二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

待っている人は(ポエムNO.2-28)

2014年01月12日 | 俳句・短歌・詩集
いつかやってくる人をもうずいぶん長いあいだ
待っている。
その人はいま どのあたりにいるのだろう。
たっぷりとした髪を後ろになびかせているけど
白馬に跨っているわけじゃない。
ロングスカートの裾から きゅっとひきしまったくるぶしが見えかくれしている。

きみの眼の端のほうで
ロウソクの灯りのようなものがゆれて 
ゆれて
それは少年だったころのぼくを虜にした
あの遠い灯りなのだ。
そこからはますます遠ざかる一方なのだが・・・。

いつかやってくる人をもうずいぶん長いあいだ
待っている。
半分苦しまぎれで そう書いてみた。
待っているあいだに 意にそまぬ仕事をしたり
アカゲラや野良ネコの写真を撮ったり
自己流のレシピでうどんをつくって食べたり。

むろん退屈ばかりしていたわけじゃない。
ぼくがこれまで意識してこなかった恐ろしい悪徳。
それがいつかぼくの眠りを窮地に追いつめるだろう。
安らかな小さなドアがぼくの目の前にならんでいる。
一つのドアを選んだら ほかのドアには入っていくことなんてできない。
人の生涯とはそんなふうに出来ている。

さよなら
こんにちは! こんにちは!
またお会いしましょう 日傘のようなものが
くるくる くるくる回っている明るい夏のほとりで。
そういい残して消えていった人もいたな。
待っている人はいっこうにやってこないというのにね。

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