長篠落武者日記

長篠の落武者となった城オタクによるブログです。

設楽城 ~意外とすごい城~

2012年01月30日 | 落城戦記
東栄町にある設楽城。国道151号を走っていると目立つ看板がありますので、迷うことはないかと。途中城下施設のあった辺りは道が細いので対向車が来ないかヒヤヒヤしますが、そこを抜けるとコンクリの登坂道を走って広い駐車場へ。そこから歩いて3分で城に到着すると言う、大変お得な城です。
まちづくり団体の方々がこの城の整備を行っているらしく、木も伐採されて、竪堀が見やすくなっていたり、ありがたい状態になっています。
現地案内看板には復元図と縄張図が載っており、なかなか親切。


縄張図は結構載せてくれるところが多いですが、復元予想図は少ないです。
この城、振草川の蛇行により三方を川に囲まれた尾根の突端に造られているため、尾根筋に堀切を入れてしまえば、あら不思議。城の出来上がりです。こうした選地のよさもありますが、上記縄張図でお分かりいただけるように、大堀切と丸い土塁が目を引きます。実際、この現物を見たら、城好きならば興奮すること間違いなし。
派手なエピソードがなく、若干東三河の平地部からは奥に入るため、ひっそりとたたずむ地味な城ですが、山城の面白さが凝縮した素晴らしい城です。
実際、この城を下見した城に興味の無い方でも「あの城はすごいわ。」とおっしゃるくらいです。複雑な縄張で玄人向けの技巧が凝らされた古宮城よりも、シンプルで一つ一つの機能がわかりやすいこの城の方が城初心者には親切なのかもしれません。そして、玄人好みの方でも、よくよく見ると飽きの来ない城となっています。

遊歩道の先にある大堀切から丸い土塁を見上げると、優に3mはあるのではないかと言う巨大さ。この土塁があるため、主郭部分へ侵入するには、そのまま遊歩道から主郭部分へ上がる道と堀切を通って反対側から登る道の二つになります。
こりゃどうみても丸馬出の機能だ。

写真ではなんともその迫力が伝わらず、何度も撮りなおしたのですが、これが限界。大堀切から連続する形で東西に竪堀が落としてあるのは、現地を見ればすぐにわかりますし、縄張図を見ても如実に現れているかと。残念ながら遊歩道を作る際に、西側竪堀の一部を壊したのでしょう。コンクリ舗装の下の土が流れて、若干浮いた形になっていました。
丸い土塁がある郭から本丸までは意外と広さがあり、そこそこの人数を収容できます。とにかく切り立った崖の上にあり、木が無ければ相当見通しが聞いたであろう事は簡単に想像できます。

そして、この城、大堀切を挟んだ反対側の尾根にも城郭的な工夫がなされています。
途中、尾根を切岸で細くしており、更に進むと、虎口的なものが現れます。

上は主郭へ向かう道(南側)から撮影したもの。写真左の高まりと手前の方に堀が入って道が狭くされています。
大堀切で敵を遮断する前に、まずはここで尾根筋からやってくる敵を食い止めることを考えたのでしょう。

堀切と丸い土塁は、明らかに武田の影響を受けていると言って間違いないのではないでしょうか。『愛知の山城ベスト50を歩く』(サンライズ出版)でも「戦国末期に改修されて現在のような形になったと考えられる。」と言っていますが、全く同感です。自然地形を生かして竪堀や堀切で守っていた城に、武田の築城術が入り込み、堀を深くして大堀切にするとともに、丸土塁で馬出機能を持たせたのでしょう。

残念ながら、この城に関して有名武将のエピソードがないので見落とされがちですが、縄張が好きな方なら、きっと満足していただける城だと思います。

ここは、本当に一見の価値有りです!

また、この近くに「とうえい温泉」という立ち寄り湯があります。結構いろんな風呂が合って楽しめますし、広いのでゆったりできます。お勧めはチキンカツ。えらいことデカイのです。そして確か800円程度。安い。最近胃袋が小さくなった私だと、食べきると腹がはちきれそうな大きさです。
城で動いてガッツリ行きたい方は是非。東栄町は東栄チキンといって鶏肉を売り出していますので、から揚げかチキンカツをお勧めします。確かに美味しいですよ。
ただ、チキンカツがたまに売り切れのときがあるので、要注意です。

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