傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

NHK「日本人は何を考えてきたのか」:内村鑑三「デンマルク国の話」・・・先人が再生を解法済(所感)

2013-01-05 19:36:11 | 独り言

年末年始は、終日TV視聴で時間を割いたが、NHKの特集番組「日本人は何を考えてきたのか」を視聴し、先人の偉業については学校の教科書レベルしか知らなかった当方には、啓発される内容でした。
先人が日本の進むべき方向性なり再生の解法を提起済みを思いましたね。

NHKの特集番組「日本人は何を考えてきたのか」の番組紹介は、
”「未曾有の震災、原発事故、そして混迷する政治・経済…いま、私たちは文明史の転換に立たされています。
日本はどこへゆくのか。時代の座標軸を求めて、思想や哲学を求める声が高まっています。
日本が近代文明を目指して開国してから150年。この間、人々は時代と向き合い、何を考えてきたのでしょうか。
思想の巨人たちの苦闘の中に、今を読み解く手がかりはないのか―。
このシリーズは国際的な新しい視点で2年がかりで日本人の近代の思索の営みを描いていきます
。」”
で、明治、大正、昭和偏の構成で、今後の放送予定、再放送(?)は、

明治偏 文明の扉を開く
第1回 日本はどこへゆくのか ~福澤諭吉と中江兆民~
     (1月8日(日)午後10時~11時30分)
第2回 自由民権 東北で始まる
     (1月15日(日)午後10時~11時30分)
第3回 森と水と共に生きる ~田中正造と南方熊楠~
     (1月22日(日)午後10時~11時30分)
第4回 非戦と平等を求めて ~幸徳秋水と堺利彦~
     (1月29日(日)午後10時~11時30分

大正偏 「一等国」日本の岐路
第5回 東と西をつなぐ ~内村鑑三と新渡戸稲造~
     (7月1日(日)午後10時~11時30分)
第6回 大正デモクラシーと中国・朝鮮 ~吉野作造と石橋湛山~
     (7月8日(日)午後10時~11時30分)
第7回 魂のゆくえを見つめて ~柳田国男 東北をゆく~
     (1月6日(日)午前0時10分~午前1時40分)
     (7月22日(日)午後10時~11時30分)
第8回 人間復興の経済学をめざして ~河上肇と福田徳三~
     (1月6日(日)午前1時40分~3時12分)
     (7月29日(日)午後10時~11時30分)

昭和偏 戦争の時代を生きる
第9回 大本教 民衆は何を求めたのか ~出口なお・王仁三郎~
     (1月6日(日)午後10時~11時30分)
第10回 昭和維新の指導者たち ~北一輝と大川周明~
     (1月13日(日)午後10時~11時30分)
第11回 近代を超えて ~西田幾多郎と京都学派~
     (1月20日(日)午後10時~11時30分)
第12回 女たちは解放をめざす ~平塚らいてうと市川房枝~
     (1月27日(日)午後10時~11時30分)
で、当方は、第3回の放送から視聴し、浅学の身の当方には啓発・触発される内容です。

第3回の足尾銅山の鉱毒問題に心血を注いだ田中正造氏には、福島原発事故の放射能汚染問題を連想させ、南方熊楠氏の巨人さに驚愕し、神社合祀令に反対し神社の鎮守の森を守る活動を知りました。
この鎮守の森を守る活動は、柳田国男氏が登場し、本ブログ「「日本未来の党」よ、「いのちを守る森の防潮堤推進」を支持表明を!」で取り上げた生態学の宮脇昭・横浜国大名誉教授が提唱する「いのちを守る森の防潮堤推進」に相通じると思いましたね。

第5回の内村鑑三氏新渡戸稲造氏では、「Boys, be ambitious(少年よ、大志を抱け)」で有名なクラーク博士の札幌農学校の2期生同志で、キリスト教に出会い、内村鑑三氏は不敬事件など紆余曲折があり、無教会を設立し、非戦論を提唱し、文明と文明を仲立ちする小国論者になる。
朝鮮留学生は内村鑑三氏に影響を受け、朝鮮に無教会を紹介し、現在も無教会は活動中と。
新渡戸稲造氏は、植民地政策に苦言を呈し、国際連盟の事務局に就き、各国の民間団体を繋ぎ平和活動を目指し、戦争回避に智恵を出し合う知的協力委員会の設立を目指し、各国の知識人(アインシュタイン、キュウリー夫人ら)に呼びかけし、12人による知的協力委員会をスタートさせ、今日のユネスコに引き継がれると。
その後、オフレコの軍閥悪発言が非国民と糾弾され、日米開戦回避にアメリカでの講演活動を
また、相互理解を信条とし、戦争の無い世界平和には世界を知り世界を理解する女性育成が不可欠と教育にも注力。

番組のゲストからは、戦後の教育の基礎を作ったのは、内村鑑三氏と新渡戸稲造氏の門下生と言う事は衆知の事実とし、その証は、前の教育基本法の作成委員会の代表であった矢内原忠雄・元東京大学長は、『新渡戸を母とし、内村を父とし自分が育った』と語っていたと紹介していました。

当方の印象的な部分は、内村鑑三氏の「デンマルク国の話」(1911(明治44)年10月22日 講演)でした。
番組では、敗戦国デンマークは荒地しか残らなかった領土を植林で復興させた場面もありましたが、番組のエンデイングに、飯館村で有機農業を実践していた村上真平さんが放射能汚染で三重県に疎開し、有機農業に再挑戦する場面に、「デンマルク国の話」の
”「富は有利化されたるエネルギー(力)であります。
しかしてエネルギーは太陽の光線にもあります。
海の波濤(なみ)にもあります。
吹く風にもあります。
噴火する火山にもあります。
もしこれを利用するを得ますればこれらはみなことごとく富源であります
。」”
がテロップで表示され、
”「後世の為に何をすべきか? 内村の問いは私達に投げかえられているのです」”
の音声でのエンドの部分です。
内村鑑三氏が90年前に自然エネルギーの活用を提唱していた先見性、洞察力には驚愕しました。

安倍晋三首相が、「日本を取り戻せ」と叫び、憲法改正、教育制度改革、日中・日韓問題、原発再稼動を重点テーマとして、にぎり拳を掲げているが、第6回では、朝鮮への理解者の吉野作造氏と日中友好の先駆者の石橋湛山氏を取り上げており、先人が日本の目指す方向性や取り組む姿勢を示しており、当方に言わせれば、安倍晋三首相の「日本を取り戻せ」は、日本は日米安保ありきのアメリカ隷属に特化すべきと聞こえますね。
「日本を取り戻せ」ではなく、「先人の教えに戻ろう」「先人の教えを見直そう」が賢明と思いますね。
安倍首相には、「温故知新」の諺の意味を再認識してもらいたいですね。

当方は、神社仏閣には親近感があるが自身は無宗教と思っており、「信じる者は救われる」という信仰には抵抗感がありますが、NHKの特集番組「日本人は何を考えてきたのか」を視聴し、自分の無知さを痛感し、諸々、考えされました。

「付記」

内村鑑三氏の「デンマルク国の話」の全文は、ネットに公開されています。
デンマルク国の話
信仰と樹木とをもって国を救いし話 
内村鑑三



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