陸山会事件の石川議員の初公判が2月7日に開始されるが、公判前整理手続きで、石川議員は、任意の再聴取をICレコーダーに録音し、検察の誘導があったと証拠申請したと報道あり。
菅・岡田執行部は、通常国会前に、小沢一郎氏が自主的に政倫審の応じないないのであれば、議決する強硬姿勢であるが、菅首相側は「議員が行為規範等の規定に著しく違反していることを明らかにした申立書」を書くことになり、下手に議決すれば、菅首相側は、禍根を残す事態になりますね。
各メディアは、検察が石川被告を任意で再聴取した際に、石川議員は、佐藤優氏の助言を受け、ICレコードーに録音していたと報道があるが、毎日新聞の報道『陸山会事件:石川議員が再聴取を録音 「自供誘導」主張へ』が現実感がありますね。転載すると、
”「小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件で、小沢氏を「起訴相当」とした検察審査会の1回目の議決(昨年4月)を受けて昨年5月、元秘書の石川知裕衆院議員=同法違反で起訴=が検察に再聴取された際、取り調べの模様を録音していたことが分かった。関係者によると、捜査段階で容疑を認める供述をしたとされる石川議員に、検事が「勾留中の供述と任意調べの供述が変遷すると検審に悪い影響を与える」などと、認めた供述を維持するよう迫ったという。
石川議員は2月7日の初公判で起訴内容を否認する方針。供述は誘導されたもので、信用性や任意性を否定するものとして録音した内容を書面化し、公判前整理手続きの中で裁判所に証拠申請している。大阪地検特捜部を舞台にした一連の事件を受けて設置された法相の諮問機関「検察の在り方検討会議」でも議論の対象となることが予想される。
関係者によると、再聴取は昨年5月17日に東京・霞が関の検察庁舎で約5時間にわたり行われた。石川議員は元外務省主任分析官の佐藤優氏のアドバイスでICレコーダーを忍ばせたといい、冒頭で検事から「録音をとってないよね」と確認されたという。
この中で検事は「石川さんが全面否認で来るならやってやろうじゃないか。特捜部は徹底抗戦する」などと発言。石川議員が「小沢さんが、いかがわしいお金を集めて(土地購入の原資とされる)4億円をつくったなんて認められない。4億円を隠そうと思ってやったのではない」と否定すると、検事は「それでは上が納得しない」などと話したという。
さらに検事は「石川さんも(小沢氏の)強制起訴は望まないだろう。保釈後の供述を変えたとなると、小沢さんから強い圧力があって供述を変えたと検審は見る。そうすると強制起訴になってしまう」と話したという。
検察側は捜査時、水谷建設元幹部が石川議員に渡したと供述した5000万円を土地購入原資の一部と見ていたが、石川議員は一貫して否定。一方で石川議員は「表にできないお金だと思い隠した」などと供述した調書にサインをしていた。」”
と、毎日新聞だけが、佐藤優氏のアドバイスがあったと報道していますが、NHK,朝日、読売、産経、時事、共同も、佐藤優氏の助言については、一切、報道していません。
佐藤優氏は、昨年4月28日に、コラム『特捜検察の預言』で、昨年2月に、保釈された翌日に、石川議員と会談したと、
”「石川知裕衆議院議員(北海道11区)ら3人が東京地方検察庁特別捜査部に逮捕され、2月4日に起訴された。石川氏たちは起訴の翌2月5日に東京拘置所から保釈された。筆者は、2月6日夕刻、都内某所で石川氏と会った。そのとき石川氏は、起訴の3日前、つまり2月1日に取り調べを担当した副部長から、小沢幹事長が不起訴になるという話を聞かされたという話に続け、筆者にこう尋ねた。
「佐藤さん、副部長は『小沢先生が不起訴になっても、検察審査会がある。そして、2回起訴相当になる。今度は弁護士によって、国民によって小沢先生は断罪される』と言っていました。そんなことがあるのでしょうか?」
筆者は、「あの人たちは、無駄なことは言わない。本気でそうしようと考えているのだと思う。検察官の預言として聞いておいた方がいいね」と答えた。」”
”「検察審査会で、小沢幹事長の容疑について説明するのは検察官である。資料も検察から提出される。
4月27日にマスメディアに配布された検察審査会の「議決の要旨」にはこう記されている。
絶対権力者である被疑者に無断で、A・B・Cらが本件のような資金の流れの隠蔽工作等をする必要も理由もない。>
これは、検察の主張を追認しただけだ。ここでAとされているのが石川知裕衆議院議員だ。
筆者の理解では、石川氏は、隠蔽工作をしたという認識をしていない。また、石川氏は、小沢氏を「絶対権力者」と考えていない。「小沢さんからは、とっくに乳離れしていますよ」と以前から公言しているし、石川氏の発言、行動を見ると、小沢氏からは独立した、別個の人格をもった政治家である。
石川氏が小沢氏の言うことならば、思考を停止させて、何でも言うことを聞くかのごとき認識で、検察審査会の判断がなされているように、筆者には思えてならない。
その理由は、検察審査会に提供される資料や情報が検察からの一方的なものであるからと筆者は考える。検察審査会の審議を可視化し、検察が提供する資料や情報の恣意性について検証できる態勢をとることが、正しい判断をする大前提だ。
一部に今回の起訴相当の議決を受けて、2回目の検察審査会を待たずに、検察が小沢幹事長を起訴するという見方が、筆者はその見方はとらない。以下の報道が検察の論理を的確に示していると思う。
時間をかけずに不起訴にするのではないか。再び起訴相当の議決がされれば、それは国民の意思だ」との考えを示した。>(4月27日時事通信)
検察も目的は、国民により小沢幹事長を断罪し、その政治生命を絶つことだ。そのためには、検察審議会の場を最大限に活用し、ポピュリズムに訴える。国民を利用して、官僚支配体制を盤石にすることを考えているのだと思う。特捜検察官が石川氏に伝えた預言が成就するであろうか。実に興味深いゲームが展開されている。」”
と、検察は、小沢一郎氏については公判維持できる材料がなく、不起訴にしたが、検察審査会を「国民の声」として、小沢一郎氏の政治生命を絶つことの筋立てだろうと論じていました。
石川議員は、佐藤優氏の話を聞き、ICレーコダーで、秘密裏に録音したのでしょう。
そして、郵便不正事件で、前田検事の証拠品改竄が露呈し、特捜部不信が社会問題になり、石川議員は、検察の独善的な不正義を見守っていたのでしょうね。
ブログ「日々坦々」様によれば、東京特捜部も、検察不信の社会の声に意識し、早々に、人事異動したのでしょうね。
それとも、石川議員の公判前整理手続きで、石川議員がICレーコダーに録音を察知し、早々に、組織防衛に動いたのでしょうかね。
さて、菅・岡田執行部は、石川議員のICレーコダー録音の報道に接しても、小沢一郎氏に政倫審招致の議決を強行するのでしょうか?
本ブログで、小沢一郎氏は政倫審の出席には合理的理由(政倫審・三権分立の精神に逸脱)が無いと拒絶しており、また、「国会の決議には従う」とも発言しており、小沢一郎氏は合理的理由は横に置き、国会運営がスムーズにゆくのであれば、自ら政倫審に出席すると表明しており、
”「政倫審の設立精神は、司法の手を煩わすのではなく、政治の中で自律的に相互チェックすることにある。また、他に出席を要請する場合は、規定第2条に、「申立書に議員が行為規範等の規定に著しく違反していることを明らかにした文書を添えて、これを審査会の会長に提出しなければならない」と定めている。」”
と書きましたが、菅・岡田執行部は、どういう内容の「申立書」を作成するのでしょうね。
これが、菅首相の年頭で掲げた「不条理を質す」ことになるのでしょうか?
石川議員のICレーコダー録音については、各メディアが報道していますが、内閣改造の日に、石川議員が開示したのは意味深ですね。