温泉クンの旅日記

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読んだ本 2014年6月

2014-07-02 | 雑読録
  <読んだ本 2014年6月>

 ここのところワールドカップ・ブラジル大会のサッカー観戦に夢中になっている。



 日本の一次リーグ敗退は残念だが、面白いのはこれからである。
 夜のテレビ観戦はいいのだが、朝が困る。早起きは苦にならないが、相撲や野球と違い、サッカーは眼を離せない。朝の支度もハーフタイムだけでは足らないので、遅刻はしないがいつもより遅い出社になってしまうからだ。



 ところで、今大会はオフサイドの判定ミスとカード出しが多いように思う。サッカーは1点がとにかく重い。ゴールしてからのオフサイド判定とPK判定については、メジャーリーグが今年から採用した「チャレンジ制度」導入もいいかもしれない。

 決勝戦が行われる二十万人が入るマラカナン・スタジアムを見下ろすコルコバードの丘に立つ、キリスト像はきっと南米チームを応援するのだろう。



 寺方蕎麦は都内に数軒の店があり、たまに食べる。
 周りの卓のほとんどが蕎麦前を楽しんでいたので、わたしも燗酒を一本頼んだ。



 一本で軽くいい気持ちになったところで、蕎麦をたぐる。



 このあいだの「雰囲気のいい蕎麦屋」の記事はちょっと書きすぎじゃないかと友人に言われたが、そうは思わない。自分的には、都内で手軽に食べられるこの蕎麦でもあの信州蕎麦なら充分太刀打ちできるのではないかと思っているのだ。信州蕎麦は、蕎麦好きを問答無用に唸らせるほど旨くなければならない。



 さて、今月に読んだ本ですが、6月も先月に引き続きの8冊、累計半年で、なかなかの44冊だ。

 1. ◎絆回廊   新宿鮫Ⅹ         大沢在昌 光文社
 2.◎狼花    新宿鮫Ⅸ         大沢在昌 光文社
 3. ○ナイン・ドラゴンズ (上)     マイクル・コナリー 講談社文庫
 4. ◎ナイン・ドラゴンズ (下)     マイクル・コナリー 講談社文庫
 5. ○政宗遺訓   酔いどれ小藤次十八  佐伯泰英 幻冬舎文庫
 6. ○状箱騒動   酔いどれ小藤次十九  佐伯泰英 幻冬舎文庫
 7. ◎白鷹伝 戦国秘録          山本兼一 祥伝社文庫
 8.◎紺青の鈴              高橋治  角川文庫

 酔いどれ小藤次シリーズも十九冊目まできて、ようやく追いついた。「完」の文字が来るまでつきあうつもりである。

 先月、「鮫島の貌」を読んで新宿鮫シリーズを新作から読み返すと書いた。さっそく十巻目の「絆回廊」と九巻目の「狼花」を借りてきて読んだ。
 なんか読んだことがあると思って調べてみたら、「絆回廊」は二年前の三月に、「狼花」は五年前の三月に読んでいた。情けないが、本だとよくあることだ。
 それぞれ再度読み切ったが、評価は前回同様の二重丸にしておいた。

「ナイン・ドラゴンズ」はボッシュシリーズの最新作。一部、二部、三部と分かれているのだが、香港が舞台に二部が圧倒的に面白かった。

「白鷹伝」、鷹匠の話だがあの信長や秀吉が頻繁に出てくるのでけっこう面白かった。
 信長を相手に言いたいことをすべて言い切り、それでいて怒らせぬ鷹匠小林家次に、秀吉がひどく感心して、鷹を扱う神髄を訊く。

  『「さて・・・・・・」
    家次は、首をひねった。いつもそのことばかり考えている。いざ、神髄などと問われると、
   答えに窮する。
   「勘忍かな」
    鷹とのつき合いは、忍耐が要求される。鷹に腹を立てているようでは、鷹匠はつとまらない。
   あくまでも冷静に鷹を調教するのが放鷹術の要諦にちがいない。

   「それだけではなかろう。勘忍だけで、鷹は動くまい。上様も動かぬ。なにかもっと秘訣がありそうじゃ」
    言われてみればそのとおりだ。勘忍しているだけではなかった。勘忍しつつ、鷹を動かす。
   そのためになにが必要か。
   「水・・・」
   「えっ」
   「水になればよい。水のごとく相手に従い、水のごとく相手をながす。これならいかがか」
   「なるほど、それが上策か」
    篝火に照らされた秀吉の顔が、ふと奸佞に見えた。油断ならない男にちがいない。気づいた秀吉が、
   満面の笑みを浮かべた。人をとろかす顔。
   「いやいや、さすがは名人の弁。含蓄が深い。今度おなごを口説く手につかってみよう」』


 信長に気に入られようとひたすら努力する秀吉らしい場面である。



「紺青の鈴」は再読である。八年前の十二月に読んだ。
 文章がとにかくいい。なにげないような描写でも、思わず眼が止まってしまう。

  『タクシーが百掘にかかると、金沢の町の秋が、一時に眼にとびこんで来た。左手に兼六園、
  右手に鉛瓦が白く美しい石川門があり、石垣の上に、長い塀が続く。百掘はその谷間に
  あたる空濠のあとで、その一帯が漆の木をはじめとして、紅葉の映える落落樹で埋められて
  いる。
   黄から様々な紅まで、紅葉は想像を絶するほどの色合いにわかれて、石垣の裾を飾りたてて
  いる。下から見上げると、上の白壁と、その上の澄んだ空の深まりとが、紅葉をひときわ
  引き立たせている。今日散るか、明日散るかと、切迫したものを感じとらせながら、一枚一枚の
  色づいた葉が、命を燃やしていた。』


 高橋治は映画や戯曲もやっていたので、風景描写だけではなく会話などもとても巧みな作家である。
 この本の面白さは、何度も観てしまう名画のようだ。


  →「読んだ本 2014年5月」の記事はこちら

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