ニョニョのひとりごと

バイリンガルで詩とコラムを綴っています

金煕麗回顧展に行ってきました。

2012-09-04 19:02:19 | 日記
 2012年9月4日午前11時、大阪府立江之子島芸術センター ルーム2「4階」にて、「金煕麗回顧展」が始まった。



 この絵は1962年に描かれた「密航」。
 白ルンさんの解説に依れば、「現存する彼の作品の中で、初期の作品として代表的な作品である。朝鮮半島から日本へ密航する朝鮮人の様子を描いたもので、暗い船の中で静かに身を寄せ合う様子が描かれている。金煕麗は済州島の出身であり、1948年の済州島事件を背景に、済州島からの密航者を描いたものと考えられる。」とある。

 1926年1月26日三男三女の末っ子として済州島で生まれた金さんは1940年に渡日している。
 その年は大阪で鶴橋第1小学校、翌1941年からは鶴橋国民学校高等科に進み、新聞配達をしながら学校に通い祖国の解放の日まで3番目の姉の家で生活したそうだ。

 1945年8月当時19歳だった金さんは好きだった絵の道に進むことを決心し、大阪府立高津中学に通ったのち、1946年大阪市立美術研究所に通い始め、色々な仕事をしながら8年間この研究所で学びながら画力を高めたそうだ。

 1953年、朝鮮戦争停戦後、在日朝鮮美術家たちの団体である「在日朝鮮美術会」が結成され、金さんは1954年大阪支部の事務局長を担う傍ら、社会的なテーマの大作を旺盛に創作発表しはじめたそうだ。





 美術評論家の白さんは金さんの作品群に対し次のように評している。

 「計算された構図に収められた山や川、多数の船舶、やむことのない音とリズムに合わせ踊り続ける民族衣装の男女。冷戦構造と異国での生活という困難な状況の中に懸命に生きる在日朝鮮人たち。
  スケッチブックに丹念におさめられた動植物と風景。その全てには「描く」という行為そのものを心から愛した画家・金煕麗のすべてが込められています。」



 明日から私もお昼の間だけでも、会場で少しばかりお手伝いしょうと思っています。
 「百聞は一見に如かず。」
 皆さんどうぞ会場にお越しください。そして在日朝鮮人が歩んできた道のりをどうぞ肌で感じてください。

 戦いだけではありません、人間の生活が描かれています。どんな重いテーマの中にも暖かさがあるのです。
 展示会の期間又金煕麗さんの人となり、作品について少しずつ紹介しようと思います。

 
  
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