
【下水道事業の会計破綻】
全国の市町村などの下水道事業で発行
された企業債(地方債)の残高が、09
年度末で旧国鉄の債務に匹敵する約31
兆円に達していることが総務省のまと
めで分かったという。詳細なデータが
公表されている08年度分を毎日新聞が
集計すると、原則通りに経費を住民の
使用料だけで賄えている市町村は1割
しかない。
バブル経済崩壊後の景気対策として急
速に整備を進めたが、今後は計画時の
予想より料金収入が伸び悩んだまま人
口減社会へ向かうため、自治体財政の
アキレスけんとなりそうだという。
下水道事業は公立病院、市バスなどと
同様の地方公営企業で、それぞれ特別
会計が組まれている。総務省がまとめ
た地方公営企業決算概要によると、全
国で3,633事業。地方公営企業の中で
最大の事業で、09年度の企業債発行額
は1兆6,724億円、新設・改修などの建
設投資額が1兆8,988億円と、いずれも
全地方公営企業の半分を占める。
企業債残高も31兆2,656億円で、全地方
公営企業の残高総額 54兆9,824億円の
57%に達する。09年度の単年度収支は
1,176億円の黒字だが、料金収入は1兆
4,635億円で、それ以上の1兆8,628億円
を一般会計から繰り入れることで黒字
化している。
さらに、08年度分のデータを基に、全
市町村の7割にあたる1,178市町村が
都市部で実施する下水道事業について、
経費(元利償還と維持管理費)のうち
使用料で賄えている割合を見ると、百
%超はわずか1割。逆に2割は、元利
償還を除いた日々の汚水処理費も賄え
ていなかった。
国土交通省と総務省は市町村に対し、
将来世代にツケを回さないための経営
改善計画の策定を要請。人口減を踏ま
えた建設計画の縮小や、使用料の適正
化などを促しており、各地で値上げが
相次いでいる。ただ、経営改善計画の
策定率は65%にとどまるという。
国交省は「下水道は処理場建設など初
期投資が多額で、長期間かけて使用料
で回収するが、相当期間経営しても経
費回収率が低い自治体が多いのは事実」
と説明している(※毎日新聞)。
単純な解決方法は、下水道使用料金を
5倍以上値上げすることだ。全国平均
で122円/m3 ×5 ≦ 610円/m3となる。
また、国家予算額が88兆円及び自治体
全体の公債費を除く歳出総額66兆円だ
から、約35%、47%を占めることとなる。
国の借金(2010.10.20 13:10現在)
これは驚くべき数字で、これまで、関
連企業や官僚や公務員の一部がいかに
ずさんな計画を立て、その裏で甘い汁
を吸っていたかという批判が聞こえて
きそうだ。思えば、わたしたちの運動
は下水道には素人だったが、その当時
の推進技官たちの技量を既に越えてい
たことの確信になる。また、今回は「
過剰計画」という側面が白日に曝され
ることにはなったが「処理機能の最適
化」「処理システムの最適化」という
計画の質的側面では、これからも長い
時間をかけて検証されていくことにな
ることを再確認した記事でもある。
区分 |
琵琶湖流域下水道 |
|||
湖南中部処理区 |
湖西処理区 |
東北部処理区 |
高島処理区 |
|
計画処理面積 |
約29,227ha | 約3,543ha | 約13,645ha | 約2,443ha |
計画処理人口 |
約878千人 | 約149千人 | 約396千人 | 約51千人 |
計画処理水量 |
約788千立方m/日 | 約117千立方m/日 | 約371千立方m/日 | 約39.6千立方m/日 |
排除方式 |
分流式(汚水と雨水に分けて処理する方式) | |||
管渠延長 |
約189Km | 約16Km | 約151Km | 約27Km |
中継ポンプ場 | 7箇所 | 3箇所 | 6箇所 | 4箇所 |
浄化センター敷地面積 (位置) |
約63.7ha | 約11.1ha | 約64.1ha | 約7.5ha |
草津市矢橋町字帰帆2108番地 | 大津市苗鹿三丁目および同市木の岡町地先 | 彦根市松原町、同市宮田町および米原市磯地内 | 高島市今津町今津および同市新旭町饗庭地先 | |
関係市町 |
9市3町 | 1市 | 4市8町 | 1市 |
大津市(旧大津市) 近江八幡市 草津市・守山市 栗東市・甲賀市 野洲市・湖南市 東近江市・安土町 日野町・竜王町 |
大津市(旧大津市、旧志賀町) | 彦根市・長浜市 東近江市(旧湖東 町、旧愛東町) 米原市・愛荘町 豊郷町・甲良町 多賀町・虎姫町 湖北町・高月町 木之本町 |
高島市 | |
(計画処理人口には観光人口は含まない) |
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