太宰府天満宮神幸式大祭は1月の鬼すべ、3月の曲水の宴とあわせて、天満宮三大祭りの一つ、福岡県無形民俗文化財に指定されている。
その祭りの最後を彩る【千灯明】は、25日午後八時、本殿の太鼓の音を合図に、御神火を心字池のほとりの蝋燭に灯す。(自分の手で、祈りをこめながら)
その沢山の蝋燭の灯りが、池の水面にゆらゆらと写って、得も言われぬ幽玄の世界を醸し出す。心字池に仮設の舞台では雅楽が奉納され、巫女さん達が雅な舞が時代を遡り、見る人々を平安の御代へといざなう。厳かな音色の雅楽が境内の闇に流れ、闇の中にゆらめく蝋燭の灯・・・。何時までも佇んでいたい想いが切なく、心が無になる時間が流れて行く。
福岡からの友人二人を「ここが一番のスポットよ」などと、ちょっと訳知り顔で案内する。二人とも初めて・・・なので、その感動も大きかったようだ。
(夜の写真は難しくて…ネットから拝借しました)
(夜の参道、ご隠居さんはカメラのレンズを替えてくるのを忘れた!と。千灯明ご隠居さんの写真が無いのは残念)
結婚前福岡市内に住んでいた頃は、鬼すべや曲水の宴も時々見に来たものだが、天満宮まで歩いて15分という、町内感覚のところに住むようになると、逆に「いつでも行けるから」と見逃すことが多い。友人から「なんて勿体ないことを!」と言われたりする。
今年は通称【どんかん祭り】と呼ばれる【お下がり】【お上がり】の儀式・行列を見に行くつもりだったが、用件が出来てお上がりのみ参道で拝見した。生憎の小雨模様だったが、平安時代そのままに古式豊かな雅な行列だった。
どんかん祭りは、9月21日午後3時、本殿での始祭、22日の【お下がり】(道真公が配所となり2年余を過ごされた榎社へお帰りになる儀式】24日の【お上がり】は、道真公が天満宮にお戻りになる儀式の通称だ。
【お下がり】とは9月21日午後3時、本殿での始祭のあと、翌22日、遷御祭の後、午後8時にご神霊を奉安した神輿が、ご本殿から道真公が2年余りを過ごされた配所「榎社」まで、鉦や太鼓、篳篥(しちりき)竜笛(よこぶえ)を演奏しながら、向かいます。その雅な音色が【どんかん】と響くので、この道をどんかん道と呼ぶようになったそうだ。
【お上がり】はよく23日、榎社からご本殿へ再び同じ道を戻られる。
・門前町(参道)での【お上がり】
平安時代、御霊の輿は牛車ですね。
可愛い稚児さん達。沢山の参加だった。雨の中お母さん達は傘をさしかけて。
私が生まれ育ったのは、博多・福岡だから、故郷の歴史や史跡のことはある程度自然に身についているのだが、結婚以来40年(転勤で離れたこともあったが)暮らした第2の故郷、太宰府のことには、まだまだ疎い。
美しい自然と万葉以来の歴史が今も残り、友人達には史跡案内人などをつとめている人達も多い。恵まれた第二の故郷、太宰府に感謝。もう少し歴史も史跡も学ばなくちゃあ。そして現在の太宰府の行政が、歴史を大事にしながらも、現在の市民の生活や福祉や文化にもっと手厚くなることを心から願う。