傍観者の独り言

団塊世代で、民間企業で「チンタラ・グウタラ」に過ごした人間の手前勝手な気儘な戯言・放言。

TPP開国:菅首相は国内農業視察より海外視察を

2010-12-17 06:52:27 | 民主党(菅政権)

菅首相が農業現場・施設を視察し、”「有意義だった。農業の再生と開国の両立を目指していきたい」”と農業改革とTPP協定に参画への思いを語っていますね。
TPP参画の是非に関わらず、農業改革は不可避であり、国内の先鋭的な農業現場・施設を視察することは結構なことであるが、日本の環境で頑張っており、成功しているのに過ぎず、ビジネス規模の観点から果たして本格的な自由貿易に耐えられるかどうかは疑問ですね。

菅首相は、4日には、千葉県の野菜の生産農家、加工施設などを視察し、農業の6次産業化の可能性に期待感を示し、12日には、山形県庄内平野を視察し、米づくり現場の課題として第一に若者の就農支援の必要性を指摘し、農業再生の鍵の一つに大規模化を指摘し、TPP開国に向けて地ならしをしていますね。
また、岡田克也幹事長も、14日に、新潟県胎内市内の製粉工場視察し、米粉製造は一石二鳥、三鳥の素晴らしい取り組みと絶賛し、TPP開国を意識していますね。

当方は、第一産業が国の基幹という思いがあり、国土保全という観点もあるが、地方と都市の共存、余剰労働力の活用などがあり、農業の短絡的な産業論には組しないのです。
菅首相、岡田幹事長の視察した現場は、日本の硬直化した農業行政で、先鋭的な取り組みの成功事例に過ぎず、完全自由化に耐えられるとは思えないのです。

大前研一氏のコラム『若者は農業のノウハウを学び世界へ飛び出せ』で、農業利権だけで農政を批判し、”「菅首相は世界の農地を見たことがあるのだろうか? 」”と問題提起しています。

大前研一氏は、”「日本の農政は農家を日本国内に閉じこめてしまったが、むしろ日本の農業を開放することを考えるべきだったろう。日本の企業あるいは農家の人たちが世界に飛び出して生産し、農産物を日本に持ち帰る。そういう夢が農業改革には必要なのだ。」”と、日本の若い人は国内で農業に従事するより、海外で農業を挑戦のが夢があると論じています。

農業の経済原理からでは、大規模化は当然であるが、国内での大規模化だけで再生は疑問で、日本の特徴の労働集約・自然志向の米作りを海外で大規模化は不可能ではなく、海外資本または日本資本が消費者嗜好・安全な米作の大規模化し、日本へ輸出するのは時間の問題ですね。
菅首相、岡田幹事長の視察した現場・施設は、国内の環境下で先鋭的な取り組みでの成功に過ぎず、成功規模もそこそこで、完全自由化の環境で、競争力が維持できるか疑問ですね。
菅首相・岡田幹事長は視察した農業は、TPP開国後も延命できても、ニッチでリッチなビジネス規模でしょうね。

3年前のに、NHK特集番組『ライスショック あなたの主食は誰が作る』の
第1回 世界がコシヒカリを作り始めた」の

”「戦後日本の食を支えてきた「コメ」。中でも品質とうまさから、その頂点に君臨してきたのが「コシヒカリ」である。しかし、ここ数年、グローバル化が進む中、アメリカ・中国・台湾など世界各国が、この「コシヒカリ」素晴らしさに気づき、競うように大量生産に乗り出している。そして、今、こうした輸入米が、日本への逆流を始めた!!・・・・」”

第2回 危機に立つコメ産地 』の

”「食糧自給率が40%を切り、WTO・世界貿易機関でさらなる農業の市場開放が議論されている今年、日本の農業をめぐる政策は大きく舵を切った。全ての農家を支援してきた従来の方針を転換し、大規模化を条件に「強い農家」に支援を集中することにしたのである。農家はいま、かつてなく厳しい「選択の時代」を迎えている。
農業の現場ではどんなことが起きているのか。わたしたちはあきたこまちの産地、秋田の3つの集落を半年以上にわたって定点観測してきた。
 そこで聞こえてきたのは現実と苦闘する多くの農家だった。大規模化で生き残りを目指すものの、後継者がおらずに高齢化が進み、コメ作りの将来が見えないと悩む中規模集落のリーダー。大規模化に乗れずにこれまでの支援が減ることになった中山間地の零細農家の一人は「代々続けてきた農家が重荷になってしまった」とつぶやく。そして、大規模化を40年近くにわたり実践してきた実験場・大潟村でも、消費者のコメ離れで米価の下落が続き、巨額の負債を抱える農家が続出している。
 グローバル化が進み、内外から市場開放を迫られている日本の農業。果たして、大規模化の道は、農業の再生につながるのか。そして、わたしたちは、外国産米の輸入と日本のコメ農家への支援をどう考えていけばいいのか。現場のルポと識者へのインタビューを材料に考えていく。
」”

を視聴し、日本の農業の問題点と海外のマーケット力・戦略には改めて脅威を感じていました。
3年前、既に、海外で、ブランド米「コシヒカリ」が大量に生産されており、国内の米作の大規模化、付加価値化で競争できるかどうか疑問をもっていました。

完全自由化になれば、大前研一氏のコラムではないが、日本の農業技術(ノウハウ)が海外に移転され、米作の空洞化になるでしょうね。
当方は、農業を経済原理の産業論ではなく、地産地消、自産自消の多様化による円熟した地方のありかた(スローライフ)をも検討すべきという考えですね。






1 コメント

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愚か (あらいぐま)
2010-12-17 18:33:00
日本の農業は国土の形状の問題で、まず大規模化が可能な地域が限定されます。
また農地法の問題と農家の心証があいまって農地を企業が手に入れ難いことも大規模化の障害になっています。
そもそもこの問題は日本人の道徳観の崩壊が障害になっていることを前提にしないと一歩も前進しません。
また、最近ようやく言われ始めてきましたが第一次産業の問題は”水”問題なのです。
これは治水とも関係が密なものでダム問題はかなりのウエイトを占めます。
世界では”水”不足が大問題になっているのに”水”大国で困らない日本はそれに全く気づいてないのが現実です。
アメリカの穀倉地帯で砂漠化が始まっている事実を何人の日本人が知っていて危機感を持っているのか?
経団連に優遇措置を取るより農業の国営化に税金を投入した方が近未来的にも有効な税金の使い道だろうと言えます。
まずダム工事の即時中止から始めないと近い将来”水”に困ることになるでしょう。
一から十まで”愚か”な事しか思いつかないし、しない日本はどうなるのでしょうか?
まずは日本のことをもっと知らなければ何も始まりません。
海外の事など知っても国土の問題で何の足しにもならないのです。

日本の知識人という人は何かと言うと”海外”を持ち出すが肝心の日本のことは何を知っているのか呆れるほかありません。
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