二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

食べてみなけりゃわからない(ポエムNO.3-89)

2020年07月07日 | 俳句・短歌・詩集
   (2019年3月 高崎)



柿の木から摘みとった柿色のクッションを枕にしながら
ウトウトと寝込んでいたら
真珠の精がもたらすもやっとした夢につつまれた。
かなり歪んではいるけど大粒の真珠。

さっき通っていったカラスがきみの頭にそれを落としていったのだ 
白黒の糞を落とすかわりに。
ところでなぜ
カラスはカアと鳴くか?

きみの頭蓋骨のなかは
今日は光に満ちた巨大なスタジアム。
さっきまで革命と恋が いや恋と革命が格闘技をくりひろげていた。
そんなことさえ起こるんだ。

二十代のおわりで死ねなかったから
あとはいつ死んだって同じ。
きみはそう考え
運命という名前のスイカをむしゃむしゃ食べる。

カラスがなぜカアと鳴くか知っているのは
たぶんフランツ・カフカだけだろう。
ことばの変てこりんな剥製を無数に蒐集していたから。
明日はカフカの短編集を読みながら

真珠の夢のソファーでウトウトしよう。
運命という名前のスイカは食べてみなければ
どんな味かわからない。
カラスがカアと鳴くのはきみがそう思っているからだ。

ありゃ そうだったのか。



※ ニワトリは「とをてくう とをるもう とをるもう」と、
イヌは「のをあある とをあある やわあ」と鳴く。
そのように表記したのは萩原朔太郎。

なお宮沢賢治も盛んにオノマトペ(擬音)を使ったが、
「どってこどってこどってこ」「かぷかぷ」等をのぞき、案外平凡なものが多い。
参考「宮沢賢治のオノマトペ集」(ちくま文庫)。




過去にこんな詩を書いたことがある。
https://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=4279073&id=1945789715

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