僕たちはじきに愉快な空を飛ぶ 愉快な声の青虫の足 薬王華蔵
*
青虫を短歌に登場させてみました。それも足を。何本も何本もある足を。ぞろぞろそて蠢く足を。(あれはしかし足って言うのかなあ?) ずんぐりした短い足だよね。
虫は変態して蝶になる。空を飛ぶことが出来るようになる。それまではずんぐりした足でじれったさそうにちょぼちょぼ蠢く。しかし、彼らはなにしろその後でひらひらと大空を飛ぶのである。愉快な空を愉快に飛ぶのである。それを思ったら、わくわくするよね。うきうきするよね。で、声までは愉快を先取りするのだ。青虫は鳴かない? うん、普通は鳴かない。でも、空を飛べるって事を空想して掛かるときは別なんだ。鳴くんだ。人間には聞こえないけどね。「僕たちはじきに愉快な空を飛ぶようになるんだぜ」「待ち遠しいなあ」なんて声が出てしまう。ついつい出てしまう。
人間も変態できたらよかったんだけどね。人生の後半は、軽々と楽々と空を飛べるようになれればよかったんだけどね。繋がれたままだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます