フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

旅をするとは PARTIR, C'EST MOURIR UN PEU

2006-05-06 00:31:54 | 

このブログのフランス語版に最近よく Liguea 様がコメントを送っていただく。つい最近では、私が現象学を、フッサール、ハイデッガー、カンディンスキーを愛するために生まれてきたとの御宣託をいただいた。その後も彼からのコメントを読みながら感じていることがある。

彼は新しい本や音楽を紹介してくれた後に、いつも Bon voyage ! と言ってくれる。つまり、本を読んだり、音楽を聴いたりすることが旅をすることだ、ということを教えてくれる。私の場合、旅をするといつも出発する前の自分と違う自分になって帰ってきていることを感じているので、旅の意味はよくわかっているつもりだ。彼のコメントを反芻しているうちに、本を読み、音楽を聴くことが旅なのですよ、敷衍すればこの人生の一瞬、一瞬が旅なのですよ、ということを言っているように感じてくる。彼はそれを意識して生きているように感じてくる。

確かに、そう意識することにより、この人生が全く違った趣を持ってくる。一瞬が、この時間がスリリングになってくる。この自分が違う存在になる可能性があるのだ。旅に出ることにより。

フランス語を始めてから知った言葉に、Edmond Haraucourt (1856-1941) の "Partir, c'est mourir un peu." というのがある。旅に出ると言うことはこれまでの自分が少しだけ死ぬことですよ、という意味に解釈していた。今回、その先を読んでみると、私の思い描いていたものと若干ニュアンスが違っているようだが、旅の意味をうまく表現しているように感じる。

"Partir, c'est mourir un peu;
C'est mourir à ce qu'on aime.
On laisse un peu de soi-même
En toute heure et en tout lieu."

(Extrait de Rondel de l'adieu)

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