「母の日」が近い。いつもそうだが、この日には母と姉を一緒に思い出す。
私より六つ上の姉が保湿クリームを持ってきてくれた事があった。世界でたった一人の姉だ。生まれてから今まで遠くに離れて住んだことが無い。いつも電車に乗れば30分で着く距離に住んでいる。
今までほとんど喧嘩らしい喧嘩もした事が無い。それは姉が仏のように優しいからだ。幼いころから姉は六つも年が離れているせいか、いつも保護者のようだった。自分のためにはほとんどお金を使わないが兄弟や甥、姪のためには惜しむことを知らない。
決して私がクリームを買えないほど苦労していると思って買ってくるのでは無い。姉は自分の物を買うとき、いつも私の顔が浮かぶのだそうだ。
姉は私がすでにお婆ちゃんであることを忘れているのかも知れない。姉にとって私は幼い頃のわがままで自分勝手な可愛い(?)妹に見えるのかも知れない。そんな姉も今は病に伏している。私は毎週お見舞いに行って話を聞いてあげることしかできない・・・
クリームを見るたび,亡くなる数ヶ月前、長い入院生活をしながらも私のために温泉石鹸を買ってくれたオモニ(母)を思い出す。
私は生まれてから今日までずうっと両親や兄弟に愛され、見守られながら生きてきたのかも知れない。
1988年に母から温泉石鹸をもらった日に書いた詩を載せます。
【温泉石鹸】
顔を洗うたび
全身に染み入る ほのかな石鹸の香り
顔を洗うたび
全身からあふれ出る オモニへの想い
かんかん照りの 暑い日
タラタラ 汗を流しながら 病室を訪ねると
ニコニコ笑いながら 私のオモニ
そっと 差し出した 一つの石鹸
仕事で出歩るき どんなに大変だろうと
この 石鹸で洗うならば
しみもそばかすも いっぺんに無くなるよと
笑顔で差し出された 温泉石鹸
歳月と共に 黒ずんだ 顔
石鹸で落ちるわけは無いけれど
オモニの真心が あまりにも有難くて
黙って受け取った 笑いをこらえながら
使えば使うほど
石鹸は 泡となり 消えゆくけれど
使えば使うほど
より深く 染み入る オモニの愛
今日も 娘は 顔を 洗います
しみもそばかすも 全て無くなれと
けがれ無き心で もっと 綺麗になれと…
1988年6月
河内総合病院にて
「온천비누」
세수할 때마다
온몸에 스며드는 싱그런 비누냄새
세수할 때마다
온몸에서 솟구치는 어머님생각
뙤약볕 내려쬐던 무더운 날
땀 흘리며 병실을 찾아갔더니
싱글벙글 웃으시며 우리 어머니
살짝 내미셨던 한개의 비누
사업으로 나다니느라 고생이 많다고
이 비누로 씻으면
얼룩도 주근깨도 다 없어진다고
웃음 지으시며 내놓으신 온천비누
세월과 더불어 시꺼머진 얼굴빛
비누로썬 떨어질리 없겠지만은
어머님의 그 마음 하도 고마와
웃음을 참으며 정히 받았다네
쓰면 쓸수록
비누는 거품되여 사라지건만
쓰면 쓸수록
더 깊이 스며드는 어머님사랑
오늘도 이 딸은 세수를 한다네
얼룩도 주근깨도 다 없어지라고
티없는 마음으로 한결 고와지라고…
(オモニはその年の11月に永眠され、今は海が見える済州島の共同墓地で眠っている。)