高台のホテルの広い窓ガラスから、明け染める伊豆の海と空を眺める。少し曇りかなと思われる空だったが、それでも朝の光が広がり、海面に柔らかな朱色の揺らぎを作り出す。しばし見とれながら、さて2日目は何処へ。市内も湾内遊覧船も興味はあるけど、折角だから足を伸ばしてみようかな。
ホテルのフロントのお兄さんが『夕方までに駅に戻るのなら、堂ヶ島あたりがいいですよ』とパンフレットをくれた。よし、そうしよう!Mさんに?してお礼と行き先を告げる。
下田駅前より10時発のバス。このバスの中が楽しかった。乗客はお年寄り二人。『何処から?』と尋ねられ、『横浜からですが、ほんとは九州の太宰府から』『まあ、一度太宰府天満宮行ったことがあるよ』に始まって、運転手さんも加わってのお喋り。『帰りは海沿いのバスに乗るといいよ、時間はかかるけど、綺麗な海がずっと見えるから』など教えてくれる。そういえばバスはずっと山の中を走る。地元のお年寄りが時々乗ったり降りたり。お互いに顔見知りらしく、ご近所の人の話や病院通いの話が飛び交う、その間に私の方を向いて、話しかけてくれる。旅の楽しさを感じるひとときだ。峠を越えて堂ヶ島へ。1時間半くらいだったか。
堂ヶ島では『洞窟めぐり』の船に乗る。ガイドさんの話を聞きながら、明るい静かな海を 楽しむ。源頼朝が隠れ住んだ岩屋などもあるとか。佐賀の唐津の七ツ釜というあたりに風情が似ている。海の洞窟、洞窟の上にまん丸な穴が開いて空の色がまぶしかったり。
潮風と優しい波のうねりとが心地よかった。長い歴史の中で刻まれた地層の浮き出した岩肌などを楽しんだ。短い時間だったけど。
船を下りてあたりをぶらぶら。『加山雄三ミュージアム』が。いかにも観光客相手らしいなと。その隣は『蘭の館』とか。こちらは興味があったので、ちょっと立ち寄ってみる。ずいぶんと大きな建物。ちょっとさびれたような感じがするけど、館内 は蘭の花・花・花。
ウイークデイのせいか館内は殆ど人影がなく、長いエスカレータを上り、広い館内をめぐるとなんだかちょっと怖い気がしてくる。標識に従ってとにかく歩いてみる。蘭の原種・歴史世界の分布図などもある。『伊豆の海一望のもとに』の看板に釣られて、山道へと出た。木立の中を歩くと”つり橋”が!!。
ととろサンは自慢じゃないが高いところが駄目。四国の祖谷の葛橋でも、座り込んでしまった経験があるくらい。”どうしよう、引き返そうか”でも~見晴台からの海の眺望は見たいし。決心して恐る恐るしっかりと手すり(鉄の綱)を握りしめながら、下を見ないようにしてやっとの思いで渡りました。「やったあ!」前後に全く人の影がないので、木立の中の細い道を辿る時は正直なところちょっと怖くて不安でした。見晴台に立つと、その頃はもう曇っていて・・・伊豆七島など全く見えなくなっていました。水平線と空の境もぼやけてしまっていて。帰りはつり橋を渡らないで戻る道があったので、ほっ!下のロビーでは飲んだトロピカルジュースがやけに美味しく感じられました。
記念に、パチリ。
蘭の館が余りに広かったので、思いがけず時間をとり、海沿いめぐりのバスを使うと、帰りの時間が・・・。来た時と同じバスで伊豆下田駅へ。伊豆は金目鯛が名産とのこと、干物などを土産に。また、『踊り子号』の乗客となりました。南伊豆はじめまだまだ訪れたいところも。でも、またいつか・・機会があれば。楽しみは残しておいた方がいい。今回はMさんのおかげで本当に嬉しい旅となりました。改めて感謝
横浜に帰り着いて・・・「アラ、デジカメの充電器がない!」ホテルに電話「はい、お預かりしています。」また、やっちゃったぁ。「そういう方多いんですよ」とホテルの方に慰められたけど。今回は大丈夫・・と思っていたのに~またもや、ドジのととろサンでした。