2018-05-10 13:25:57
◯ 【立夏】 第十九候「蛙はじめて鳴く」
テーマ: 七十二候
2013-05-04 14:00.38
5月 5日は
(旧暦 3月26日)
二十四節気※【立夏】初候
第十九候「蛙はじめて鳴く」
~七十二候※
鼃始鳴
かわずはじめてなく
(古称として「かわず」
旧かな表記では「かはづ」)
野山や田畑で 蛙の鳴き声が響き始める
夏の季語でもある【立夏】
ゴールデンウィークも終わりを告げ 突き抜けるような空と爽やかな風に 夏の到来をそろそろ感じるころ
新緑が目立ち 夏の兆しが感じられる初夏の時季を迎えました
立夏前の雑節【八十八夜】(立春から数えて88日目、今年は 5/2)は 昔は夏支度を始める目安にもされていました
「鼃始鳴」
カエルが冬眠から覚め 雄のカエルが雌のカエルを呼ぶように鳴きはじめます
この時季のカエルは 昼夜の別なく鳴き続けます
昔は 寺の桜の花見時になると 裏庭の小さな池に ヒキガエルが何処からともなく集まって来たといいます
その数、300匹とも、500匹とも…
雌は 産卵のために池にやってくるのですが 雄の数の方が多いので 群がり合い うばい合いとなって合戦となります
いわゆる「蛙合戦」です
『広辞苑』には「かわず‐いくさ」として記述されています
この合戦は凄絶なものです
カエルの雄は 雌の後ろから胸部を前足で抱きかかえるようにして産卵を促して 産卵と同時に放精して受精させるのですが
自分の子孫を残すため 産卵する雌にたくさんの雄が押し合い へし合いしますから 現場は大混乱
白い腹を空に向けて力尽きているカエルもいて まさに合戦そのものです
およそ5日間というもの 昼夜関係なく カエルたちは戦いを繰り広げます
蛙合戦でのカエルの鳴き声は これまで求愛音とされてきましたが 最近の研究では 他のオスに対するなわばり宣言でもあるとされ
求愛音となわばり音を両方含んだ広告音(advertisement call)という言葉が用いられるようになりました
日本人は カエルの鳴声を聴くのを好みます
江戸時代には カエルの中でもとくに声がよいカジカガエルを飼育して その鳴声を楽しみました
日本において 「カエル」は 棲息に好適な水辺や水田が多かったことから 常に人にとって身近な存在となっています
日本人のカエル好きは 稲作栽培とつながりがあり カエルは降雨を予報する生物ということが大きかったようです
また 日本は耕作農地面積の多くの部分が水田です
カエルは 稲作の害虫となるウンカを始めとする昆虫類、様々な伝染病を媒介する蚊を含めた生物を大量に捕食しますので 水田の保持にも役立ちます
そんなわけで カエルは「田の神の使わしめ」と考えられ 信仰の対象になっている地域もあります
食物連鎖においても カエルは 自然界の中で下位の昆虫類や節足動物類の捕食者としての位置づけだけでなく
多くの生物に対する餌としてもカエルの占める位置は非常に重要で
ヘビ、鳥類、小動物の餌となり 陸上における食物連鎖を支えています
「蛙」は古来より 春の景物とされ万葉集以来 特に鳴き声を愛でて詩歌に詠まれています
和歌での「かはづ」は 主に鳴き声が美しいことで知られる「カジカガエル」のことを指しますが
この語は平安初期ごろから 混同されて「カエル」一般を指すようになりました
芭蕉
「古池や蛙飛び込む水の音」
一茶
「やせ蛙まけるな一茶これにあり」
「蛙」は春の季語です
貝原益軒の『大和本草』によれば カエルの名は他の土地に移しても必ず元の所に帰る性質と記述され
日本では 「お金が返る(カエル)」として カエルのマスコットを財布の中に入れておく習慣がありますね
似たような扱いで、
昔、NTTのコマーシャル「カエルコール」ありましたね
「今から、カエル…ね」
※太陽の巡りを24等分にした「春分」「夏至」「立秋」「大寒」などが『二十四節気』
さらに3つに分け 約5日ごとに花や鳥、虫や植物の動向など 繊細な「気候変化」を美しい短文で表現したものが『七十二候』です
五感を開くきっかけのひとつになり、止まることのない「時」を肌で知る目安になります