Photo:Satoru Kato
チームが活動する2021年のレースシーズンが終了しました。
今年もコロナウイルスの影響を受け思うように活動できないことも多くありましたが、関係者のご尽力によりいったんは中止されていた全日本選手権が10月に開催されることになり、チームは全力でそこへ向けた取り組みを行いました。
チームとしての結果は到底受け入れられるようなものではない惨憺たるもの。
と考えています。
レースは事前ミーティングで6名まで絞り込んだ有力なライバル選手全員が存在する、9名のグループによるゴール勝負で決するものでした。
全日本選手権は「チームの誰かで勝つ」と多くのチームが考える他のレースとは異なる空気があります。
直近に相応の結果を残しフィジカル&メンタル的にも研ぎ澄まされたほんの一握りの選手が、'このチャンスを必ずものにする’ために「チームやその他すべてを利用し勝ちを目指す」ことをする特殊な価値観をまとうレースです。
路面や気象のコンディション、レース展開によるリスクは常に存在しながらも基本的にはその一握りの選手が終盤まで有利になるチャンスを探し続け、最低でも不利にならぬよう慎重に駒を進めてゆくことが殆ど。
今回、勝利ヘ向け具体的なイメージを持つことができているであろうライバル選手を絞り込むことは難しい事ではありませんでした。
勝利までわずかと迫った彼らの最後の攻防は息をのむものでしたが、そこに加わるまでの展開はあまりにも予想通りかつシンプルなレースであったと思っています。
その'一握り’をシーズン中に排出できなかったチームが行うことはただ一つ、彼らの作り出す流れに徹底的に乗り続け終盤へ駒を進め僅かに'見えるかもしれない隙’を探し続ける事。しかし、レースが始まってみればチームの選手は待つことの重圧から逃れるように動きを作り出そうとし、僅かなチャンスを自ら放棄していくように見えてしまいました。
「プライドにかけて攻撃する」「先手を打って流れを作る」という意識はチームの成長には不可欠です。しかし、どんな状況でも最後まであきらめないと誓った今回、プライドをかけて、批判されようが罵声を浴びようが、待ち続け食らいついてゆくこと、が必要であったと考えていました。
絶対的なエース不在のチームで、多くの選手がそこにチャレンジできる滅多にない機会でもあったとも思っています。
意識を共有しきれていなかった事は、監督である私の力不足であったと強く反省しています。
もちろん、結果へ繋がる最も大きな要因は力不足。
レース開催が決まってから本番へ向けたトレーニングで、選手は最大限の努力をしてきました。
しかし、数週間のデータを収集してみればチームの状態が最高に良かった過去と比べると、高強度でのトレーニング時間が圧倒的に足りていないことも判明しました。
レースを繰り返し良い状態を作り上げた過去に対して、コロナの影響でそれができなかったと理由付けることは簡単です。
しかし、自らを律し高いハードルを設け痛みや苦しみに耐えられるか否かは、ストレスデータなど無かった遠い過去から一流の選手とそうでない選手を分けてきた決定的な要素。
特別な立場にある競技者である以上、他の誰よりも高いレベルでの取り組みを目指すべきだと考えています。
今回の全日本はチームとして苦い経験となりました。
大切な事は苦さを経験しないことではなく、その経験を生かし未来の成功につなげる事。
今回の敗戦が素晴らしい未来に無くてはならないものだったと思えるようチームと共に成長を目指します。
今シーズンも多くの方々のご支援を頂きました。
チーム一同心より感謝しております。
ありがとうございました。
Photo:Satoru Kato
※監督といえどレースが始まってしまえば外側からの目しか持てません。好き勝手書いてごめんなさい。監督がカチカチに緊張していたのが選手に伝染していた説も否めない・・・。