8月25日
気がついたら一ヶ月何にもUPしてなかった。今夏の猛暑に気持ちと身体がついていかず、活動的なことは何にもしていないなあと思った。郷里の友人のご主人様がコロナ感染、持病があったからか、2人も旅立たれたり、熱中症で入院した友もいたり、同世代の仲間にはそんな出来事が続いた夏だった。サークル仲間の60代の人も急死。西九州などでは線状降水帯で大きな災害も。世界ではまだ戦争のさなか。大国は自国の利害で動いているし、本当に切ないような気持ちになることも多い。
4年前に亡くなった夫を偲び、ささやかに迎えた8月のお盆、福岡の菩提寺には10月の祥月命日にお詣りすることにしている。毎年1回の帰省、いつまで続けられるかな…なんて、ちょっと気弱になった今夏である。
それでも幾本かの映画を。舞台は8月納涼歌舞伎の【歌舞伎座】第3部と『新橋演舞場』の【刀剣乱舞】のみ。上京するたびに、アチコチの劇場を飛び回っていた日が懐かしい。私も年取ったものだとしみじみ思う。
・映画『国宝』原作も読んでいたので封切二日目に観た。なまじ歌舞伎通ではない監督さんの新鮮な目線での【歌舞伎界】のとらえ方は見事だった。若い俳優、吉沢亮君のたおやかで可愛い女形役者ぶり、柔らかなほんわかした顔立ちの方が女形役者には似合う。きれいだった。横浜流星君のちょっときつめの秀でた顔、彼はくっきり鋭角的な男性として美形、だから形の顔を作るときつくなりすぎる、それぞれに特徴はあっても、歌舞伎に関しては素人の二人が、ここまでの所作を見事にこなすとは!随分と稽古を重ねたことだろう。感心した。
いろんな歌舞伎のエピソードも取り入れて、例えば壊疽で足を切断しても舞台に立った江戸の女形役者や、田中泯演じる人間国宝の女形役者は亡き六世歌右衛門さんを髣髴とさせる。中途失明は先代の仁左衛門さんなどの裏話的要素も盛り込んで、3時間という長丁場、飽きずに観ることが出来た。随分と好評で上映業績もうなぎ上りとか。この映画を機に、「ほんとの歌舞伎の舞台を観たい」と思ってくれる若い年代の人達が増えたら嬉しいなと思う。なんといっても、日本の生み出した大事な伝統芸なのだから。充分満足して観終わったのだが、ふと「ほんとの歌舞伎の舞台が見たいなあ」と思ってしまった。若い彼らの演技は凄い、よくここまで踊れたなとは思うが、幼に頃から鍛錬してきた役者さんは、大きな大変な役や踊りを、どこか軽々と自然体で踊っているしなやかさがある、修業しましたよ…という感じを見せないのだ。主人公の芸に対する執念ともいうべき熱心さにいは、圧倒された。そこがプロと歌舞伎に対しては頑張った二人との違いであろう.幼い頃から義太夫や踊りや鳴り物などをきちんと学んで稽古を重ねてきた役者さんの舞台はやはり素晴らしい。
私が古典芸能にハマったきっかけは、高校生の時、故阪藤十郎(当時 中村扇雀)の【曽根崎心中』を観たのがきっかけかもしれない。それまでも歌舞伎好きな祖父母・両親や叔父叔母たちに囲まれていたせいで、幼いころから解らないながらもあの色彩に飛んだ不思議な世界に惹かれていたことは確かだが。「国宝」にはその「曽根崎心中」が。
当時の舞台を思い浮かべたことは嬉しいことの一つだった。
映画は8月も幾つか見たが、まあ、当たり外れあったりして。
【父と僕の終わらない歌】認知症がテーマの映画だが、寺尾聡(若い時より年取ってから魅力を感じる俳優さんだ)が歌う当時のジャズなど、私も口ずさめる曲ばかりで、それがとても楽しかったし、寺尾聡の父親と息子の松坂桃季の屈託のない笑顔がとても素晴らしかった。松坂慶子さんのゆったりした大らかなおっかさん役も。
さて、歌舞伎だが
【刀剣乱舞】孫達と観劇(新橋演舞場)2,5次元声優さん達の舞台を歌舞伎化。
【野田版:研ぎ辰の討たれ】
(松也・獅童・莟玉・歌昇・鷹之資・左近・吉太朗・河合雪之丞など)
※ 歌舞伎に興味のある方へ。拙いブログですが。そちらに観劇感想などUP.
http://blog.livedoor.jp/okuni_n_2012/ 歌舞伎観たまま・想うまま
https://ameblo.jp/okuni-n/ 歌舞伎観たまま・感じたまま
蝉の声もなんだか「暑くて・・・」けだるそうに聞こえる。本のかすかだが、早朝たまに「おや、空気が」と強烈な暑さの中でも、季節は少し秋へと変化しているようだ。8月は福岡大空襲や疎開に始まる辛い生活、戦後もまだまだ落ち着かなかったあの日々を思い出すから、8月は暑いだけでなくとても私には今もなお心が重いざわつく月となっている。