アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

だっこの宿題

2019年04月10日 | Weblog
 新学期が始まり、小学校から、例によって「児童のサポートを」という依頼が。前々から断っていたのに、「代わりの人が見つからないので」と。今すぐ手術をするわけでもないので、しぶしぶ引き受けました。
 そして、授業1日目から、暗い気持ちにさせられました。
 なぬ?貧乏くんは卒業したんじゃなかったのかって?貧乏くんは卒業しましたが、後継者たち(本人たちには、全く罪がない)が次々と…。
 
 新1年生の女児「虹子ちゃん(仮名)」は、入学式の入退場で、二度も上靴が脱げました。虹子ちゃんの上靴は、「白いズックで甲のところに幅広い平ゴム(白色)が靴紐のようについている(その昔、バレーシューズと呼ばれていたもの)」。現代も、その上靴が売られていることに驚きましたがね。価格も、450円とのこと。虹子ちゃんの足が大きくなることを想定したのか、つま先が1.5cmも空いている。ブカブカというか、ガフガフというかぁ…歩くだけで脱げる代物。

 で、入学式後、担任が虹子ちゃんの父親に、「この上靴では、体育が出来ませんから、足に合う靴を用意して下さい」と、直接頼んだ。父親は、金髪に染めたパンチパーマの頭。派手な耳飾り(通称ピアス?私の知識では、ピアスは、「穴を開ける」の意味。耳かざりを含めてピアスというのには不満です。ジャラジャラと耳朶からぶらさげたものは、ピアスじゃないだろうと思うのです。まっ、どうでも良いけどね)。
 翌日、虹子ちゃんは走って担任に近づき、
 「これ、買ってもらったの!」
と、満面の笑みで、真新しい上靴を見せた。

 以上までは、「よかったね」という話。暗い気持ちになるのはこのあとなんです。
 虹子ちゃんは、派手な耳飾りの父親と二人暮らしの父子家庭でした。そのうち、派手な耳飾りの父親が再婚。再婚相手の女性も一人の子(男の子)を連れてきた。これで、4人家族。そして、派手な耳飾りの父親と、再婚相手の女性とのあいだに、子どもが出来た。合計5人家族。生まれて6年ちょっとなのに、修羅場を経験して5人家族…。
 新しい母親は、自分の連れ子と生まれた赤ちゃんはかわいがるが、虹子ちゃんは憎いらしい(これは、予想ではなく、保育施設から小学校への引き継ぎに、いくつかの実例と共にハッキリ書かれている)。

 担任は、「だっこの宿題」という絵本を読み聞かせ、
 「今日、宿題を出します。だっこの宿題です。お家へ帰ったら、お家の人にだっこしてもらって下さい。それが宿題です」

 翌日、虹子ちゃんは、宿題をしてきませんでした。
 「お母さん、だっこしてくれなかった…」