにでも演出できるドラマですから。そして、各地でJ1の試合が行われるなか、女神さまが選びやがったのは、ここベアスタでした。

後半アディショナルタイム+4分。鳥栖の右スローインからのバックパスを受けたミンヒョクが谷口にホスピタルパス。このミンヒョクのミスを見逃さず相太が仕掛けますけど及ばす、豊まで流れます。豊はおそらく、時間が時間なのでホントにままよどうにかなりまっしゃろな適当フィードを前線に送ります。これが奇跡を生みます。普通に言えば偶然の産物。美化して言えばチャレンジしないと何も起こらない。なんと完璧なロングカウンターのかたちになります。前線で圭がポストし、落としを豊田が拾って右に展開。上がってきた早坂にパス。流れるようなアタックに対し、東京はずっと下がり基調の難しい対応になります。早坂は寄せてきた諒也の股を抜いて抜け出します。早坂はまるとモリゲの間に入ってきた圭にクロス。圭は合わせるだけでした。鳥栖2-2東京。

女神さまはまだ満足しません。まったく悪戯もたいがいにしてください。

さらに後半アディショナルタイム+5分。またもサッカーの女神さまが豊に憑依します。徳永の相太をめがけたフィードが岡本に当たって、豊がヘッドでクリア。これをまるがクリアしますけど、また豊に戻ります。このとき東京は、今日はじめて守備網がルーズになります。とくに中盤がガラ空きです。攻めたい宏太、拳人と守りたい守備陣のコンセンサスができていませんでした。女神化した豊はこの状況を見逃しません。冷静に、広大な左の中盤を狙って上がっているミヌにパスします。またも豊がロングカウンターのスイッチを押します。ご丁寧なことに、このパスはミスになって流れるのですけど、それがドラマの味付けになります。ライン際でギリギリ拾ったミヌは、選択肢がなく、前方に流れる義希にパス。ミヌをケアする徳永の裏を取った義希が追いつき、ルックアップ。東京はニアにモリゲファアにまるが戻っていますけど、下がり基調なのでポジションを意識するのに精いっぱい。このときまるの背後に豊田が上がっていました。義希はこれを見逃しません。ついに豊田がフリーになり、渾身のヘッドをたたき込みます。鳥栖3-2東京。

このまま試合終了。そりゃあもう、祭りさベアスタは。鳥栖サポさん、良かったね。鳥栖3-2東京。

あえて言うと、鳥栖がわけわかんないモードに入った時に、東京はお付き合いをしてしまったかもしれません。中盤のタイトマークを優先するあまり、縦に急ごうとする鳥栖に対し、局地戦を望んだ印象があります。そのため、全体に守備がバタバタするようになりました。もしかすると、それこそがミステルの狙いだったのかもしれませんね。

もうひとつ惜しむらくは、2失点目の後の攻守のコンセンサスです。どうするのかしっかりコミュニケーションできていたのか、しようとする選手がいたのか、なんとなく熱くなっていたような気がします。

ただ、鳥栖の最後の2ゴールは、通常ではあり得ないかたちのチャンスメークですから、女神さまに例えましたけど、不運がよりによって重なってしまったと考えていいと思います。長く観ていても、最終盤の大逆転負けはほとんど記憶にないので、あらためてサッカーは怖いなと思いました。いや、記憶に残したくないから忘れてるのかも。今日も忘れよっと。