「貿易は国力を弱める」。学生時代に瀬島龍三さんの話を聞く機会があり、この言葉が出たときには耳を疑いました。伊藤忠商事の会長がなんということを言うのだろうか?
あれから30年以上たっておぼろげにその意味がわかるようになりました。
90年代のクリントン政権時代に、カーラ・ヒルズやミッキー・カンターなんて通商代表が日本に「もっとアメリカ製品を買うたらんかい」と圧力をかけてきましたが、あの時代はまだメイドインUSAがありました。
いまは、ほとんどないでしょう。庶民でも手が届く価格帯の製品は大方中国などで製造していますし、ネットや特許物件でいくら利ざやを稼いでも、一般労働者の雇用促進になるわけではない。合理主義を突き詰めた結果が自らの足元を崩してしまった典型ですね。
後は国債増発してドル安に誘導したところで、すでにアメリカ製品を作っていない。最後のビッグビジネスは戦争になるのだろうか?それも国力が衰える前にやらなければ負けるでしょう。
円高で原油高、電気料金の高騰。日本を離れる製造業も多くなりましたが、貿易が国力を弱めることを身にしみる昨今です。作る側がよければ売れるという思い上がりを捨てることも求められますが、消費者が意識して国産品を選ぶよう心がけなければなりませんね。