フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

生い立ちの歌

2006-03-30 23:03:38 | 俳句、詩
I

幼年時
私の上に降る雪は
真綿のようでありました

少年時
私の上に降る雪は
霙(みぞれ)のようでありました

十七 - 十九
私の上に降る雪は
霰(あられ)のように散りました

二十 - 二十二
私の上に降る雪は
雹(ひょう)であるかと思はれた

二十三
私の上に降る雪は
ひどい吹雪とみえました

二十四
私の上に降る雪は
いとしめやかになりました・・・・

II

私の上に降る雪は
花びらのやうに降つてきます
薪の燃える音もして
凍るみ空の黝(くろ)む頃

私の上に降る雪は
いとなよびかになつかしく
手を差伸べて降りました

私の上に降る雪は
熱い額に落ちもくる
涙のようでありました

私の上に降る雪に
いとねんごろに感謝して、神様に
長生きしたいと祈りました

私の上に降る雪は
いと貞潔でありました

(中原中也 「山羊の歌」 より)


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(16 novembre 2006)
この週末、中原中也記念館を訪ねて彼の一生に触れてみると、この詩の意味がより具体的に迫ってくるように感じます。

2006-11-14 記念館にて中也を想う PENSER A CHUYA AU MUSEE MEMORIAL

コメント (4)
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