長篠落武者日記

長篠の落武者となった城オタクによるブログです。

2020 第4回極寒の水鉄砲合戦 in 設楽城

2020年02月16日 | 極寒の水鉄砲合戦
本当の山城で、本気の大人たちが、本物の戦いを見せる。


狂気の宴、極寒の水鉄砲合戦in設楽城が、2月15日に開催されました。

※狂気以外、何物でもない人。

15分4回勝負を支えるのは、弾薬となる水。


これらを頂上に持ち上げるのが一苦労なのです。

※地味な作業に支えられている派手なイベントの図。

今年もあちこちで、激戦が繰り広げられました。






もう、皆さん、本気モード。リピーターが多いのも特徴なこの戦い。
既に、この戦場での戦い方を知っている猛者どもが、新たな参戦者に的確な指示を与えていく場面もありました。


今回は地元参戦者の比率も高く、半々。男女比、町内外比はほぼ半々。

※男性陣


※町外はほぼ女性というのが特徴的なこの戦い。

初参加の人も多いので、スロースタートかと思いきや、ロケットスタートを切る皆さん方。
速攻で戦死してしまう人多数。どんだけ戦闘的なんじゃ、と、主催者の私が驚かされました。
今年の特徴としては、人数が少ないため、戦闘場面が二の丸馬出付近で行われることが多かったです。
また、高低差を活かした戦い方も多く、本丸と二の丸を隔てる櫓台跡を陣取っての戦いも3回戦から多く見られました。

※櫓台に陣取る。

さらに、今年はこのイベントを心待ちにしていた猛者どもが多かったせいか、例年になく白兵戦が激しく行われ、水が無くなったために相手がつけている金魚すくいのポイを破ると死亡させることができるため、各所で格闘が行われるという凄惨な光景が現れたのが特徴的でした。

※男女関係なし。容赦なし。死して屍拾うものなし。

今回は小学一年生も参戦。人数が少ないので対応できると思ってみていたら、大健闘。


面白いのが、やっぱり皆さん、ちゃんと馬出機能を使うんですよね。城のことよく知らない人達でも、3回戦くらいになると、本来の使い方をするのです。
高い方から低い方に向かって遠矢を掛けて相手の動きを封じる動きを見せていたのが、個人的には「へぇ、やっぱり人間そうなるんだ。」と感心しきり。




さっきまで和気あいあいとしゃべっていた人同士が、壮絶に打ち合う。

※女性同士です。

そして人数が少ないから、皆、走る走る!


バケツごとぶちまける!




やっぱり裏側から回り込んでくる!


そして、4回戦を終わったところで、まだバケツに水が残っていることが判明。
そこで、今年は特別に戦い足りない豪傑共のために、第5戦が開催されました。
水が少ないのと、最終的にはバトルロワイヤル形式になったので、味方も敵もない怖ろしい光景が。

※襲い掛かる人の逆光の図。

最期を悟り念仏を唱える者に、とどめのバケツ水。

※容赦はしない。修羅道。

女性も戦場では戦うものの、一斉に襲われる。バトルロワイヤルなので、潰せそうな人から潰す、という戦争とはかくも人を非道にさせることがわかります。





※最期は木の陰に隠れて見えませんが、あえない最期を遂げていました。

今年は戦場カメラマンF氏が日程の都合で参加できず、みのりんが戦場カメラマンを買って出てくれました。

※このためにわざわざゆっくり話すカメラマンのコスプレをしてきてくれました。

このイベント、参加すれば最強に面白いことが分かって頂けますが、見てるだけでも面白いんですよね。
参加者の人間性がモロに出てしまうのです。普段とは違う、アドレナリン全開時、ヒトはどのようになるのか。それを見るだけでも面白い!
本当は、全体を4台くらいカメラで撮影して、各所の見所を解説しながら皆でみることができたら、最高に面白いと思うのです。
実際、カメラマンを務めていただいた方々からは、見てるだけでも十分面白い、という意見を頂いています。

実際の山城が城として機能する。
その機能を体験する。
そして、山城の魅力を理解する人が増える。

これこそが、この企画の狙いです。

今年は主催者の私が公私ともに多忙を極めていたため、周知が遅くなり参加できない人が多くなってしまいました。
改めてお詫び申し上げます。
来年は、打ち上げもやろうという話になってますので、十分な準備を経て行います!
見学者も楽しめるならば、事前周知をもう少し拡大してもいいのかな、と、思ったりしています。
本当の山城で行う、本当の戦。
第5回も絶対やります!

中世の罪と罰

2020年02月14日 | 日本史
個人的な事情で長らく休止しておりましたが、復活することとなりました。
また、くだらぬ駄文を書き連ねていく所存です。

さて、復活一発目は、網野善彦等『中世の罪と罰』(講談社学術文庫、2019年)の御紹介。



だいぶ歴史系の本読むのから離れてたので、いざ、再開、となってもなかなか勢いがつかない。
久々に本屋をぶらついていたら発見したのが、この本です。
笠松宏至氏が書く第1章のタイトルが「お前の母さん・・・」。
悪口罪が御成敗式目に明文化されており、軽い悪口で拘禁、重い悪口は流罪だったとか。ただ、この笠松氏、興味を覚えたのは、現代刑法との比較とかではなく、当時の訴訟資料からわかる中世の具体的な悪口の事例についてのようです。
そこで笠松氏が拘った表現が「母開」。
やたら出てくるこの表現は何ぞや、ということに疑問を抱いた笠松氏、様々な文書にあたり調べていきます。
結果的に、わかった内容は、万国共通の相当に下品な悪口、アメリカのラップなどで使用されている「motherf●●●er」だったことを、学術的に立証していくのです。

講談社学術文庫で、まさかのフレーズ解説。
立ち読みで思わず笑ってしまい、気づいたら買ってました。

中世の法は、撫民法で、民間自警団の方が過激な刑罰をしてしまうので止めるように作られた条文があったり、「死骸敵対」という謎のフレーズの意味が解き明かされたり、盗みがなんでこんなに罪が重いことになってるのか、とか、家を焼くのはなぜか、とか、正直、知ったところでどうしようもない知識がオンパレード。

しかし、鎌倉時代~室町時代の、現代とは違ったおっそろしい世界を垣間見ることができて、「馬庭の末に生首絶やすな」で有名な鬼畜「男衾三郎」の世界へ誘ってくれます。(※男衾三郎・・・『男衾三郎絵詞』の主人公。武辺一辺倒で家の近くを歩いている旅人を捕まえては首を切って馬小屋近くに備えて荒々しさを保とうとしたり、兄が京都へ出張途中に山賊に襲われて死ぬと、兄の妻子を奴隷のようにこき使ったり、と、かなり鬼畜な所業を行う。ちなみに絵詞は途中で失われており、仏様の力で兄の家族は救われるといった話ではなかったかと推測されながらも、結果的に鬼畜男衾一代記で終わってしまっている。)

中世は現代から見ると「北斗の拳」の世界そのものといっても良さそうな感じ。
中世を法令から読み解くこの本。文章は学術的ですが、内容は相当にくだけてるので、お勧めです。