もう一首、良様のお歌を。お歌を口に銜えているだけでこころが和(なご)む。
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ほととぎす鳴く声きけばなつかしみこの日暮らしつその山のへに
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「その山」は国上山ではない。野積という漁村に出向かれたときの作。野積は国上山の西の方にある。そこらあたりの麓の丘のことかもしれない。ホトトギスが山の手から聞こえてきたのであろう。ここで一日を過ごしてしまったというのだ。ホトトギスの鳴いている声が無性になつかしくなって、というのである。懐かしくなるとはこころが温まってくることか。生きていることが嬉しくなってこられたのだ、きっと。そのままじっと夏鳥の声をなつかしんでこの山の辺にお留まりになっておられた禅師さま。仏教者は山鳥の声すらも仏陀の声として聞こえて来る。眼前の仏陀と仏陀の法(ダンマ)をそのまま懐かしんで生きるという生き方もあったのだ。
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