争いごと。
と言っても、スポーツですよ。
シクロクロスというロードバイクとマウンテンバイクを融合したようなバイクで走るあれです。
ロードレースのオフシーズントレーニングとして選手が取り入れたりするこの競技ですが、なんといっても1時間以内の短い競技時間の中で、バイクを進めるための様々な要素を必用とされる種目です。
ロードレースではペダルを力強く踏み込む事がバイクを進める要因の大部分を占めていますが、シクロクロスでは左右に曲がる、タイヤの滑りで崩れたバランスを修正する、上に飛ぶ、何かを避ける、バイクを降りたり乗ったり担いだり、時には人を含む障害物との接触に対応する等の変則的な運動を毎秒のように処理しながら進んでゆく競技なのです。
高い運動強度と共に集中力が必要な分、アドレナリンも多く放出するからこそこの競技に魅せられるライダーも多いのでは、と思っています。
ロードレースのプレシーズンもすぐそこに迫るなか、私も最後にと「関西シクロクロス堺みなとグリーン広場」に参加させて頂きました。
C2という第2カテゴリーへの出走資格を得た私は軽い気持ちでエントリーです。
大会前日、所属会社の地元という事で他の社員の方々とコース設営のお手伝いに参加させて頂いたのですが、ここで担当したのはコースを縁取っていく杭打ち。
堅い地面にハンマーを振り下ろすことをひたすら繰り返し、全身ヘロヘロのボロボロ。お昼に頂いた‘のり弁当’の海苔に箸を貫通させる事も難しくなるほど指と腕の力が消耗していました。
そんな余裕が無い状況で、ひたすら杭を打ち続けたのですが、ふと振り返るとその杭に巻きつけられたコーステープが見事なレースコースを描き出しているではありませんか!
ほとんどが見渡せる今回のコース。
見ていたら走行中の苦しさを想像し、自然と緊張感が湧きあがりました。
前日の設営があったからかレース当日は何故か気持ちがいつもよりちょっとだけレースモード。
直前に最高カテゴリーレースを終えた木村圭佑選手のバイク(もちろんGIANT)が私の物(もちろんGIANT)より完成度が高く、急きょわがままを言ってお借りする事になりました。
この冬例年よりは不摂生が少なかったからか?先週山の中をさまよい続けたからか?レースでも想像以上に身体が動き全力で走っているうちに先頭争いに加わる事ができました。
ロードでもTOP選手であった辻善光選手との争いとなった事もあり、既に中盤限界を迎えていた私に更なる集中力が湧きあがります。
このまま2名での争いと思っていましたが、最終ラップにはこのシリーズチャンピオンにも輝いたことがある入江選手が後方から迫りそちらへの焦りも感じはじめます。
辻選手には何度も置いて行かれそうになりますが粘りつづけゴールスプリントへ。
一瞬僅かに車輪が前に出たのですが、私の身体の中の火薬は3秒で全て燃え尽き機能停止、ロード競技でもスプリントで他を圧倒する力を誇っていた辻選手の走りにかるーく抜き返され2位敗退。
ゴール後はしばらく動けない程身体が追い込まれてしまいました。自分で自分を褒めたいと思います。by有森選手
しかし、選手を引退し8年経過した今、あの時と同じように誰かと争い熱い気持ちになれた事は素晴らしい経験でした。
レースを応援してくださっていた方々も先頭争いを「見応えがあった!」と言ってくださり、一時だけまた勝利を追い求める現役選手になったような気持ちにも。
やはりスポーツは、自転車競技は素晴らしい。
と、思わされたのです。
そして、スポーツの素晴らしさはライバルあってからこそ。
今回、一時だけでも最高の形でライバルとなってくれた辻選手、そして入江選手に感謝します。
ありがとうございました。
↑写真は大会公式フェイスブックよりお借りしました
ってワタクシどこ目指してるのでしょうか。
そうです東京五輪日本代表選手です。 うそ、もうこんなキツイのこりごりです。