4月15,16日一泊で四国香川県琴平町(金毘羅さんで有名な)へ。
サークルの仲間で【レトロな金丸座でのこんぴら歌舞伎】を観たいとの希望があり、チケット入手が難しいので、昨年から四国の知人の方にお願いして実現することとなりました。希望者16名のツアー感覚の小さな旅となりました。 博多駅から岡山駅で、こんな可愛いアンパンマンの列車に乗換えで琴平駅へ。
皆さん新幹線に乗り込んだ時から、もう嬉しい旅気分。瀬戸大橋を渡ることは曇っていて残念でしたが、それでも広がる海、浮かぶ小島の景観は楽しめました。
駅にはJRのNさんが出迎え、道筋に翻はためく”松本幸四郎さん江””染五郎さん江”などの”幟”に芝居気分が沸いてきます。昼食の後今度の宿【琴参閣】広々として大きなホテルでした。やはり震災後はぐっとお客さんが減ったとのこと。一休みのあと、いよいよ金丸座へ。
金丸座は1835年(天保6年)に建築された、今日本に残る最古の本格的芝居小 屋で重要文化財。ここで年に1回4月に【歌舞伎】が行われます。第一回公演は昭和60年。今回は27回目。毎年好評で全国から観客が集まるので、なかなかチケット入手できません。昨年4月に行った時に知人にチケット購入などをお願いしておりました。私達夫婦は今回で5回目の【こんぴら歌舞伎】観劇となりました。歌舞伎の内容については他の【歌舞伎観たまま・感じたまま】に書くつもりですが、私達の観た【夜の部】は鈴ヶ森・舞踊 藤娘に40年ぶり?の復活狂言 鯉つかみ。
鯉つかみは金丸座の仕掛けをふんだんに使って、染五郎さんが大奮闘の、目に楽しい芝居に仕上がっておりました。二役の美しい小姓と鯉の精は空井戸、すっぽんを使って驚くほどの早さで。
天井は竹を組み合わせて作られていますが(葡萄棚といいます)その梁の上に腹ばいになった裏方さんが、真っ暗な場内に飛ばした姫と小姓の出会う蛍狩りの夜にの、蛍の青い火の乱舞は見事でした。綺麗でした。博多座などの大劇場では出来ないことです。
江戸時代から、いろんな仕掛けがあって、この葡萄棚も、染五郎サンが宙乗りをしたかけすじと呼ばれる滑車を使った天井の仕掛けも、みんな人力で行います。電気などなかったのですから。明かりとり障子や戸の開閉で、日の暮れるまで江戸時代の人達は、芝居を楽しんだようです。役者の顔を照らし出す 面明かりも生まれました。奉書の紙を巻いた中の蝋燭の灯りを、顔に差し出して表情を照らし出します。
人力といえば、いまでは何処の劇場でも普通に行われる廻り舞台も江戸の頃創られました。廻り舞台を作ったのは日本が、世界で初めてです。
文化財なので水が使えないので(本水を使う・・・といいます)、イルージョンみたいに、白い煙?をふんだんに使って水と見立てての水中での大鯉との格闘のシーンはなかなかの迫力、それにしても鯉に扮した役者サン、ほんとにお見事ご苦労様!歌舞伎では主役に絡む立ち回りの捕り手サン達、トンボを切るとか高いはしごに登った主役さんを支えるとか今度の鯉のように被り物の役(馬や蝦蟇など)をする役者サン達や、陰で支える裏方サン達の力も大きく、感動さえ覚えることがあります。
猿之助ワールドのような舞台に、観客席は大いに盛り上がりました。なんと言っても舞台と客席の近さが半端ではありません。花道などでは役者の着物のすそが自分の席に垂れてきたりする距離ですから。江戸時代の人になったような気分に浸れるレトロな芝居小屋の仕掛けをふんだんに使っての舞台は、皆さんを満足させたようでした。
芝居が終わるとホテルでの会食。広い広い部屋に16人・・・広すぎて!お料理はこんぴら歌舞伎特別料理とはいえ、品数の多さ、最期に四国ならではのざるうどんも。残すのは悪いなあと思っても、食べきれない。勿体無いなと思ってしまいます。
そういえば昼も最期におうどんが。昨年は金毘羅歌舞伎の後知人宅に泊まって観光を楽しんだのですが、讃岐饂飩何軒か、地元の美味しい店を案内してもらいました。二人とも讃岐うどんは好きなので、食べ歩き楽しかったけど、地元の方にとっては、饂飩は別腹のようです。 翌日はバスガイドさんの説明を聞きながら、栗林公園へ。曇り勝ちの空でしたが、まだ桜も少し残り、淡いピンクと萌えはじめた新緑のコントラストが何とも言えず綺麗でした。
屋島ではボランティア案内人の方の説明つきで。屋島神社に詣でたり、海 を見下ろしながら、ここ壇の浦で源氏と平家の興亡をかけた海上での戦いがあったのだと想像するのみでしたが、歌舞伎の「義経千本桜」源平の葛藤をテーマにした物語があり(安徳帝を抱いて海へと飛び込んだ二位の尼や那須与一、佐藤継信・忠信兄弟の故事など、いろんな意味で史実と照らし合わせて、感慨深いものがありました。金田一博士が那須与一について現地で講演したコピーを、案内人の方から頂いたのは嬉しいことでした) 和気藹々、同好の仲間達との短いけど,楽しい旅でした。レトロな江戸そのままの芝居小屋での観劇を、みなさんが喜んでくださってほっと嬉しくなりました。災害のことなど、心ふさぐことの多い日々ですが、元気で明るく前向きに歩かないと!
大きなリュックを背負った保育園児たち、遠足で栗林公園に来たのかな?