Hidenori Nodera 野寺秀徳『輝く路の上で』

SHIMANO Racing野寺監督のブログ

次のスタートラインへ

2020-12-31 20:39:31 | 日記

2020年が終わろうとしています。

この1年、ウイルスの影響はロードレースの現場にも大きなダメージをもたらしました。

いつものように希望を抱き新たなメンバーでのシーズンスタートラインに並びましたが、レースへのスタートラインへ向かおうとしては消え、今度こそはと向かえば消えることの連続でした。

選手はチームや主催者の決定に残念な気持ちを表すことはありましたが、どうしようもない状況を理解し、希望を伴う活動を続けることで社会へ前向きなメッセージを送る努力を続けました。

ようやく初戦を迎えたのは通常であればシーズン終盤の9月末。

直前までスタートできるかすらわからない準備のままレースを走り、数時間のレースに対応できる身体はできておらず結果は散々でした。

サポートして頂いている立場で不謹慎にも思われそうですがレース後、チームはみな一様に清々しい笑顔を見せていました。

新たなスタートラインに立つことができた感覚があったからです。

来季の活動がどのようなものになるか不安は持ち越したままですが、気持ちを共有できるチームと共にいるかぎり、前向きさを手放すことなく進んでゆけると確信しています。


発表があったように今季を最後に黒枝咲哉選手小野寛斗選手の2名がチームを離れる事となりました。





黒枝選手は3年間、小野選手は1年間と僅かな時間しか活動できませんでしたが2名と共に過ごした記憶は止め処なく思い起こされます。

自分は指導者として彼らを率い教える立場ですが、実は私とは違う時間をそれぞれに本気で向き合ってきた彼らから影響され、教えられる事で少しずず成長できている感覚があります。

彼らと活動出来ること、その周囲を取り巻く様々な人から好影響を受けることは自分が今進んでゆこうと思える最も大きな動機となっています。

次のスタートラインに立ち進む姿を誰かの勇気につなげる事ができるよう、新たなチームと共に走り出したいと考えています。



2月の沖縄キャンプにて全10選手での活動がスタート。選手が自主的に始めたミーティングでは木村キャプテンがキャンプ全体のイメージを説明していました。





トレーニングの合間やホテル滞在時、ミーティングを重ね、チームや個々が担う組織や社会での役割を早急に理解し、チームメイトととの意識を擦り合わせる試みが行われていました。





レースでチームワークを披露するチャンスは僅かでしたが、困難な状況に立ち向かう中で感じたそれは最高のものだったと自負しています。

2020年までに培ってきたチームの色は、2新たなスタートラインでも鮮明に残り受け継がれてゆくはずです。



↑2021年用個人写真を撮影し始めたらカメラの前でローテーションを始めた2021年には居ない筈のサヤ&オノ。。。


確かにそのまま永遠撮影を続けたくなった私。。。。



サヤ、オノ今までありがとー!!
そしてこれからも。





皆さま、良い年をお迎えください。





 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

犬派?猫派?国際派?

2020-12-11 07:36:58 | 日記

犬か猫どちら派ですか?

と質問されたなら、私はどちらかと言えば猫と答えます。


幼少期、実家には双方いましたが、犬は庭で番犬役、猫は家の中でコミュニケーションを取りあう仲間のような存在だったことが影響しているのかもしれません。

ごめんよワンちゃん。




下の写真は2012年7月、欧州への遠征中に滞在した宿泊施設の彼らです。




 人に忠実な目を向け、勇敢、賢明、凛とした佇まいに品性を感じます。確実に私より賢そう…。私は彼らを尊敬していますが、適いそうもない劣等感を感じているのかもしれない、とすら思わされます。






 猫はまた全く異なる魅力を感じます。何かに依存することなくわが道をゆく。しなやかな身のこなしに妖艶な美しさすら感じますが、ゴロゴロ喉を鳴らしトロけるほど甘えてくる時はもうたまりません。










と、彼らの事を勝手に上から目線で評価してしまいましたが、ふと彼らが人に対して実際、どう思っているのか疑問に感じてきました。












「新しいお客はん、賢いかどうかは置いといて、頭なでるのめちゃうまいわん。ところで練習行った方がいいんちゃうん?チャンピオンなれへんでー。






「このニーちゃんごつごつしてるけど寝るときの風よけに丁度いいニャー。ところで練習行った方がいいんちゃうん?チャンピオンなれへんでー。






等と彼らは私たちの事を評価しているかもしれません。





人は人からどう評価されるか気になるし、想像すると怖かったりするものです。




考えてもキリがないので、自分が理想とする人物を目指すしかないのかもしれません。



人を友とみなす他の生き物からも一目置かれるような存在であれたなら良いですね。




それには彼らの特性(習性や感情)を理解して自分がそのように振る舞う必要があるのかもしれません。

結局人とのコミュニケーションと同じなのでしょうか。






「NTTプロサイクリングチームは皆が家族のように温かく接してくれます。シマノレーシングと同じ雰囲気で活動できています。」

入部チャンプの話です。

言語も十分で無い彼が、多くのチームメイトから慕われていたであろう話の幾つかを聞きました。

もちろん、過密なレース活動、極限まですり減らされた精神状態となればぶつかり合う事も出てくるはず、決してその中の話では無かったことは確かです。

しかし、そんな中でも他者の感情を理解し修正してゆく能力が彼にはあるのだろうな。

と、動物と戯れる彼の写真を見ていて感じました。





動物と接する事で、人とのコミュニケーションに活かせる事が多く学べそうです。




やはり動物が居る生活に憧れます。




休み時間に、会社の敷地に生える木にとまる小鳥に話しかけてみるのはいかがでしょう。きっとあなたの周りから人が距離を取り始めます。それはハードルが高すぎるのでやめておきましょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人を突き動かすもの

2020-12-04 18:40:09 | 日記


先日、オフシーズンに入りランニングを始めた選手から「監督最近走ってますか?どのくらいのスピード出ています?12km/hくらい?」と質問されました。

私の勝手なイメージかもしれませんが、距離あたりのスプリットタイムではなく時速で質問するあたりが自転車選手らしいと感じませんか?

私は

「基本パタパタと気持ちよく走るだけだよ。そういえば数年前(2016年10月)、JPT南魚沼のレースコースを走った時が成人後一番集中して長い距離走った記憶かな?カメラマンの(故)高木秀彰さんがロードバイクで追い付いてきて伴走してくれたんだけど、『野寺さん!僕は陸上経験者だけどこのペースめちゃ早いですよ!』と声をかけられてドンドンペースアップしていったことを覚えているよ。」

と答えたのです。

その時の記録を探してみたのがこれ!↓

 











▲伴走してくれた直後の高木さん

 

‘かなり頑張った’くらいにしか思っていなかったのですが、今改めて見返してみると結構速くないっすか!?

後半はもっとも速いときで1㎞あたり3分25秒になっています(最後の1㎞は下り坂なので速くて当たり前かもしてません。)

私は高校生の時、体育の授業で計測した1500m走を4分36秒?くらいで走り、クラスでは一番、学校全体でも2番目程だった事を覚えています。
(もちろんしっかり活動する陸上部があるような学校ではありませんでしたがスポーツテストは5分きれば満点だった記憶が)

その時とほぼ同じペースを、しかも5㎞以上それなりの強度で走った続きで維持していた事になります。
しかも良い歳のおっさんが。(覚えていませんがたしか28歳前後もういいって

 

そんな話はさておき、

ふとした選手との会話の中でその翌年、急逝した高木氏と最も長く2人で過ごしたあの貴重な時間を深く思い起こす事となりました。



最近、将来を期待された、ある若い選手と言葉を交わした時の事です。

私-「久しぶり、ちょうど昨晩、高木さんの過去のSNSを見てたら君の事が書いてあってさ。過去に走った選手権で世界トップとのタイム差が(過去の日本人が出した結果と比較し)いかに優れてるか書いてあって、今更ながら驚いたよ。」

ヤング選手-「そうなんです!高木さんは自分が成績を出すことができるようになって早い段階から注目してくれて、記事にもしてくれて、モチベーションに繋がりすごく感謝してるんです!」


高木氏はいつも写真や記事を通し選手を応援し勇気を与えてくれていました。

それはトップ選手に限定された事でなく、多くの努力を見せる選手に向いていました。

全国大会で大きな成績を残したような選手でなくとも、高木氏の話になると高揚した顔をする大学&高校生選手を何人も見たことがあります。

今思えばあの日、ランニングする私を見つけ、横に並び、私に向かう高木氏の声、表情、姿勢の全ては私の心に火を灯してくれるものでした。

それまでも自分の限界に近い強度で走っていたはずの私は、そこから更にペースが上がり続け、苦しさと高揚感がリンクする感覚の中それまでの自分を大きく上回るパフォーマンスを出していたのです。



ツアー・オブ・ジャパン2017東京ステージで撮影中の高木秀彰さん。カメラを向けるとピースで応える photo:yuya.Yamamoto(cyclowired)

人が大きな力を発揮できるのは、自らを認識してくれる他者の存在が強く影響している事は疑いようがありません。

私も、高木氏のように他者へ勇気や前向きな力を与えられる人でありたい、そんな人を目指し続けたいと考えています。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする