買い物に出たついでに書店に寄った。目が悪くなって以来、余り読書が出来ないのだが、それでも本屋とか文房具には興味はあるので時間があれば覗く。あ、やっぱり!目につくところに「蔦重」関係の本がしっかり並んでいる。大河ドラマの「前宣」にも力が入っていたようで、滑り出し上々のようである。主役の蔦重には人気の流星くん、熱演真っ最中。吉原の色合いも鮮やか、それでいて哀しい雰囲気が良く出ているし、戦い・戦いの歴史に幕を下ろし、封建時代とは言えども支配下にある筈の町民の力が台頭して、今までない文化が花開いた江戸時代に、一番関心がある私にとっては、楽しみなドラマである。
(木挽き広場にはお雛様が。もうすぐ弥生の月になる)
2月の歌舞伎座は「猿若祭」勘九郎・七之助はじめ【中村屋一門】の舞台。昼の部の【きらら浮世伝】時流に乗っての蔦屋重三郎が主人公の芝居なので、これだけはどうしても見たくて出かけた。【夜の部】は少し体調不安定だったので用心のため割愛、残念だけど。
さて、その「きらら浮世伝」主人公は蔦屋重兵衛、大河ドラマで夢の実現に向かって疾走中のあの【蔦重】である。猿之助歌舞伎の「ヤマトタケル」などの脚本・演出でも知られる横内健介さんが32 年前に書いた脚本は今も斬新で(手は入れただろうが)、江戸の庶民の手による絢爛たる文化の華開こうとしていた時代、蔦重の「新しい物を創り出そう」とする熱意が、勘九郎の身体を借りて躍動した。男っぽさ、熱っぽさ、口跡の良さ、加えて舞台装置も良く、新しい【世話物(町人もの)】としても、満足した舞台だった。七之助の遊女お篠は美しく哀しく、歌六・芝翫・萬次郎・錦之助さんなど達者な役者さんが脇を固め、隼人・米吉・鶴松・橋之助・福之助などが色を添えた。
蔦重が手掛けた「吉原細見」などが質素倹約という幕府の改革(幕府は財政困難に陥っていたのだ)に合わず、華美で危険だと、以後浮世絵や戯れ本などが「奢侈禁止令」によって、しめつけられ、蔦重は財産の半分を没収、洒落本の書き手は「手鎖り」の刑を受けることもあった。歌舞伎も然り・・・だが、そんな窮屈な規則に臆することなく、蔦重の版元としての活動は歌麿・馬琴・写楽などをはじめとして、沢山の浮世絵作家や読み本作者を世に送り出した。西鶴や近松、俳諧の芭蕉なども江戸の人。
町民による文化の華、そしてこのエネルギーは、やがて武士の世界の動乱を巻き起こし、新しい時代の奔流は雪崩を打って、明治維新へと向かっていく。
歌舞伎座に行った2,3日後だったか、作者の横内さんがラジオに出演。六角精児さんの番組のゲストして。たまたま耳にしたのだが、【きらら浮世伝】初演の時の話など、面白かった。18代勘三郎さんが32歳の時、横内さんが26歳の時、セゾン劇場での上演だったとかで、その時の台本の読み合わせで、勘三郎さん(当時勘九郎)が言葉として発すると「自分の台詞がこんなに生きてこんな風になるのか」と戦慄さえ覚えたとのこと。それ程に勘九郎さんは【熱い役者】だったということだ。常に新しい物を求めてあくなき挑戦をした勘三郎という役者と蔦重の熱い想いは、相通じるものがあるように思う。勘三郎さんは57歳という若さで、役者としての熱い一生を駆け抜けて行った。蔦重は確か40代でこの世を去った。江戸時代の平均寿命かもしれないが、若すぎることは確か。今の時代は90歳、いや100歳までも可能な時代となったが・・・さて、長寿が良いことか否か。夫は常に「人間としての尊厳を失ってまで生きたくない。長生きするのは嫌だ」と話していたが。人の生死は神か仏に任せるしかない。沖縄言葉で言うなら「なんくるないさ」命のあるままに、同じ生きるなら楽しく穏やかに、人生を全うしたいものだ。平凡な私には、駆け抜けていった人のような才気も才能もないのだから。
優秀な人は若い時から頭角を現すのだろうか?横内さんは全国高校演劇大会で2位となり、その後早稲田大を経て劇団を立ち上げ、脚本・演出などで20代から数々の賞も貰っている。六角さんとはその厚木高校時代からの演劇仲間だったとか。そんな話も面白かった。
満開の枝垂れ梅、ちらちらと舞ってベランダに小さな花弁が落ちて来る。梅は桜のように儚く散らず、しっかりと最後まで枝に留まることが多いのだが、春近しの強風には抗えないのだろう。
2月が間もなく終わる。
歴史を感じます。
今日、たまたまテレビを見ていたらNHKの昔の大河ドラマの特集みたいなものやっていて、勘三郎さんが大石内蔵助を演じられていらっしゃいました。私はととろさんのこと思ってました。
我が家、ここ10何年?もっと昔からか大河もドラマも見なくなりました。
年のせいかしら・・・
蔦屋重三郎は谷津矢車さんの小説で拝読いたしました。この時代、蔦屋重三郎なしには語れませんね。
間もなく、弥生三月、一昨日、漸くお雛様飾りました。
「大河ドラマ特集」私も見ました。
ハイ、18代目勘三郎さんも先代松緑(好きな役者さんでしした)も。
大河ドラマを観ない・・・きっとお若いんですよ。時代物や歴史テーマのが多いから、観るのは年寄りが多く、若者は見ないとか。歌舞伎などもそうですね。日本古来の伝統芸能が若者に遠い存在になってしまったら,次代に継承すべき日本の宝ですからね。私が【歌舞伎を見る会」を作ってしまったのも、そんなことを考えたからでした。
間もなく3月ですね。春になったら、少し動き出そうかな。
おうちの中は寒いです。
暖房付けていますが、手が暖かくなりません。
いつもながら歌舞伎の話 長文で詳しく
文章の下手な私は
よくこんなに書けるなぁと
私が書いたら何日まとめるのにかかるかと
まもなく3月桜の便りが聞ける季節に
寒さも後少し
嬉しくなります
お昼にします
ラ-メンです
お昼はラーメン。そう言えば最近は博多ラーメンも千円とかになったらしい?観光客はそれでも食べるし、デパートなどの品物も高いなあと私達は思うけど、アジア系の観光客はどんどん買っているようです。
何もかも物価が高くなり、食品のパッケージが小さくなったように思います。年金生活の私は色々工夫してヤリクリしなくては。太宰府や福岡に比べると家賃も凄く高いから。
あらま、主婦の愚痴になりました。
間もなく3月、春到来もすぐです。でも、世界のニュースは「寒い」ことばかりで不安です。
江戸の文化には目を見張るものが有りますね。
歌舞伎も、浮世絵もその時代の様相を現代に伝えてくれていますね。
100年後、200年後に現代の様相を自慢して伝えられる様なモノがあるんでしょうかね。
まったく寒い世の中ですが、新しい春の息吹が早く吹いてもらいたいものですね。
日本は【物作り・学術】的な手先や知的な分野で、世界で認められてきた国でしたが、今は古来の文化などを軽視する政治家や企業の御大が多くなりました。精神の貧困さ・・・なのでしょうか。仰る通り、今の時代に流行ったものなどが、これから百年先にどれだけ文化的遺産として残っているのか?最近は心の貧しい国になったような気もします。
戦争も絶えないし、どうなるのでしょうか。
植物は積雪でもちゃんと季節を忘れず芽生えの時を待っています。これから春になってのお庭便り楽しみです。