傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

エコノミスト、ジャーナリストより実務家の論評が波長が合う(雑感)

2013-03-02 11:01:35 | 独り言

本ブログ「ブログ「社会科学者の時評」の「アベノミクスの無哲学」について(雑感)」で、朝日新聞に掲載された斉藤誠・一橋大学院教授へのインタビュー記事「経済学は無力か」を、ブログ「社会科学者の時評」様の論評を紹介し、エコノミストの話は後追い理屈と書きました。
斉藤誠教授のアベノミクス批判の話は、諸々で賛否両論で取り上げられていますね。

長谷川 幸洋氏が「現代ビジネス」に寄稿のコラム『政権批判ばかりのメディアや「ダメダメ」論の学者はもういらない! いま、国民が知りたいのは「どうしたら暮らしが良くなるのか」である!』で、標題にある「政権批判ばかりのメディア」は、暗に「日刊ゲンダイ」を示唆し、「「ダメダメ」論の学者」を斉藤誠・一橋大学院教授を名指して、政権批判は食傷気味と批判していますね。

長谷川 幸洋氏は、斉藤誠・一橋大学院教授について、
”「一方、経済学者の中には相変わらず「円安株高は格差を広げるだけ」という批判もある。

たとえば、斉藤誠一橋大学大学院教授は「エネルギー、食料の価格が上昇しているところに円安が進めば、ガソリンや灯油、野菜の値段はさらに上がる。給与明細の額が増えても必需品価格がもっと上がれば、暮らし向きは悪くなる。・・・小泉構造改革で問題になった『格差』がもっと顕著になる可能性があります」と主張している(27日付朝日新聞オピニオン欄)。

こういう議論は一見、もっともらしい。ときに口汚く政権をののしる夕刊紙より上品そうな趣もある。だが、言っていることは夕刊紙とたいして変わらない。ようするに「円安株高は格差を広げるからダメだ」と言っているのだ。

斉藤教授は「デフレの要因は、日本経済の国際競争力が弱くなったからです」とも言う。それじゃ、どうしたらいいのかと言えば「日本がこれだけ高い生活水準の経済を保とうと思ったら、それに見合う労働の質が必要。いつも学生に言っています」と指摘する。つまり「もっと勉強しろ」だ。

・・・・・・・・・・・・・
はっきり言おう。私は斉藤教授のような言説をまったく信用しない。それはもう、さんざん聞き飽きた。株高になっても景気が上向いても「ダメダメ」と言って、けちツケに終始する。いっそ「学生がしっかり勉強しない限り、デフレは脱却できない」とはっきり言ったらどうか。それくらい分かりやすく言えば、学生もこの先生に教わろうかどうしようか、しっかり自分で判断できるだろう
。」”

と、食傷気味と酷評しています。

長谷川 幸洋氏に暗に示唆された「日刊ゲンダイ」は、「日々坦々」資料ブログ様によれば、日刊ゲンダイの記事『早くもバレたアベノミクスというデマ 国内景気は良くなるのか疑問だ』で、
”「2本目の矢の「金融緩和による脱デフレ政策」もインチキだ。リフレ派の代表、黒田東彦日銀総裁と岩田規久男・副総裁のコンビで、日銀にさらなる緩和をのませ、2%の物価目標を達成させるとしているが、一橋大大学院教授の斉藤誠氏は朝日新聞でこう言った。
「2%の物価目標ですが、市場は中長期にも実現するとはまともに信じていません」
一刀両断なのである。

安倍首相は市場の反応に胸を張り、アベノミクスの「成果」を強調しているが、斉藤教授はにべもない。
「株高の要因の円安は政策効果とは言いがたい。すでに昨夏から全通貨ベースで円安は進んでいました。政権も自らの政策効果などといわず、自然体で臨めばいい
」」”
と、アベノミクス批判に、斉藤誠教授のインタビュー記事を引用していますね。

当方は、赤字国債に依存する日本体質は、金融・財政政策程度で良化すると思えず、アベノミクスを絶賛するメディア、有識者には食傷気味になっております。
「寄れば大樹の側」、「長い物には巻かれろ」と「お上」に擦り寄るメディア、有識者、既得権者の意見とは波長が合いませんね。
大勢を批判する少数意見は、全部が全部が正論をは思えないが触発されますね。

むしろ、現場の戦いしている実務者の意見のほうが波長が合いますね。
井上 久男氏が「現代ビジネス」に、北野一氏(JPモルガン証券)との対談記事『日本経済は本当にデフレから脱却できるのか---『デフレの真犯人』著者、北野一氏(JPモルガン証券)に聞いた』には共感できますね。

井上久男氏の
”「---ROE高めると株価も上がって株主から評価される。株価が上がれば含み資産も増えて、それが消費行動に結びつくのではないでしょうか。その結果、景気が良くなるのではないでしょうか?」”
の問いに、北野一氏は、
”「実はアメリカでも同じ議論があります。米コロンビア大教授でノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・E・スティグリッツが著した『世界の99%を貧困にする経済』は、従業員も取引先も疲弊してしまい、投資家だけが利益を得るという、まさにこの問題点を指摘しているわけです。

 日本は、企業体力や社会状況に見合わない無理筋のROEを投資家から要求され、それが社員や取引先にお金が回らない状況を作り出していると言えるでしょう。「社会」と言ったのは、資産構成の違いがあるからです
。」”
と答えています。
北野一氏は、企業が純利益を多くしてROE(株主資本利益率)を高めているために、仕入れコストや労働コストを抑制して下請け企業や社員にお金が回らず、消費を冷やしていると言い換える事が言えるとし、今、株主主権によって日本経済が本当にうまく回っているのかを、考えるべき局面と提起し、
”「私の主張が正しいかどうかは分かりません。しかし、身の丈に合わないROEが日本経済をデフレに引き込んでいるのではないか、と問題提起したかったのです。議論して間違っていると感じれば修正します。こうしたプロセスを踏むことで政策から「死角」がなくなればいいと思っています。」”
と結んでいます。

マアー、エコノミスト、ジャーナリストは、物事を断定的な言い方をするが、実務家は、婉曲的に問題提起しますね。
当方は、バブル後、企業が純利益を多くしてROE(株主資本利益率)が企業活動のモノサシと声高く言ってきたことに違和感を覚えてきており、北野一氏の意見には共感できますね。

長谷川 幸洋氏は、政権批判は外野席の騒音で食傷気味になると意見しているが、皆が政権支持と絶賛することが不可解と思っており、政権批判が外野の騒音であろうが「物言えば唇寒し秋の風」にならないのが健全と思いますね。
極論すれば、政権批判は少数意見であり、批判意見では硬直化した日本社会は微動だしないのも現実です。
世の中、生成発展は「破壊と創造」の新陳代謝が不可欠であり、ROE(株主資本利益率)重視し経営良化の状況もあれば、ROE(株主資本利益率)重視が企業の成長力の障害になる状況もあると思いますね。



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