傍観者の独り言

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西松献金事件で「民主の有識者委員会が初会合」と「文藝春秋の記事」について

2009-04-12 06:04:50 | 検察・メディア
西松建設の政治献金をめぐる事件を受けて、民主党が発足させた第三者委員会の初会合が開かれ、今後、必要に応じて関係者からヒアリングを行うなどして、説明責任を果たす方策について検証を進め、来月中旬までに報告を取りまとめるとNHKニュース、日経ニュースから報道がありましたが、難しいテーマの有識者委員会になりますね。

当方の見解は、本ブログ「民主党の「有識者会議」の設置も良いのですが?」でも書きましたが、小沢代表の「代表続投」の目的にならないことが賢明ですね。

文藝春秋(2009.05)にタイトル「小沢一郎の罪と罰」(総理の座を目前にしてなぜだ?、検察がつかんだ疑惑の核心)で、評論家の立花隆氏と朝日新聞編集委員の村山治氏の対談記事があり、読んでみました。

当方には、立花氏は、小沢一郎代表には、田中・金丸の旧自民党的体質を持ち、政治資金改革を取り組みをしてきたが、旧態依然であったとし、辞任は当然という先入観での対話であり、村山氏は、検察擁護の立場での対話記事でという感想をもちましたね。

村山氏の検察擁護の立場ではないかと思われるのは、
・検察は、当初は小沢代表の大久保秘書止まりであったが、小沢代表の検察
 批判は予想外。
・後日、検事を大量に動員したのは、秘書逮捕の反響が大きさとこの機会に
 深部まで捜査拡大を
・微妙な時期での捜査・逮捕については、選挙が遠のいた時節、時効問題、予算
 成立の目処、村井長野県知事の元秘書の自殺があり自殺回避の逮捕などを
 説明をしている点ですね。

また、村山氏は、小沢代表の「政治的にも法律的にも不公正な国家権力・検察権力の行使だ」の怒り会見には、「検察上層部も驚いたのでしょうね、あそこまで批判されるとは予期していなかったと思う。小沢代表自身には捜査が及ばないことは、相手にも十分伝わっていると考えていたはずです。その点では、検察上層部の見込み違いがあったのはじじつでしょう。」と語っています。

当方は、「小沢代表まで捜査は行かない」と、検察が「小沢代表自身も認識した」という村山氏の推論には、疑問を持ちますね。

西松建設の外為法違反で捻出した裏金が政治献金に使途されていたことは、昨年秋から噂され、今年初め、西松建設の幹部が逮捕された時に、小沢代表は、記者の質問に、「献金が不公正な出所が明確になれば、返金する」と回答しております。

仮に、検察が、西松建設の裏金による政治献金で、「小沢代表まで捜査行かない」および「小沢代表自身も認識」とすれば、仰々しい小沢代表事務所の強制捜査、代表秘書の逮捕まではせずに、在宅での事情聴収で充分であったと思い、村山氏の検察側の推論は、検察擁護しか思えないです。

小沢代表事務所の強制捜査・小沢代表秘書逮捕が、検察上層部の想定外の小沢代表の検察批判、世間反応があり、捜査対象を「あっせん利得罪」などで捜査対象を拡大したなれば、検察の想定外であった旨は、何らかの説明責任はありますね。

当方は、検察の想定外であったかどうかは別にして、あの「仰々しい多数の検事による小沢事務所の強制捜査」のTV映像が、「小沢代表は金権政治家で、代表続投はおかしい」と世論を形成したという思いです。

村山氏のいう、世論のリアクション・小沢代表の検察批判は、「検察上層部の想定外」であったような、軽い推論を、文藝春秋で語るのは、検察側と擁護していると思わざるを得ないですね。

ただ、文藝春秋の立花氏・村山氏の対談記事で関心を持ったのは、

立花氏の世論の見方です。引用すると、

”「西松の元幹部は小沢への献金を「戦略的献金」だと言っている。
  個別案件を具体的に落とすための「戦術的献金」だとぞ贈収賄罪になるが、
 「保険」のための「戦略的献金」なら贈収賄にならない。
  形式を十分ととのえていなかったときに政治資金規正法違反になるだけ。
  ただ一般国民の目には今回のケースのような金は「ワイロまがいの金」
  と映る。
  それをワイロじゃないから「よし」とするか、ワイロじゃなくても
 「ダメ」とするか、人によって微妙に判定が違うでしょう。」”

と語っている点です。
一般国民は、やはり、仰々しい強制捜査のTV映像の印象が鮮明に刷り込みされたのです。
多数の検事が、厳しい顔をして、小沢事務所に強制捜査に入るTV映像は、「小沢は、何をやっていたのだ!」と一般国民に連想させたのです。

また、村山氏は、検察が大久保秘書逮捕に対する小沢代表や民主党のリアクションを読み誤まったとし、その理由に多くの紙面を割いています。引用すると、

”「その最大の理由は、検察側と政治家側、そして世間とのスタンダードの
  ズレなんですね。
  日本の政治・経済・社会のグローバル化に対応するために、検察は運営
  スタイルを、政官業もたれ合いの護送船団対応型から、ルール強化、事後
  チェックを重視するアメリカ型の司法制度へと大きく舵を切った。
  ・・・・・
  1990年代以降の証券取引法、独占禁止法、公職選挙法、政治資金規正
  法の改正はすべてこの文脈の中でおこなわれたもので、ワンパッケージ
  です。
  ・・・・・・
  さらに、ウソをつくことに対する世間の風当たりが90年代から急激に
  強まった。
  従来から摘発対象だった粉飾決算をはじめ、虚偽の食品表示や耐震偽装の
  罪への捜査当局の対応は格段と厳しくなっています。
  今回の小沢代表秘書の容疑はまさに「たかが虚偽記載や、されど虚偽
  記載」。
  昨今のそういうトレンドも大きな背景としている。
  検察にとって国会で法律が通ったということは、その法律は国民の意思だ
  ということになる。
  そして、国会議員にも政治資金規正法の趣旨がだいぶ浸透してきたと考え
  ていたんです。
  だから、2000年頃から、政治資金規正法違反による逮捕が飛躍的に
  増えていったのです。
  ・・・・・・
  検察幹部の中には、国民もこれらの事件を摘発を通して政治資金規正法の
  趣旨をよく理解し、納得しているはずだという大前提があった。
  検察首脳もそういう文脈で理解していた。
  だから、なんでこんなに過剰反応するんだろうと戸惑ったんです。」”

と語っている点です。

村山氏の時代変化に検察も検察制度も変容している見解については、本ブログ”「麻生首相が解散は「自ら判断」であれば、小沢代表も辞任は「自ら判断」を”で書いた、林志行氏のいう「小沢代表秘書逮捕は、パラダイムシフトのギャップ」と共通性がありますね。

林志行氏の「第3回「パラダイムシフトへの対応@小沢代表秘書逮捕のケース」(2009/03/19)で、「今回の小沢代表を巡る一連の動きは、まさに過去の手法と新しい価値観やマネジメントのギャップの顕著なケース(パラダイムシフト)である。」とし、「今回の一連の出来事(小沢代表秘書の逮捕・起訴と小沢代表の弁明・謝罪)。結局は、過去に許されていた出来事が、どの時点で変節点を通過し、どの時点からは極めて黒に近いチャコールグレーへと関係当局の認識が変化したのかという問題に置き換えることができよう。」と村山氏の見解は共通性がありますね。



当方は、司法など疎いのですが、村山氏の見解を読み、検察の方向性を始めて理解できましたが、一方、検察の庶民感覚とのズレは致命的であったという思いですね。
今回の一般国民の「小沢は、金権政治家だ!」、「小沢、説明しろ!」、「小沢、代表やめろ!」の世論は、「仰々しい強制捜査」のTV映像で形成されのです。
検察の時代に対応した新たなスタンダードは、理解できても、検察は、メディアへの露出の影響度を考えていなかったという事になりますね。


本ブログ「小沢事務所の強制捜査のTV映像が、結果論として、小沢代表失脚の世論形成に(1)」で、週刊朝日の4月10日号の小沢代表秘書起訴事案における「検察の劣化」特集に、衆議院議員の鈴木宗男氏の寄稿を紹介しましたが、

鈴木宗男氏は、
「目に余る捜査情報のリーク・・・メディア誘導で国民に予断」の標題で、
 自分の体験を含め、検察側は捜査の過程をリークし、有利な世論形成すると
 語っていますね。
 また、検察は警察と違い捜査の手足が無く、検察は情報を基に頭でストーリー
 を組み立てるので、時には間違った判断がされる恐れがあるとしています。
 検察側が国民に予断を与える情報を流すやり方がまかり通るのであれば、
 裁判員制度も危ういと言わざるを得ないと語っています。」

と、検察は、情報で頭で考えるが、間違った判断する危険性を指摘しています。

村山氏の言われる、小沢代表秘書の容疑・逮捕は、検察側の論理で正当性があったが、政治家・世論のリアクションが想定外であったという推論も結構ですが、鈴木宗男氏の言われる手法(強制捜査・秘書逮捕)と付随した事柄(強制逮捕のTV映像)による政治家・世論のリアクションが大きく、「検察側は捜査の過程をリークし、有利な世論形成する」と邪推されることは、検察の組織防衛しか思えないですね。

村山氏の言う検察側論理の「ルール強化、事後チェックを重視するアメリカ型の司法制度へ変っていた」にしても、野党による政権交代の可能性があり、2大政党制度の実現が国民の期待度が高い現下で、野党党首の小沢代表秘書の仰々しい逮捕劇で、世論は政治不信になり、政権交代による2大政党政治が遠のいたことになったのは、事実であり、検察上層部の予想外では済まされない問題であり、郷原氏が提起している「検察の説明責任」は大きいと思いますね。


どちらにしても、検察批判より、ワイロじゃなくても「ダメ」とする「小沢、説明しろ、代表やめろ」の世論が形成されており、難しいテーマの役目をもった有識者委員会になりますね。



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