ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2015J1リーグ2ndステージ第13節サンフレッチェ広島vsFC東京@エディスタ20151003

2015-10-04 17:06:57 | サッカー

今年何度目になるか、またも低気圧がもたらした嵐が過ぎ、週末は秋の行楽日和になりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか?。

自分は今回、遠征しませんでした。22時に中継がはじまるラグビーワールドカップのジャパンvsサモアをライブで観たかったので。なので、いつ以来ぶりかわからないのですけど、ずっと続けてたJ1連続試合観戦記録が途絶えました。ホントは埼スタに行く予定だったのですけど、加賀さんが出ないんじゃね。

とはいえ、いつまでも全節現地観戦なんてできないので、ここを区切りにしたいと思います。それに今日はBS-1でライブ放送があるので、いい機会だと思いました。なので、テレビを通じてですからカメラワークとスイッチによるバイアスがかかっていますけど、それにも慣れて、テレビ観戦記を書けるようになれたらいいなと思います。今日はちょっとチャレンジ。違和感がありましたら、「やっぱ現地に行けよぽちごや」的なご感想をいただけますと嬉しい?です。

今日は広島でございます。現地観戦の皆さま、おつかれさまでした。好調広島はドローをはさんで5戦無敗。その間15得点4失点の2ndステージただいま首位です。もちのろんの難敵。なんとなく、いつもロースコアの堅い試合になる印象があります。

前節山雅戦に続いてのパーフェクトなミステルモデル完遂での完勝です。

東京は秀人が復帰です。最近ずっとバーンズかサンダサのどちらかをスターター起用していましたけど、今日はサンダサがサスペンションでバーンズがオプション。二人とも外れます。シフトは4-3-1-2。GKはブラダ。CBはモリゲと結婚おめでとうのまる。SBは徳永と宏介。3CHは右から拳人、秀人、ヨネ。トップ下は河野。2トップは今日の遼一の相棒は慶悟です。

 

広島は柏が不在ですけど、ほぼベストメンバーです。シフトはおなじみ3-4-2-1。GKは卓人。3CBは右から塩谷、千葉、水本。ボランチは青山とカズ兄。WBは右にミキッチ左に今日は航平。2シャドウは右にドゥグラス左に晃誠。1トップは寿人です。

互いに守備力の高いチーム同士ですから、事前のおおかたの予想は一致していて、守り合いになるとの意見が多かったようです。自分もそう思ってました。そして、予想通り試合は静かに立ち上がります。

まず基本的な広島の動きをおさらいしましょう。攻撃時はおなじみですけど、カズ兄が千葉の左に入って塩谷と水本が開き、4バックの形になります。中盤は青山だけ。ミキッチと航平はほぼ最前列まで上がります。4-1-5。

攻撃時の広島の特長はこのシフトだけではありません。各ポジションの動きかたが非常にシステマティックなのです。ミキッチと航平は上下動。塩谷は右ライン際からペナルティエリア右隅への斜めの上下動。水本は航平のカバー。青山は後ろのボールホルダーに合わせて、中継点としてボールサイドに寄ります。ドゥグラスと晃誠は、ペナルティエリアの幅くらいの位置でそれぞれ上下動。いくぶん晃誠がバランスを見て、青山のもう一列前の基点も担います。ドゥグラスは高い位置での基点。ドゥグラスと晃誠がポジションチェンジすることはほとんどありません。寿人はペナルティエリア幅いっぱいの左右の動きをし続けます。なので、一見するとダイナミックに動いているように見えるのですけど、広島の各選手の移動距離はせいぜい直径10~15mくらいの範囲内だと思います。しかもクロスオーバーする動きもなく、非常にシンプルなんです。形状をイメージすると、ミキッチ、塩谷、千葉、カズ兄、水本、航平で作る大きなお椀の上に寿人という蓋があり、中で青山とドゥグラスと晃誠が泳いでいる感じです。運動量も多くなく、難しい動きがないということは、リスクも少なくかつ省エネ。広島が毎年のように主力を抜かれても成績が一定レベルに安定する理由の一つが、ここにあるような気がします。ちょっと逸れるけど、広島と浦和はベースは一緒でもコンセプトがぜんぜん違います。広島から浦和に移籍する選手が結構苦労するのは、自然なことなのかもしれません。

ただし、このシステマティズムは、一方で相手が守り易くなるというリスクがあります。自分たちのサッカーを封印することが前提になりますけど、マンマーク気味に守れば、広島のやりかただとスペースギャップが生まれ難くなります。広島はそれを承知の上なのだと思います。ここが広島の真髄だと思いますけど、シンプルがゆえに、最終的な勝敗の綾は、1on1の局面にあるというのがコンセプトなんだと思います。寿人以外はパワーだったりスピードだったりテクニックだったり、各々自分のストロングポイントを活して、身をさらして勝負を仕掛けます。その間に寿人が前線をチョロチョロして姿を消す。個々の選手が、全体のクオリティはともかく、どこかにエッジを持っていることが広島最大の強みだと思います。

ところがどっこい。今日の相手は個の守備力に無類の自信を持っている東京でした。さて、ようやく今日のプランですけど、まずは広島から。広島は守備加重の発想だったと思います。抑えところはただ一つ。宏介です。ミキッチを宏介にぴったりとマンマークさせ、宏介の前方スペースに壁を作ります。ここは、ちょっと広島の着眼点が変わってきています。以前はむしろ逆で、ミキッチを宏介の背後に置き、宏介を後ろにひっぱるという、攻撃方向で守備を安定させることを常套としてきました。ミキッチのコンディションの問題もあるのでしょうけど、東京のチームとしての守備力と、宏介の個の威力が広島の発想を変えさせたんだと思います。ところがこのコンサバティブな発想は、想像するに難くないことですけど、ミキッチに過剰負荷がかかります。もともと90分間守備だけに集中するタイプではないので、宏介がミキッチを料理するのは時間の問題だと思いました。当然ポイチさんもそう考えていたでしょう。つまり、ミキッチをみきるタイミングがこの試合の一つのポイントでした。

宏介封じの広島の作戦は、宏介を最大限に活かそうという東京の攻撃プランとがっぷり四つに一致します。逆サイドの攻防です。東京は、徳永にボールが入ると必ずと言っていいほど拳人を水本の背後に走りこませます。徳永から縦のパスを拳人に直接出すか、秀人を経由するか、あるいはCBに戻してフィードを送るか。いずれにしろ、拳人が右の高い位置で基点を作ることで、逆サイドの宏介に、ミキッチとの1on1の状況、しかもミキッチが下がりながらの守備を強いられる形をプレゼントする意図だと思います。広島はここを完璧に封じます。水本が拳人を自由にさせません。拳人の動きに連動し、密着マークします。

ただ、この広島のプランは、同時にミキッチの攻撃力と航平のサポートを自ら失うことを意味します。広島は承知の上だったかもしれませんね。昼間の試合で、浦和が痛恨のドローで勝ち点を二つロスしましたから、2ndだけを考えると最悪ドローでもOKという考えもなかったわけではないと思います。広島は結局、東京が先制するまで、オリジナルのシステマティズムを維持します。つまりダイナミックに動いてスペースギャップを作る工夫を見せません。言い換えるとリスクをとらず、コンサバティブに試合を進めます。

なので、広島の攻撃は単調です。有効なかたちでペナルティエリアに入ることすらできません。これにはもう一つ理由があります。東京の守備プランです。東京は広島の前線3人をマンマーク気味に守ります。ドゥグラスにはヨネ、晃誠には拳人をつけます。それぞれ犬ポジ最適任者ですから、ドゥグラスも晃誠もほぼ自由を失います。それに、先にも言いましたとおり、ドゥグラスと晃誠の動きは単調ですから、ヨネも拳人も守りやすかったと思います。横の動きをする寿人は、秀人、モリゲ、まるがゾーンで守ります。このマークの受け渡しも完璧でした。

さらには、広島唯一かつ絶対の中盤の中継点である青山にも、河野が密着マークでケアし続けます。自らの意志で両翼を閉じ、東京の作戦で心臓部を止められては、広島の攻撃が活性化しようがありません。

一方東京は、今日も安定している遼一に加え、基点になれる慶悟を前線に置いているので、中央のポストが安定します。ただ、先にも広島目線で触れましたけど、最終局面の可能性を作り出すことを封じられているので、シュートへのプロセスを途中で絶たれます。通常慶悟は、左ライン際で基点になることが多いのですけど、今日は遼一と二枚ポストとして中央にはっていました。もしかすると、慶悟を左に流していれば、もう少しはやくミキッチを攻略できたかもしれませんね。

前半は両チームとも、守備に力点を置いたプランがはまって安定します。スコアレスのまま終了。

ミステルもポイチさんも、両者とも当初プラン通りに試合が進行していたので、勝負は終盤と見ていたと思います。ただ、よしんば90分間所期プランを継続することもやぶさかではないミステルに対し、ポイチさんは必ずどこかのタイミングでミキッチ問題に対処しないといけないという違いはありました。なので、俄然宏介サイドはホットポイントになります。

案の定というか、広島にとっては想定よりもはやく、後半早々、宏介がミキッチを攻略します。明らかにスピードでミキッチを凌駕しますから、積極的に1on1を仕掛けます。もしかすると、前半からやろうと思えば仕掛けられたのかもしれませんね。ただ、ミキッチのコンディションが見た目にも落ちてきていましたから、好機とばかりに一気にプレッシャーをかけにきたのでしょう。

宏介が左サイドを制圧しはじめたことで、東京の重心が高くなります。これにより、慶悟と河野のポストが機能しはじめます。慶悟がやや低めに構えはじめたので、1トップ2シャドウのイメージになったかもしれません。いずれ、遼一のチャンスが出てきました。

ここでアクシデントが起こります。寿人が顎のあたりを負傷します。代わって浅野がそのままトップに入ります。寿人から浅野は既定路線なので、アクシデントとは言え、少なくとも攻撃に関しては、まったく影響はありません。ただ、もしかするとポイチさんの考えは、先にミキッチだったかもしれません。この辺り、現地にいるとアップの様子を確認できるので、テレビ観戦の限界ですね。

やはり、この交代とは直接の因果関係は無いにしろ、試合がにわかにざわつき始めます。いやむしろ、浅野投入で攻撃面の期待感が出てくる反面、実は東京が攻撃権を持つ広島にとってのそこはかとない危機的状況は変わらないので、妙な違和感がありました。そして、勝利の女神がいたずらっぽく微笑みながら、タクトをちょこんと東京に振りました。

70分。浅野のアタックチャレンジからのトラップミスをモリゲがカットして、前方の遼一に渡します。自陣でパスを受けた遼一はターンして前線を確認します。河野は自陣にいて上がっている最中。なので前線には慶悟だけです。慶悟がカズ兄を振り切って左に流れます。この時塩谷も上がっていて、慶悟と千葉の1on1になります。左サイド、フリーで慶悟がボールを持ちます。アタッキングサードに入ります。パスを受けた慶悟はターン。状況を確認します。ゴール前は河野一人に対し、青山も加わって4人揃っています。河野はカズ兄がケア。慶悟の大外からミキッチを追い抜いて宏介が上がっています。これを見たミキッチは、宏介と競るのを諦め、クロスブロックを目指します。この時、中盤左から遼一、右から拳人が猛然とどフリーで上がっていました。カズ兄を引き寄せた慶悟は、宏介を走らせるスルーを送ります。追いついた宏介はルックアップ。ミキッチが相対しています。ゴール前は河野だけ。広島は3人揃っています。遼一がダイアゴナルにペナルティエリアを目指しています。青山が気づきますけど距離があります。拳人は晃誠を追い抜いてアタッキングサードに入ります。宏介の選択は遼一です。ファアにロブクロスを送ります。これは水本が処理しますけど、あろうことか拳人の前に落ちます。青山が寄せるより先に、拳人は左足ダイレクトでシュートします。このシュートは右に流れますけど、そこにいた河野の右すねに偶然当たって方向が変わります。卓人の逆をつく形になったボールは、ゴール左に吸い込まれました。なんとも可愛らしいゴールです(^^ゞ。広島0-1東京。

浅野を入れることで覚えず前掛りになり、加えてミキッチが守備面で機能不全になるという必然。これに折り重なる、拳人のミスショットが河野に当たる偶然。サッカーはつくづく面白いスポーツですね。いや、もはやスポーツというよりかは、いたずら好きな女神さまがつむぐキュートな物語ですね。

ただ、いずれにしろポイチさんの選択が招いた事態がベースにありますから、ポイチさんはとっても残念だったでしょうね。直後にポイチさんが動きます。ミキッチに代えて山岸を同じく右WBに投入します。ポイチさんの歯ぎしりが聞こえてくるような、遅きに失した悔しい交代です。

ミステルも動きます。河野に代えて羽生を投入します。そしておなじみ、リードした時の守備モードシフト、4-4-2に変更します。左メイヤに羽生が入ります。右は拳人。ボランチは秀人とヨネです。ミステルも迷ったんじゃないかと思います。広島の3トップにぴったり今日の守備プランがはまっていましたから、あまり見られないくらい安定感がありました。このまま90分行く選択もあったと思います。そっちのほうがいいかなと思っていましたけど、ミステルの決断ははやかったですね。たぶん浅野を意識したのだと思います。横の動きの寿人と違って浅野はダイナミックですし、記憶に新しい味スタでの単独ドリブルゴラッソが焼き付いていますから、フルゾーンでスペースを消そうとしたのでしょう。

やっぱりというか、守備のバランスが少しだけ狂います。ドゥグラス、晃誠、浅野のマークが少しだけずれはじめ、フリーでボールを持たれる形が出てきます。以降はほぼ、広島が攻撃権を持ち続けます。それでも今の選手たちなら耐えられる自信と信頼が、ミステルにはあったんでしょう。

ミステルが動きます。慶悟に代わって翔哉を同じくトップに投入します。慶悟のコンディションを考慮したのだと思います。翔哉の最大ミッションは、攻め続けられている後方を楽にしてあげるチェイシングです。もう一つは、ドリブルで時間を作ること。この時点では、ミステルはあくまでもゾーンを維持する選択です。

同時にポイチさんが動きます。晃誠に代えて野津田を投入します。スピードとパワーを持った選手を前線に3人並べて、ゴリ押しする作戦です。もう一つは、浅野と野津田という顔がよく似てる二人を並べて幻惑させる作戦でもあります。ますます広島がゴールに迫るようになります。

最終盤に、ついにミステルが決断します。最後のカードを切ります。拳人に代えてカズ抱き枕を投入します。前節でも拳人は足をつっていましたけど、今節も同じ症状が出てましたね。なので、ミステルはカズ抱き枕投入のプランを考えていたんじゃないかと思います。カズ抱き枕を真ん中に置く3バックに変更します。真ん中の守りかたとしては、スタートの時より一列下がりますけど、基本的には同じ考えかたに戻ります。マンマークです。カズ抱き枕を浅野につけます。ドゥグラスはまる、野津田はモリゲがケアします。広島をあえてゴール前に引きつけます。なので一見広島が一方的に押し込んでいたように見えましたけど、東京が誘き寄せた結果でもあります。

浅野と野津田は、ある程度スペースがある時にカウンターで活きる選手です。もちろんタイトな状況を打開する技術もあると思いますけど、スプリントより精度は落ちます。ドゥグラスも、周囲との連携でシュートタイミングを見つけるタイプなので、タイトに守られると威力を発揮しきれません。ましてリトリートしているのが守備巧者の東京ですから。

結局、前節山雅戦同様、ミステルが描いたプラン通りに試合を収束させました。完勝。広島0-1東京。

山雅戦もパーフェクトだと思いましたけど、今日はなにしろ首位広島が相手ですから、パーフェクト オブ パーフェクトですね。ミステルのプランとそれに答える選手のワーク。これがガッチリと噛み合いました。

なんだかチームは、最高のコンディションで決戦の秋を迎えることになりそうです。地味に心がざわついています。例年夏の終わりから下降線を辿るのですけど、今年はむしろ、上昇気流に乗っかった印象があります。首位広島、鹿島とは、残り4試合で勝ち点差4。得失点差が気になりますけど、開き過ぎてるので無視するとして、ターゲットに入ってきました。年間通算では、今これを書いている時点で川崎がガンバをリードしているので、このままいけば勝ち点差が5に開きます。まだまだ安心はできませんけど、東京がやることはただ一つだけ。残り四つをひとつ一つ勝ち続けるだけ。それを成し得た先に、もしかすると最高の結果が待っているのかもしれません。

今年の秋は暑いらしいです。ぼくらのこころも熱くなってきました。