フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

ある自由な土曜日の PASSER LE WEEK-END COMME UN VAGABOND

2006-03-18 23:44:47 | 俳句、詩

今朝、久しぶりにフランス語のクールへ。その後、飯田橋から岩波ホールまで歩く。「死者の書」 を見るためである。会場に入ると満席。折口信夫の人気なのか、この映画の評判のためなのか。正直なところ驚く。この物語の歴史的背景について、イントロで説明される。いざ本編、と期待して見始めた。

しかし、私の中には全く入ってこなかった。プレゼンテーション (プロットか) がのっぺらぼうなのである。山や谷がない。言葉遣いも、リズムも今ひとつで、面白さを感じなかった。疲れも手伝っていたのだろうか、半分は眠りについていた。私の背景理解が不足していることは間違いないので、本当は原典に当たって見なければならないのだろうが、その気にもさせてくれないくらいがっかりしていた。見た方の感想を伺ってみたい。私の視点に問題があるのかもしれないので。

ホールを出た後に欲求不満が襲ってきて、そのまま帰ろうという気にはならなかった。近くの古本屋に入ってみるが、全く効果なし。今日は受け付けなかった。そこで場所を変えて普通の本屋に入る。どういうわけか、この日は詩歌、詩集のコーナーへ足が向いていた。何人かの全詩集を手にとって読み始めると驚いたことに、詩の言葉がどんどん私の中に吸い込まれていく。今日求めていたのは、詩を浴びることだったようだ。こんなことは滅多にあることではない。飯島耕一という人の詩集を一冊買う。アメリカやジャズが取り上げられ、著者署名本ということもあり。

飯島耕一 「アメリカ」 (思潮社)

いずれじっくり読んでみたい詩人も見つかった。また思潮社が 「詩の森文庫」 というシリーズを創刊したことを知り、早速いくつか仕入れる。少し気分が盛りあがってきた。外に出ると雨模様。雨宿りのためにカフェで 「アメリカ」 を読み始める。それからSで佐久間優子さんのピアノトリオを聞く。小柄ながら、ダイナミックでリズム感が鋭く冴え、同時に叙情も湛えた素晴らしいピアノであった。店を出る時には午後の出来事が遥か彼方に消えていた。

久しぶりに、時の流れに身をまかせてたっぷりと過ごした土曜日であった。家に帰ると、私の本職で大変お世話になった、今年定年になるK教授の退官記念の業績集とエッセイ集が届いていた。エッセイにはK教授のお人柄が溢れている。そのことについては、明日以降に触れてみたい。

コメント (2)
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