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虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

墨攻(2006/中国、日本、香港、韓国)

2007年09月27日 | 映画感想は行
A BATTLE OF WITS
監督: ジェィコブ・チャン
出演: アンディ・ラウ   革離
   アン・ソンギ    巷淹中
   ワン・チーウェン    梁王
   ファン・ビンビン    逸悦
   ウー・チーロン    子団
    チェ・シウォン    梁適

 紀元前370年頃の戦国時代、大国・趙が送り込んだ猛将・巷淹中率いる10万の大軍に、全住民わずか4千人の梁城は落城寸前の危機に瀕していた。梁王は攻撃をせずに守り抜く“非攻”を信念とする集団・墨家に援軍を求めるが、やって来たのは粗末な身なりの革離ただ1人だった。

 正直余り期待していなかったのですが、その分お得に感じた映画でした。
 アンディ・ラウかっこよかったし。ちゃんとアクションも見せるし、城と周囲の位置関係掴むのは難しかったけど人もいっぱいでダイナミックな戦闘シーンが続いたし。逸悦が強そうよりも綺麗が重点なのがちょっと残念かも。
 原作(酒見賢一)読みます。まあ、酒見賢一ですから映画ほどのスペクタクルがあるかはわからないが、この設定は面白い。
 権謀術数の戦国時代に、見返りを受けずにただ平和を希求するがゆえに、戦を「守り抜く」ことに力を貸す。そのために戦のスペシャリストになるという、一見不思議な墨家。ぶっちゃけてしまうと、手を貸した相手が敵よりも卑劣で品性下劣であったので、ムカッとするラストを迎えねばならないのだ。
 理想が現実に負け、死んで欲しくない人間がバタバタ死に、主人公は結果的に敗北したと思わざるを得ない。
 とはいえ、後味は悪くない。人間の救いがたい様相も、そうあれかしという姿も、結局人は様々なのである。

 アンディ・ラウはひさびさしみじみい~な~、と思ったが、この映画でもアン・ソンギ素敵でした。やっぱり主人公の意思や行動を受ける側に重みがあるとよろしいです。同じ意味でワン・チーウェンも。

ベルリン、僕らの革命(2004/ドイツ、オーストリア)

2007年07月10日 | 映画感想は行
監督: ハンス・ワインガルトナー
出演: ダニエル・ブリュール    ヤン
   ユリア・イェンチ    ユール
   スタイプ・エルツェッグ    ピーター
   ブルクハルト・クラウスナー    ハーデンベルク

 ドイツ、ベルリン。青年ヤンと親友ピーターは、“エデュケーターズ”と名乗り、金持ちの留守宅に不法侵入しては嫌がらせ行為をしている。ピーターの旅行中、ヤンはピーターの恋人ユールに秘密を打ち明け、二人である資産家宅に侵入する。

 久々に青春映画を見たとしみじみしてしまった映画。
 行きがかりで「腐った金持ち」を誘拐してしまった“エデュケーターズ(教育者)”3人の若者たちの高い理想と現実への苛立ち、青さ、行動の不器用さ…すべてがだんだん愛しくなってくる。
 そして、誘拐した搾取するものを代表する会社重役はかつての学生活動家であり、理想を目指す戦いも、その挫折も、自由恋愛もしっかり経験済み。彼はそれを「卒業」してしまったのだ。
 誘拐したもの、されたものの間には何時しか連帯感まで生まれるのだが、やっぱり年の功には勝てない。それに若い3人はやはり理想を裏切れない。殺人や「奪う」ことは拒否している。
 ラストの結末はほっとして、爽やか。
 おじさんは自分が捨てたものを苦しみながら抱いている若者たちに嫉妬しないわけにいかなかったんですね。

 ユリア・イェンチ、素晴らしいです。「白バラの祈り」より先にこちらを見たかった。

パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド(2007/アメリカ)

2007年07月03日 | 映画感想は行
PIRATES OF THE CARIBBEAN: AT WORLD'S END
監督: ゴア・ヴァービンスキー
製作: ジェリー・ブラッカイマー
出演: ジョニー・デップ    キャプテン・ジャック・スパロウ
   オーランド・ブルーム    ウィル・ターナー
   キーラ・ナイトレイ    エリザベス・スワン
   ジェフリー・ラッシュ    キャプテン・バルボッサ
   ジョナサン・プライス    スワン総督
   ビル・ナイ    デイヴィ・ジョーンズ
   チョウ・ユンファ    キャプテン・サオ・フェン

 久しぶりの劇場鑑賞! 嬉しかった!
 盛大に涙ぼろぼろで見てました。
 ええ、さすがに3時間近くになると眼が駄目で涙止まらなくて。

 そして尚且つ、ほんとに、

 ジェフリー・ラッシュ泣きたいくらい素敵っ!

 シリーズ完結編ですが、話の重心が移動していて、おまけにあちこちにオチをつけていたためか、一作目のようなスピードとか、二作目の大昂奮めくるめくアクションシーンでお腹いっぱい、とは思わず、くどく感じたところがあるのは確か。でも実際内容が多いし、しょうがないですか。
 いつもどおり、サービス満点で冒険活劇を上手に見せて下さってます。

 ラストがあのような形で落ち着いてしまうとは思っていませんでした。古い伝説のデイヴィ・ジョーンズもお役御免とはびっくりです。
 彼の行く末、というかジョーンズとカリプソのカップルを見せて置くことがラストにつながるのに、そのジョーンズ役のビル・ナイはせっかくビル・ナイなのに、あれだけなのは惜しい。もっともあれ以上長くなるのも考え物ですが。
 今回はちょっと控えめなジョニー・デップでしたし、繰り返しちゃうけど

 ジェフリー・ラッシュ素敵っ!

 だったのです。これぞ眼福、って惚れ惚れうっとりでした。強くて悪くて渋くてカッコ好い!これぞスクリーンの理想の男性ですわ。
 チョウ・ユンファもせっかく彼なのになんか惜しいですね。でも惜しげのないのが娯楽大作かな。

 あ、それから商売人は約束は守りますから。ベケットさんを商売人だと思わないでね。え~と、私の記憶ではアヘン輸入を禁止した清国政府に対して「自由な貿易」とかいってたのは貴族出身の政治家たちで、商家出身の政治家グラッドストーンはアヘンを売りつけるなんて倫理にもとるって言ってますから。

プレスリー VS ミイラ男(2002/アメリカ)

2007年06月29日 | 映画感想は行
BUBBA HO-TEP
監督: ドン・コスカレリ
出演:ブルース・キャンベル   プレスリー
オシー・デイヴィス   ジャック

 テキサス州マッドクリークの老人ホームには、ソックリさんと入れ替わり第二の人生を送っていたエルヴィス・プレスリーが、寝たきりに近い余生を送っている。そこには、自分をジョン・F・ケネディだと信じる黒人ジャック、ローンレンジャーになりきりの老人もいる。エルヴィスはある日、JFKから、老人ホームにミイラ男が出没し、老人たちの魂を吸い取っていると聞かされる…

 B級でございますといわんばかりのわっかり易い邦題です。そのつもりで借りましたが、裏切られました。なんとジーンと来てしまいました。
 allcinema ONLINEのジャンルでは<ホラー/アクション>と表示してあります。でも怖くありません。それにアクションと言っても、車椅子と歩行器必須の老人のアクションですから、トロくてアクションというレベルではありません。それに可笑しいところはいっぱいあるけど、笑えもしません。映画としてもトロトロなテンポですが、妙に眼が離せず、見終わって少しばかり厳粛になってしまいました。自分の生の尊厳を守り、「己が己の人生のヒーロー足りえるか」…とってもチャチなモンスターとのバトルで涙までは出なくてもなかなか感動でした。

 人生に疑問を感じたプレスリーが、そっくりさんと入れ替わって、自己で身体が思うように動かなくなり、証拠をなくして元にも戻れず、しょぼい老人ホームで膿んだペニスの手当てをしてもらいながら死を待つのみ、という毎日を送っています。ホームの部屋もいくつか映し出されますが、彼の部屋は相部屋だし最低クラスに近いようです。
 この映画では、彼が本物のキングかどうかは暗示的なJFKの存在をも含めて巧妙にぼかされています。
 でも彼らは、誇りを持って戦い、魂を守り通して死んでいきました。

 モンスターがいかにもおもちゃなスカラベ風昆虫と、ウェスタンブーツを履いた、突然の死を疑われない年寄りの魂を吸い取って細々やっていこうという、とってもセコいミイラですが、まあ身体の不自由な老人二人の孤独な戦いではこのレベルでも仕方ないです。
 なんかおなじみのブルース・キャンベルがほんとにプレスリーに見えました。
 それに、オシー・デイヴィスは私的に印象が強いのは「インディアン狩り」のインテリ脱走奴隷ですが、この映画では、あの彼が年取ったような雰囲気でした。

プラダを着た悪魔(2006/アメリカ)

2007年06月21日 | 映画感想は行
THE DEVIL WEARS PRADA
監督: デヴィッド・フランケル
出演: メリル・ストリープ    ミランダ・プリーストリー
   アン・ハサウェイ    アンドレア・サックス
   エミリー・ブラント     エミリー
   スタンリー・トゥッチ     ナイジェル
   エイドリアン・グレニアー     ネイト

 ジャーナリストを目指すアンディは、腰掛のつもりで一流ファッション誌“RUNWAY”の編集長ミランダ・プリーストリーのアシスタントになった。質実剛健な生き方をしてきた彼女は、ファッションにも無頓着、ファッション界のカリスマ・ミランダのことも知らなかった。しかし次のステップをえるためにがまん、と四六時中浴びせられるミランダの理不尽な命令に応えるために走り回るアンディだったが…

 世に言うプラグラム・ピクチャーに属する一品でしょう。
 世間知らずな若い女の子が、強烈な個性と出あって、振り回されながらも、彼女自身の生き方を見出していく、という予定調和なストーリー。
 でも、お菓子でも着る物でも、定番商品に出来の良し悪しがありまして、出来のいいコンサバものに出会うと幸せになれます。出来のいいプログラムピクチャーもまた然りで、素敵なおやつに出会ったときの幸せに酔うように、結局私のようなしょうのない映画見たがりはこういうのをいっぱい見て、幸せに酔っているのだなあ、と思います。
 これなんか、登場キャラクターが文句のないステロタイプで、それをまたメリル・ストリープとかスタンリー・トゥッチの如き芸達者とか、いかにもそれらしいキャストがルックスから完璧にやってるもんですから、ほんとに隙無し。
 ハッピーエンドで幸せ。

プラン9・フロム・アウター・スペース(1959/アメリカ)

2007年06月11日 | 映画感想は行
PLAN 9 FROM OUTER SPACE
監督: エドワード・D・ウッド・Jr

 結局見てしまいました。「死霊の盆踊り」の監督インタビューの破壊力がすごかったので、これにもまた、同じくらいすごいおまけがついてないかな~と、チラッと期待して借りてしまったのですが、今回ははずれ。キャストスタッフ紹介しかない上に、そんなに詳しくもない。
 エクスカリバー様のコメントの如く、2度までは見なくていいわい、てな映画ですが、お金出して借りたんだから、見なくちゃ損したように感じてしまう自分の貧乏性が恨めしい。

 ほんとにティム・バートンの「エド・ウッド」のサブテキストとしての目で見るから「おお、ここがあのシーンなのね!」ということに注目しますが、まあ、陳腐なSFで、盛り上がりに欠け、どうも見せるという意識がないんじゃないかな~、などと考えてしまいます。宇宙人の地球非難の演説もけっこう良くあるパターンで、いろいろな映画で似た様なものを聞いています。この時期のSFには地球の直径よりも深い深海からのモンスターが現れたりするそうですから、この映画はそれほどトンデモではないのかも。
 ゾンビたちがやたら古典的な死者モンスター風の動きや風貌なのと、言葉に出来ないくらいにチープに見えるセット、今回一緒に見ていた高校生が「NHK教育の幼児向け人形劇の宇宙船みたい」と呟いたようなフライング・ソーサーや宇宙船の造形などの取り合わせの妙で、構成によっては爆笑ものになったかも、と思うのにこうも笑えないのはどうしてでしょう。

僕の大事なコレクション(2005/アメリカ)

2007年05月06日 | 映画感想は行
EVERYTHING IS ILLUMINATED
監督: リーヴ・シュレイバー
出演: イライジャ・ウッド     ジョナサン
    ユージン・ハッツ   アレックス
    ボリス・レスキン   祖父
    ラリッサ・ローレット    リスタ
    ジョナサン・サフラン・フォア    リーフ

 ユダヤ系ジョナサンの趣味は、家族にまつわる品物をコレクションすること。彼は、病床の祖母から、亡き祖父と見知らぬ女性が一緒に写っている古い写真を「コレクションに」と渡される。彼は祖父の故郷ウクライナへ、祖父を救ったというその女性を探しにと向かう。

 これは私にとっては、ドボドボ泣きの映画でした。
「ユダヤ人であること」が話のカナメ。でも、過去があって今があり、過去と現在が相互にILLUMINATE=照らす; イルミネーションを施す; 明らかにする; 啓蒙する; (写本などを)彩飾する, (最初の文字)を色彩[金銀]で飾る; 光彩を添える(三省堂提供「EXCEED 英和辞典)してこそ事の本質が見えるというのは普遍です。

 イライジャ・ウッドの主人公は若いのにいつもダークなスーツとネクタイで、彼の育った家庭と彼自身の生活スタイルがもろに伺える。コレクションの内容は、入れ歯だの虫入り琥珀、なんかよくわかんない針金みたいなのとか、他人にとってはしょうもない物ばかりで、それを日付入りで密封パックに入れて壁に貼る。まるで、その一瞬を留めつけるように。
 そしてウクライナでの、チョーシのいいブロークンイングリッシュでジャージスタイルの青年ガイドと頑固爺の運転手と犬との珍道中。
 前半のいかにものどかなコメディが、後半の重いテーマに違和感無く収斂していく。
 ギャラリーの未公開シーンを見ると、ジョナサンの変人ぶりや、ウクライナ青年・アレックスのアメリカ風プレイボーイを気取る風の誇張が削られているが、悲しいラストのさわやかさにそれが正解だな、と思う。
 全編晴天の明るい光と賑やかでノスタルジックな音楽が(ディスコミュ-ジックも含めて)、見た後の物悲しさをかきたてる様に感じる。

 ウクライナの風景は本当に広々して美しい。それにあのひまわり畑の中の家の映像は、墓地と呼応しているが、御伽噺に出てくる、迷い込む隠れ里のような非現実性を湛えている。

 ラストの空港シーンとクレジットを見てから、思わず数シーン見返しました。原作者まで登場してましたのね。ワンちゃん名演でした。
 

ブレイブ ストーリー(2006/日本)

2007年02月21日 | 映画感想は行
監督: 千明孝一
声の出演: 松たか子 大泉洋 常盤貴子 ウエンツ瑛士 今井美樹

 これはちょっとがっかりだったのであら筋は省略。
 ていうか、あれだけ長い物語を映画1本で語るのは難しいのは分かりきったことなんだから、そこのところ-脚本、物語の再構成-を腰すえて練って欲しかったな…と。

 宮部みゆきの本は悲しくて辛いこともいっぱいあるけれど、ひるまずに一生懸命生きていきたいという平凡な人間の勇気に共感を呼び起こしてくれるストーリーテリングが本当にうまい。

 だから、この映画でも、ラストのワタルの決意に共感の涙を思わず流させてくれるように語って欲しかったのでした。

 絵は良かったんで。
 でも、例えばミウの登場シーンとか、もっとメリハリがあればいいのに。
 FFXのユウナちゃんの異界送り初披露シーンなんてけっこう陶然としちゃったので、ああいう「はっとする」ようなのがその辺に散りばめられていたらきっともっと映画が楽しかったのにと思います。

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 ところで、昨日サークル仲間のお一人が若くして(まだ40代半ばくらいでしょう)おばあちゃんになられまして、それなりにお祝いとかしたんですが、思わず私、彼女との歳の差をカウントしてました。
 20歳過ぎてからのお付き合いというのは、特に趣味のサークルなんかでは年齢の差はあまり気にしませんが、う~ん、早い人は素早くいろいろ済ませてるんだなあ…

花田少年史 幽霊と秘密のトンネル(2006/日本)

2007年01月28日 | 映画感想は行
監督: 水田伸生
出演: 須賀健太   花田一路
   篠原涼子    花田寿枝
   西村雅彦   花田大路郎
   北村一輝   沢井真彦
   安藤希    香取聖子

 小さな田舎町に暮らす9歳の花田一路は、自転車に乗っていてトラックと衝突する。あの世に行こうとする一路をセーラー服の少女がこの世に引き止め、生還したが、その後、幽霊たちの姿が見えるようになってしまう。

 すごく安心して見られます、の家族向け映画って感じでした。
 これもマンガ原作だそうで、話を聞いたら初期の幽遊白書みたいなものだそうですが(中学生のまとまりのない話で判断してるので違ったらすいません)これはきっちり「普通人みたいだけど中身が一級品の両親と、今時めずらしい腕白少年、そして友情」のお話でした。
 適度に笑えて、適度にしんみりして、最後はすっきりハッピーエンド。
 シモネタもトイレがらみというのは、小学生(とその親)を意識したつくりなのでしょうか?
 休みに親子で見にいく娯楽作としては安心の太鼓判ですね。

 お父さん西村雅彦の長髪とか、お母さん篠原涼子のストリートミュージシャン姿、北村一輝のチンピラ弁護士はとっても楽しそうです。
 ただ、クライマックスの対決でまず父と悪霊が、というのは持って行き方がいささか強引かな、と。能力を持っているのは一路なので、その辺もっとスムーズに納得できる運びだと良かったのに、とちょっと惜しいです。

フライトプラン(2005/アメリカ)

2007年01月08日 | 映画感想は行
FLIGHTPLAN
監督: ロベルト・シュヴェンケ
出演: ジョディ・フォスター   カイル・プラット
   ピーター・サースガード    カーソン
   ショーン・ビーン    リッチ機長
   マーリーン・ローストン    ジュリア
   エリカ・クリステンセン   フィオナ
   ケイト・ビーハン    シテファニー

 夫を突然の事故で亡くした航空機設計士のカイルは、夫の遺体と、6歳の娘ジュリアと共に自分が設計にかかわった最新型のジャンボジェット機でベルリンからアメリカへ帰国しようとする。ところが、飛行中の機内でジュリアが忽然と姿を消し、さらには搭乗記録すらも存在しなかったことが判明する。

 しょっぱなから「不安」が濃く漂う画面で主人公はやつれてるし、「パニックルーム」の記憶も呼び覚まされてしまい、なんだかメアリー・H・クラークを連想しました。(クラークというのは子どもが手の届かないところに行って、自分が容疑者だったり、誰もまともに取り合ってくれないような内容の小説をよく書いた人です)ジョディ・フォスターは、こういう不安とか押し隠そうとしている恐怖をうまく見せられる人なのでしょう。
 サスペンスよりも、その「不安」のムードが強くて、散々予告編を見せられた映画なのでちょっと肩透かしを喰った気持ちもちょっぴり。だって、気体を熟知だったら、もうちょっとそれを駆使して渡り合う危機一髪シーンがあっても良かったように思うし…
 でも、ジョディは反撃に転じてからは強い。それにジョディ・フォスターだからでしょうか。その強さがなんとなく納得させられてしまいます。登場シーンからのやつれた顔に比べ、だんだん美しくきっぱりした顔になっていくのが面白かったですね。それに、娘の存在にしろ、アラブ人のことにしろ人が事実というより、自分の見たいものを真実として選択する、という面でもチクリとします。

 それにしても今のところ、劇場にぜんぜんいけません。ああ、「この予告編まただよ」というほど通ってみたい!

ベルヴィル・ランデブー(2002/フランス、ベルギー、カナダ )

2007年01月07日 | 映画感想は行
LES TRIPLETTES DE BELLEVILLE
THE TRIPLETS OF BELLEVILLE
監督: シルヴァン・ショメ
声の出演: ジャン=クロード・ドンダ
     ミシェル・ロバン
     モニカ・ヴィエガ

 戦後間もないフランス。おばあちゃんと暮らす内気で孤独な孫シャンピオンは、自転車にだけ興味を示す。そして“ツール・ド・フランス”に出場するまでになった。ところがレースの途中、シャンピオンは何者かによって誘拐されてしまう…。おばあちゃんは、愛犬のブルーノを連れ、海を越えてはるばる摩天楼そびえる大都会“ベルヴィル”までやって来る。

 このところずっと、アニメを見ては「なんだかなあ…」状態が続いていたのでした。
 年末に見た「カーズ」ももちろん絵は素晴らしかったし、ストーリーも声優も「森のリトルギャング」よりは素直に楽しめましたのですが、同工異曲の感覚はどうしても免れ得ずで、記事にするのは今度にしようと思いました(ほんとに生意気ですいません)
 そこへ持ってきて、これを見たので、もうヒッサビサ「堪能」の世界でありました。全体グロいし、キャラは極端なデフォルメできっと好き嫌いは分かれると思ったけれど、これだけ監督の独自世界を作りこんだものはしばらく触れてなかったような気がしました。
 私は痩せ型キャラは手塚治の古い悪役タイプがかさなっってしょうがなかったけど、絵と色調と音楽、どれもが見事で見る楽しさに浸れるアニメでありました。
 リバイバル、どっかでやらないかなあ!絶対劇場鑑賞したい!

冒険王(1996/香港)

2006年12月13日 | 映画感想は行
監督: チン・シウトン
出演: リー・リンチェイ   ワイ博士
  金城武      パオ
   チャーリー・ヤン    シン
   ロザマンド・クワン   ユンフン

 1930年代の中国。考古学者の“冒険王”ワイ博士は、中国政府から伝説の聖典を探すよう依頼を受けた。その聖典を納めた箱を手に入れれば、世界を支配する力を持つと言われているのだ…… 

 ほんとに「インディ・ジョ-ンズ」そのまんまで、ギャグのセンスが方世玉っぽい映画。
 でも「ダニー・ザ・ドッグ」よりは私はこっちのほうが好きです。金城武は完全に三のセンで、きれいだけどコメディリリース専門。ちょこっとアクションするけど、リーのそばではどうしても負けます。やっぱり趣味好みの問題になってしまうけど、やたらスピーディーな香港スタイルアクションのリー・リンチェイは、やはりやはり!うっとり見惚れてしまいます…
 背景の時代考証は時々「?」なところもあるし、それに忍者やら、相撲取りとのバトルにいたっては、やってるほうは痛そうだけど、見てるほうでは大爆笑。もうおっかしくて!
 リーも金城武も女装シーンがありますが、リー・リンチェイはけっこう女装好きなのかも知れないと思ってしまうシナの作り方でおかしい。
 収め方はそれほどハッピーエンドというわけにもいかなかったけど、とても笑えた映画でした。

 ただ、別に突っ込みどころではないけど、なんで香港映画の日本人役の着物の着方ってずるずるしてるんでしょうか。男の人は思わず衿を直してやりたくなりまする。

ブロークン・フラワーズ(2005/アメリカ)

2006年11月27日 | 映画感想は行
BROKEN FLOWERS
監督: ジム・ジャームッシュ
出演: ビル・マーレイ   ドン・ジョンストン
   ジェフリー・ライト    ウィンストン
   シャロン・ストーン   ローラ
   フランセス・コンロイ   ドーラ
   ジェシカ・ラング     カルメン
   ティルダ・スウィントン    ペニー
   ジュリー・デルピー   シェリー

 プレイボーイのドン・ジョンストンは、いい年齢になっても気ままな生活を続け、一緒に暮らしていたシェリーも出て行った。ちょうどその時差出人不明のピンクの手紙が届き、そこには彼の知らない19歳の息子がいると書かれていた。それを聞いた親友のウィンストンは、お節介にもドンがいままで付き合ってきた女性たちを訪ねて回る旅を段取りしてしまう。

 なんだか分かり易すぎてジャームッシュじゃないみたいに思えるような映画。
 人間誰しも、眼に見える、他の人間と共有しているものとは別の世界を持っている、あるいはそこからはずれたところで生きている部分があり、だから人間はすべて社会との違和感を感じないではいられないのだと思う。今までのジャームッシュの映画ではそういった感覚をモロに刺激してくるような気がしたのだが、この映画で私が見たものは、人間の普遍にもつ感覚には違いないけれど、まあ、あくまで私にはだけど、「命」「人生」を意識させるものだった。
 とりあえず経済的にも安泰で、わずらわしいものは極力遠ざけ、テレビを見ながら暮らしている、一種の理想の生活。でも、彼は自分がこれから何を求めずにいられなくなったか分かってしまいました。もちろん旅にでたということは、既にそれを知っていたのでしょうが、ふたをしていたのでしょう。そして旅先で自分と人生を確認するような作業をしてしまったので、もう元には戻れないでしょう。
 寂しさがひたひた足もとから来るような気分で、エンディングをいささか呆然と見続けてしまった。

バス男(2004/アメリカ)

2006年11月15日 | 映画感想は行
NAPOLEON DYNAMITE
監督: ジャレッド・ヘス
出演: ジョン・ヘダー ナポレオン・ダイナマイト
   エフレン・ラミレッツ ペドロ
   ジョン・グリース リコおじさん
   アーロン・ルーエル キップ・ダイナマイト
   ティナ・マジョリーノ デビー

 アイダホの高校生ナポレオン・ダイナマイト。ちょっとずれてて周囲から浮いてしまっている。家族もちょっと変人。兄はチャットに夢中、叔父さんは変なもののセールスマン。彼はメキシコ人の転校生ペドロと友だちになり、生徒会長に立候補下ペドロを応援する。

 邦題はひどいですね。柳の下のドジョウを狙ったにしてもぜんぜん関係なさ過ぎてどっちの映画もかわいそう。この主人公、ぜんぜんオタクじゃないし。(オタクだったらもっとこだわり持たなきゃ)それに、大仰な名前と本人の格差のおかしさが消えてしまいそうでそれもとってもかわいそう。
 全編ゆるゆると笑わせてもらいました。
 ほんとに上がり下がりのゆるやかな映画で、起承転結・泣かせどころ・見せ場がまったく強烈で無い映画で、キャラクターの味をしみじみ噛みしめます。田舎の街のノホホンとダサさが活きてます。ナポレオンとペドロたちに対抗するキャラでさえもあくまでダサく、ダンスシーンのナポレオンはかっこいいけど、あくまでダサい。素敵。それにペドロのカツラが好きで好きで。

 確かにこの映画見ると「ナチョ・リブレ」で私が無意識に何を期待していたのか、いかにハリウッド式の見せ場キメキメな映画を当たり前に思っていたかが改めてわかります。

ブロークバック・マウンテン(2005/アメリカ)

2006年10月14日 | 映画感想は行
BROKEBACK MOUNTAIN
監督: アン・リー
出演: ヒース・レジャー イニス・デル・マー
   ジェイク・ギレンホール ジャック・ツイスト
   ミシェル・ウィリアムズ アルマ
   アン・ハサウェイ ラリーン・ニューサム
   ランディ・クエイド ジョー・アギーレ

 ブロークバック・マウンテンで羊の番をしていた若い2人のカウボーイ、イニスとジャック。彼らは山の中の2人きりの生活野中で、いつしか友情を超えた愛情を感じていく。その季節が過ぎ、別のパートナーとそれぞれの人生を歩む2人だったが…

 やはりアン・リーの映画だなあ、と思ったのでした。ひたむきな思いと人間の孤独。今ちょうど新作予告の真っ最中のせいもあるだろうけれど「トリスタンとイゾルデ」を思い出さずにいられなかった。要するに運命の相手に出会ってしまった歓喜と絶望のお話を。
 イニスは同性愛を世間の常識と恐怖の記憶で縛られたタブーとして生きている。ところが、彼の魂が求めてしまったのは同性のジャックだった。まずいことにジャックもまた応えてしまったのである。トリスタンとイゾルデの本の感想でも「トリスタンとイズーは(激しく愛し合いそのために激しく憎みあい)自らも他人をも傷つけ血を流しながら、お互いを求めます」なんてちょっと気恥ずかしいことを書いてしまいましたが、同じ光景を見た思いです。
 
 ランディ・クエイドのでっぷりした憎々しさに唸りました。「さらば冬のかもめ」のあの彼が…

サトクリフ版トリスタンとイズーについて
 いろいろなバージョンがありますが、一番好きです。