結局オレたちは昼夜逆転のような生活をし続け、女子なら「いやん、3キロも太っちゃった!」というような状態になるほど食べ続け、
太郎のしゃべるイントネーションが、ばあちゃんみたいになっていった。
好々爺のようだったシバは、太郎のせいか子犬の様になっていた。
笑ったのは、太郎が芸を仕込み、漫才というかコントのようなものまでできるようになってた。
オレとばあちゃんにショートコントを披露したが「シバと太郎でしばたろうで~す」とコンビ名を言った時が一番ばあちゃんにウケていた。
毎日のようにグランドゴルフだ、フラダンスだ、お料理教室だ、太極拳だ、プールだと出かけてたばあちゃんだったが、
さすがに大晦日の日のお昼に起きていくと、家にいた。
庭に作ったかまどで大量に煮しめを煮ていた。
台所のコンロでもいちいち大量におせち関係の料理がコトコト煮含められている。
そして、オレたちは、ばあちゃんに言われるがまま『蕎麦』を打つ。
年末に帰省した時、時々手伝うオレやおやじは、ばあちゃんから駄目出しをくらうことが多いのだが、マスターを手伝って生パスタを作ったりしている太郎は要領がよく、ばあちゃんの機嫌もすこぶる良い。
夕方になると、客人が入れ替わり立ち替わりやってきては、また物々交換だ。
煮しめが、伊勢エビになったり、高級蒲鉾になったりする。
ばあちゃんが「今の若い人は、料理がうまいからねえ。
伊達巻きとかお店で買うよりずっと美味しいのを作ってもってきてくれるよ。
フードプロセッサーでがーーーっとやるらしいよ。
でも、ただ根気よく煮るものが苦手で~って言う人が多いんだよね。
まあ煮物はちまちま少しずつ作るより、大量に作ったもののほうが美味しいからね。
で、物々交換が成立するってわけさ。」
紅白歌合戦を見ながら、すき焼きを食べる。
肉ばっかり食べてもばあちゃんは怒らない。
うれしそうにながめては追加投入してくれる。
くたくたになった白菜は、いつの間にかコタツに座って焼酎を呑んでいるどこかのじいさんがおいしそうにつまんでいる。
太郎が紅白の氷川きよしのことをなんだかんだとしゃべり、じいさんが「じゃっどじゃっど!」と、どうやら「同意」という意味のような返事をしている。
紅白が終わる頃、客人達も帰っていき、3人になった。
ばあちゃんが年越し蕎麦を持ってくる。
うまい。いつものよりうまいぞ。
ばあちゃんも「太郎は蕎麦打ちの素質があるねえ。来年も来んね。」
テレビの除夜の鐘が鳴り終わるとばあちゃんが「さあ行くよ。」
車に乗り、初詣だ。
相変わらずBGMはスピッツだが、スピードは出してない。
なぜなら、渋滞だから。
こんな田舎なのに、どこから湧いてきたんだ?というほどの車の行列は、同じ目的地へと向かっている。
県内でもかなり有名な初詣スポットらしい。
帰省のたびに連れて行かれるが、かなり好きな場所のひとつだ。
参道が長く、横を川が流れてて、そのせせらぎを聞きながら真っ暗な森の中をゆっくり歩く。
木のトンネルの隙間からは、星がちらちら見える。
きっと太郎も興奮するぞ。
と思ってると、おごそかな顔で玉石の上をじゃりじゃり歩く太郎がオレに近づき
「ここ、すごくいいな。パワースポットとか女子がよく言うじゃん。
なんじゃそりゃ?と思ってたけど、ここは間違いなくパワースポットだな。
帰るまでにもう一回来たいなあここ、昼間に。」
初詣を終えて車に戻る途中の屋台でたこ焼きやらイカヤキやらばあちゃんが買い始める。
まだオレたちに食わそうとするのか?
車に乗り込むと「太郎!車酔いはどうね。大丈夫そうね?」
太郎が「大丈夫!全然気持ち悪くならない。」と言うと
ばあちゃんが「よしっ!じゃあこのままドライブして、初日の出を見よう。」
初詣渋滞を抜けた後は、スピッツを聞きながらまっくらな田舎道をひた走る。
どうやら海へ向かっているらしい。
太郎のしゃべるイントネーションが、ばあちゃんみたいになっていった。
好々爺のようだったシバは、太郎のせいか子犬の様になっていた。
笑ったのは、太郎が芸を仕込み、漫才というかコントのようなものまでできるようになってた。
オレとばあちゃんにショートコントを披露したが「シバと太郎でしばたろうで~す」とコンビ名を言った時が一番ばあちゃんにウケていた。
毎日のようにグランドゴルフだ、フラダンスだ、お料理教室だ、太極拳だ、プールだと出かけてたばあちゃんだったが、
さすがに大晦日の日のお昼に起きていくと、家にいた。
庭に作ったかまどで大量に煮しめを煮ていた。
台所のコンロでもいちいち大量におせち関係の料理がコトコト煮含められている。
そして、オレたちは、ばあちゃんに言われるがまま『蕎麦』を打つ。
年末に帰省した時、時々手伝うオレやおやじは、ばあちゃんから駄目出しをくらうことが多いのだが、マスターを手伝って生パスタを作ったりしている太郎は要領がよく、ばあちゃんの機嫌もすこぶる良い。
夕方になると、客人が入れ替わり立ち替わりやってきては、また物々交換だ。
煮しめが、伊勢エビになったり、高級蒲鉾になったりする。
ばあちゃんが「今の若い人は、料理がうまいからねえ。
伊達巻きとかお店で買うよりずっと美味しいのを作ってもってきてくれるよ。
フードプロセッサーでがーーーっとやるらしいよ。
でも、ただ根気よく煮るものが苦手で~って言う人が多いんだよね。
まあ煮物はちまちま少しずつ作るより、大量に作ったもののほうが美味しいからね。
で、物々交換が成立するってわけさ。」
紅白歌合戦を見ながら、すき焼きを食べる。
肉ばっかり食べてもばあちゃんは怒らない。
うれしそうにながめては追加投入してくれる。
くたくたになった白菜は、いつの間にかコタツに座って焼酎を呑んでいるどこかのじいさんがおいしそうにつまんでいる。
太郎が紅白の氷川きよしのことをなんだかんだとしゃべり、じいさんが「じゃっどじゃっど!」と、どうやら「同意」という意味のような返事をしている。
紅白が終わる頃、客人達も帰っていき、3人になった。
ばあちゃんが年越し蕎麦を持ってくる。
うまい。いつものよりうまいぞ。
ばあちゃんも「太郎は蕎麦打ちの素質があるねえ。来年も来んね。」
テレビの除夜の鐘が鳴り終わるとばあちゃんが「さあ行くよ。」
車に乗り、初詣だ。
相変わらずBGMはスピッツだが、スピードは出してない。
なぜなら、渋滞だから。
こんな田舎なのに、どこから湧いてきたんだ?というほどの車の行列は、同じ目的地へと向かっている。
県内でもかなり有名な初詣スポットらしい。
帰省のたびに連れて行かれるが、かなり好きな場所のひとつだ。
参道が長く、横を川が流れてて、そのせせらぎを聞きながら真っ暗な森の中をゆっくり歩く。
木のトンネルの隙間からは、星がちらちら見える。
きっと太郎も興奮するぞ。
と思ってると、おごそかな顔で玉石の上をじゃりじゃり歩く太郎がオレに近づき
「ここ、すごくいいな。パワースポットとか女子がよく言うじゃん。
なんじゃそりゃ?と思ってたけど、ここは間違いなくパワースポットだな。
帰るまでにもう一回来たいなあここ、昼間に。」
初詣を終えて車に戻る途中の屋台でたこ焼きやらイカヤキやらばあちゃんが買い始める。
まだオレたちに食わそうとするのか?
車に乗り込むと「太郎!車酔いはどうね。大丈夫そうね?」
太郎が「大丈夫!全然気持ち悪くならない。」と言うと
ばあちゃんが「よしっ!じゃあこのままドライブして、初日の出を見よう。」
初詣渋滞を抜けた後は、スピッツを聞きながらまっくらな田舎道をひた走る。
どうやら海へ向かっているらしい。