一昨夜の【千灯明】は汗ばむほどの蒸し暑さだったが、昨日から急に涼しくなった。ひんやりを通り越して肌寒く、慌てて長袖を羽織った。この天候が従来の”秋”なのだろう。
昨日朝何気なしにTVを見ていたら、作家の五木寛之さんが登場なさってた。NHKの【この人にときめき!】(だったか)という番組。途中で電話が入ったりで、じっくりと聞くことは出来なかったが、懐かしい(おかしな表現だが)気がした。昔かなり読んだものだ。福岡の炭鉱の町筑豊の生まれで引揚げ経験者。直木賞受賞は【蒼ざめた馬を見よ】だったか。もうお幾つだろう、75,6歳かしら。
いかにも作家らしい風貌は、銀髪の美しかった関西の作家藤本義一さんなどと、見た目の素的さにも惹かれたものだ(ミーハーととろでもあります)情緒漂う金沢の町を散策する姿もしっくりと雅な古都の中で”サマ”になっていた。
夫サンがサラリーマンを卒業した時、繊細風文学青年いや、老年かな。それが夫のトレードマークでもあるから、今まで’7:3に分けていた髪を、「ちょっとパーマを当てて五木寛之や藤本義一みたいにロングにしたら、きっと素的よ」と私好みに変えようとしたが、見事失敗。
「男がパーマなんて!」という世代の人である。物凄く堅い髪なので、手入れが面倒とスッパリと大工の棟梁みたいなヘヤースタイルにした。初めはびっくり。でも今は見慣れてしまってしまった。「こんなに洗髪が楽とは」と本人悦に入っている。
地元紙N新聞に9月より【親鸞】が連載となった。第一回を読んでふと、吉川英二の【新・平家物語】の冒頭を思い出した「面白そうだ」なんとなく切り抜いて・・・・。連載小説を切り抜くなんてことをするのは、随分と久しぶりのことである。
さっと目を通したものを、数日分溜めて精読している。楽しみだ。仏教小説、いえいえ、今非常に面白い人間像や時代の様子が、生き生きと描き出され始めているところである。TVでの五木さんの話に【鬱】の話が出た。もともとこの字は樹木が生い茂るという、活発な活動力のさまをいい、その力が内にこもって、外側へ発散することの出来ない状態になったのが今でいう”鬱”だとか。書くことから暫く遠ざかっていた時期があるのは、日本がぐんぐん”躁”状態になって加速して(それを繁栄と施政者も国民も受け止めていた)中で、自分の居場所がない、何か違う!という気持ちがしていたそうである。日本はこれから暫く”鬱”の状態が続くでしょうねと。そうかあ、国にも”躁鬱”があったんだなどと、新鮮な表現だなと思った。
面白い!と思ったのは、その欝の時代に書き綴られた【一行日記】
とにかく【楽しいかったことを書く】書かれたことが2,3羅列されたが、これが作家五木寛之がこんなことを・・・みたいな楽しさがあった。いいな、こういうのって。
・新幹線に乗ったら富士山が見えた。楽しかった。
・カレーライスを食べたら、お釣りが余分にきた。
あとなんだっけ。立ったり座ったりでみたので、正確には覚えていない。ゆっくり見たかったなあ。確か【悲しいこと一行日記】の話もでていたような・・・ちゃんと見ればよかったな。
お元気で書き続けてくださいね!