すいすいと飛ぶ空間を飛び得ざるいきものどもはトンボ恋ひ恋ふ
山鳩暮風
空間はすいすいと、すいすいすいと飛ぶためにある。はずである。だがそれをそうできないいきものもいる。たしかにいる。トンボはそれができる。トンボになりたいと思う。恋い焦がれる。
可能なものと不可能なものとが、此処では共存している。
すいすいすいと飛び回れない多数が、飛び回れずに、地上で蹲る。
トンボが願いを叶えた代表者として、すいすいすいと飛んでみせる。トンボのその愉快を、全体の愉快とすればいいだけの話なのだが。
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