おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「半夏生」 今野敏

2009年04月19日 | か行の作家
「半夏生」 今野敏著 ハルキ文庫 (09/04/17読了)

 相変わらず、ソツなく上手いですな。

「踊る大捜査線」からおチャラけ部分を差し引いてノベライズすると、こんな小説が出来上がりました-という内容のストーリー。いわゆる「署モノ」と言われる分野で、トリックよりも、人間ドラマを読ませる感じ。舞台は、東京湾臨海署。レインボーブリッジというか…お台場エリアそのものを封鎖してしまう場面もあったり、室井さんを彷彿とさせる、話のわかるキャリアが登場したり…と、もしかして、著者も、ちょっとぐらいは、「踊る大捜査線」を意識しているのかも。

単行本で発売されたのは2004年なのですが、事件の背景には、パンデミックの恐怖が複線となっていて、新型インフルエンザの大流行が懸念されている今日を先取りしているようでもありました。

 ちなみに、タイトルの「半夏生」は夏至から数えて11日目に当たる日で、その頃に花を付ける植物の名前でもあるそうです。ストーリーの最終盤の会話で、色々と説明されて、「ああ、なるほど、このタイトルにはそういう意味があったのね」と理解するのですが…。でも、バッと見で、推理小説のタイトルとしては、あまりキャッチーとは思えません。


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