今日は昨日の続きのルートを探索に行きました。
戦中から戦後までこの玉原地区には林業を生業とする人たちの集落があり、小学校の分校もありました。伐採した材木はトロッコなどを使ってみなかみ側に下ろしました。
材木を運んだトロッコの軌道があった場所は今でもわかります。湿原の周りにはその時代の釘が地面から出ていたりします。
トロッコの奇跡を追う方法もありますが、とりあえずはすでにできている道を歩いてみようと「玉原越」とか「藤原越」と呼ばれる登山道を下りて見ることにしました。
玉原に林業の拠点があった時代、沼田市に出るよりもみなかみ町の藤原に出る方が近かったそうで、人が歩いて出られる道が今は登山道になっているようです。看板には下りで1時間半とありますが、私たちは1時間ほどで降りたので、ランナーならもっと早いでしょう。
多分大会で使わせてもらえるとしたら山を下るルートになると思いますが、下り始めてしばらくは軽トラが通れるくらいの道幅がある緩やかな道になっています。
ところどころ倒木や覆いかぶさった枝がありますが、しっかりした心地よい山道です。
一面、まだ若いブナの森で斜面をジグサグに歩道がつけられています。急傾斜を下りるような場所がないためつま先を痛める心配もないでしょう。
雪が積もりはじめれば人の背丈より積もる場所ですが、まだ雪が降っていないので、ランナーやハイカーが来てくれることを期待して目印に赤いテープを巻きながら山を下りました。と言うのも、下って行く分には一本道なのですが、逆に登ってくると道を間違えそうな沢などがあるので要注意です。
今は葉が落ちていますが、葉が茂っている季節には広葉樹の森なので日が当たらないのでしょう。雑草があまり生えていません。
一ノ倉沢やマチガ沢の岩場もよく見えました。
三つ見えるピークは左からトマの耳、オキの耳、一ノ倉岳の山頂です。
一番左のピークのトマの耳から長く手前にのびている尾根が西黒尾根で谷川岳登山の代名詞の尾根です。
カツラの木はハート形の独特の形をした葉を持っており、既に葉は落ちていましたが枯葉を見てもその形でよくわかります。キャラメルのような香りがする木で、私が子供の頃にはこの木で櫛を作っていた職人がいました。
中国の「桂」はキンモクセイなどのモクセイの木を意味しますが、日本の桂はこの木を意味するみたいです。
大きな沢ではないので、石を踏みながら濡れることなく渡れると思いますが、苔が生えた石は曲者です。滑るで。
みなかみの森は木と木の間隔が広いので圧迫感がなく湿気もこもらないので心地よい森歩きができます。木の素性も森の雰囲気もすっきりおおらかなので、森の空気も陰湿感がありません。夏、葉が茂って視界は悪くなっても快適な森林浴ができると思います。
この舗装路を100mほど下ると変電所が出現します。山の上からも下が光って見えるのでその姿がうっすらわかるのですが、下に下りて実物を見るまでなんだかわかりませんでした。
ここまで降りてきて重大なことを発見しました。下にクルマを置いていないので、帰りは登り返さなければなりません。山は下るもので登るものではないとこのところ横着が身に沁みてきた身にはきつい帰り道です。
昨日あれだけ歩いたのにまた歩かなければならないと後悔しながら、来るんじゃなかったと今降りてきた山道を登り返しました。
登りながら目線を変えてみると下ってきたときには足を止めて見ることがなかった滝などが姿を変えて目に入ります。倒木に歩きやすいようにきざみが入っていたり、夏に草刈りに来ていることなどもわかりました。
登り切ってしばらくしたころ、トレランランナーの揚子ちゃんから電話がありました。なんと藤原の宝台樹スキー場まで来ていたとのこと。
毎度毎度何とバッドタイミングなんだろう。一昨年だったか、私が一泊二日で谷川岳から白毛門山まで縦走して”まだまだ行けるジャン!”とご満悦になっていた翌日、同じコースを7時間で走ってしまい、面目丸つぶれになってしまいました。
すぐ近くまで来ているのだったらクルマに乗せてもらって玉原まで送ってもらえたのに。もう、登り切っちゃったしぃ。
クルマでは大回りになるので、歩いてまっすぐ登ってしまった方が時間的には早いと思うのですが、 楽したいしぃ。
揚子ちゃんは宝台樹スキー場から武尊山頂に登り、先週私たちが立ち入り禁止のロープを張った湿原の尾根を田代湿原方面まで下り、そこから水源の森をみなかみ側に出て、峠の車道をスキー場まで走ってきたとのこと。30kmはあるんじゃないかな?
やっぱ、まともな人と山に行こう!
登り返して湿原を歩いたら光線の加減なのか?昨日より草紅葉が濃く映りました。
昨日のルートから続ければ快適な山を楽しめるルートになると思うけれど、山の反対側に迎えの車でも用意できればいいのにね。
それでも娑婆には人類の常識を超えた人たちがいるからねぇ。行って戻ってくるくらいやらかしかねない。年々山道の距離が長く感じるようになってきたので、じっくり時間をかけて歩くのも楽しいですよ。