長篠落武者日記

長篠の落武者となった城オタクによるブログです。

越後の龍、蛇にやられる。

2012年02月25日 | 戦国逸話
名将言行録という戦国武将のエピソード満載の本があります。
そこの中からトンデモ系のエピソードを紹介してみたいと思います。一緒に城を巡っている人達向けのホムペで連載していたものからイロモノ色が強いものを厳選してブログに復活させてみました。

不肖うらにわが現代語訳するため、わかりにくい部分はすっ飛ばして訳しますのでご了承ください。

第一回は戦国武将人気No.1の呼び声も高い越後の龍『上杉謙信』です。
謙信と言えば、大河ドラマ「天地人」で阿部寛が演じてうまくはまった感がありましたね。名将言行録ではこう特徴を言っています。

輝虎(謙信の本名)は、体が小さく、左脛にはれ物があって、引きつっていた。
 
え?謙信て小さいの?阿部寛でかいけど…。
さらに左の脛にはれ物があって足が不自由なの?
はれ物は晩年になってできたのだと思われますが(結構馬に乗って戦う話が他にあるから。)、身長はそう変わらないでしょう。戦国時代の日本人は今より小さいわけですから、その中でも小さいと記述されたと言うことは、かなり小柄だったのではないか?
うらにわ(174cm)と謙信が並んだら「おい謙信、小田原のコーラが飲みたいから買ってこい。」と頭を小突いくことができるかもしれません。(もっとも、その後斬殺される事必定。)
 
と、まず外形的なイメージをぶち壊したところで、謙信の無軌道ぶりを描きます。

『巨蛇を打つ』
 謙信が諏訪神社を参拝すると、大蛇が出てきました。
 これを見た巫女さんが言うには
 「この蛇は神の化身です。神様がお出になったからには、あなたの願望は叶います。おめでとうございます!」
 すると、謙信、いきなり鉄砲をぶっ放して大蛇を撃つ。
 大蛇は大怪我をして逃げていき、その時、神社の木々は一斉にざわめいたとか。
 しかし、謙信が笑って言うには、
 「神に形など無い!あの長いモノが何の神だというのだ。人が神だと騒ぎ立てていると騒ぎが大きくなって、必ず後で害になるのだ。今、儂は民の害を除いてやったのだ。良いことをした。」と、神社を拝んで帰る。
 家臣達は祟りを恐れるものの、謙信には何も言えない。

 夜になって、謙信は熱を出して寝込み、医者が診ると、全身から蛇が出ている状況に。しかし、謙信は部下に命じて燭をともさせ、一匹ずつ取り除かせたところ、しばらくして治ったそうな。

謙信…。
豪快だかなんだかよくわからない話です。

神の化身だ、と言っているのに鉄砲で撃つのも大概ですが、まぁ、言わんとすることは理解できます。それで話が終わればいいんですけど、どう考えても祟りに遭ってるとしか思えない状況になっている。オチつけてどうすんだ。

全身から蛇が出ている状況というのも、どんな状況か不明です。
想像するとかなり怖い。
一匹ずつ蛇を取り除かせられた部下も気味悪いでしょうし、そのうじゃうじゃした蛇はどうしたんでしょうか。そもそも、諏訪大社って武田色の強い神社のような気もするし。だから撃ったのか?原文は「諏訪祠」となっているので、どの諏訪神社かはわかりませんが、謙信が生きている間に武田領だった諏訪大社には行ってないと思うので、たぶん、領内の分社なんでしょうかね。
謎が謎を呼びます。

でも、鉄砲で撃った後にすごく得意気になっている謙信公が目に浮かぶようでほほえましい。巫女さんは唖然とし、部下もびびってるけど謙信には畏れ多くて意見できていない。なんか組織に属している人間の悲哀がにじみ出て、なんとまぁ人間くさい話じゃないですか。現代でもありがちな話。

『越後の龍』なのに蛇にやり返される、っていうのも、なんだかねぇ。


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