二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

視神経の冒険者 ~ストリートスナップの現在

2016年03月20日 | Blog & Photo
先日つぶやきでも取り上げたように、マイミクあっCさん経由で、panDx1さんのフォトを拝見し、久しぶりにストリートスナップの達人と出会ったような気がして、驚くやら、感動するやら、写真の面白さに深くふかくひたることができた。
ひと口に写真というが、そのカテゴリーは、音楽だとか、映画だとかと同じように、広範囲に広がっている。
しかし、多種多様なカテゴリーのうちでも、スナップショットこそ写真の神髄であるとわたしは信じている者である。

そんなもの、だれだって撮っているよ、スマホやiPhoneで・・・という現象が世間をおおいつくしている一億総カメラマン時代...?^^); ところが、視神経の冒険者とでもいいたくなるようなすぐれたスナップの撮り手は、そう多くはない・・・とわたしはかんがえている。
わたしのマイミクさんの中で、視神経の冒険者の最右翼ともいえる人が、panDx1さんである。わたしはこの種の作品と、mixiで出会えるとは思っていなかった*´∀`)ノ

「そんなことはないさ。mixiはともかく、世界最大の写真の投稿サイト、Flickrを見たことあるかね」といわれそうなので、あらためて参照してみた。
キーワードは「ストリートスナップ」。こういうと、街角で微笑むファッショナブルな美女の写真と勘違いされるかも知れないが、そうではない。

https://www.flickr.com/search/?text=%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%8A%E3%83%83%E3%83%97
(うまく表示されない場合は検索し直して下さい)

こういうシーンをつぎつぎ眺めていると、世界はすべて撮りつくされているのではないかと、ある意味不安になる|*゜Д゜|┛ しか~し、結論をさきにいうと、そんなことはないのである。たかだか数万枚、数十万枚というロットで、世界を「見尽くす」なんて、できはしないだろう。千変万化する現実は、いまこの瞬間にも、無数に生まれている。その“すべて”に立ち会うなんて、そもそも不可能だからである。

panDx1さんは、偶然をあたかも必然のように見せてしまうマジックパワーの持ち主。
(以下すべてmixiのフォトサイトからお借りしたpanDx1さんの作品)







わたしにいわせると、一枚のすぐれた写真の背後から、1000回のシャッター音(ちょっとオーバーかな)が聞こえる。うまく撮れる場合より、うまくいかない場合のほうが、比較にならないほど多いからである。「あれもだめ、これもだめ」とどんどん捨てていって、残った数枚が、価値を生む。
知り尽くしたはずの日常がシュールに見える瞬間を、フォトグラファーが“発見する”のである。
フィルム時代に較べたら軽い、軽いといわれるにしても(^^;)


刺激的な都市風景を背景に選んで、点景人物が通りかかるのを待って撮ったと思われるショットがある。むろんどんな人物が通りかかるかわからない。
忍耐力を必要とする撮影法といっていいだろう。わたしは面倒なので「待って撮る」なんてことは、めったにやらない(野鳥撮影だけ別)。
そういう意味でも「元手がかかった写真」だといえるのではないだろうか?







panDx1さんは広角レンズの使い方がうまい。広角レンズを、いわば存在論的に使いこなしている。
この世には、ことばを拒むというか、ことばが追いつかない世界があるが、そういう世界を白日の下にさらけ出すのは、広角レンズ、超広角レンズが得意とするところである。

とにかくフォトジェニック(^^♪ 
光と影をじつに巧みにコントロールし、写真でなければ表現できない美しさに、見る者を立ち会わせる。無条件でワクワク、ドキドキしながら、最後の一枚まで拝見した。

少々大げさな表現をあえて使えば、ここにある写真は、どれもたいへんすぐれた知の所産である。彼は1秒後(0.5秒後といっても同じだが)の世界を予知する能力にめぐまれた人なのである。
鋭利な直感力、素早いフットワークは、まるで狙撃手(スナップシューターとはそういう意味だ)のようで、稀有な力量をもっておられることは疑いない。
20世紀は「読む文化」全盛の時代であり、21世紀は「見る文化」全盛の時代であるといわれる。したがって、詩や小説に代わって、映画やマンガが表現の主役に躍り出たのであろうという説に、わたしもほぼ同意する。

なぜそういううねりが生じたのかといえば、これは推測の域を出ないが、「見る文化」のほうが、瞬時により多くの情報を処理できるからであろう。一般的に、10枚の画像を閲覧するだけなら数秒で事足りるが、1000文字読むには、数分を要する。

彼とはお知り合いになったばかりなので、わたしの誤解、見当違いもあるかもしれない。キャンディッドという手法を駆使して“その瞬間”を、連写によって仕留めたのか、一発によって仕留めたのか、いま考えている。RAW現像しているのかと推測したが、j-peg&Photoshopだそうである。どんな機材をお使いになっているのだろう。
さきほどご本名でwebの検索にかけてみたら、建築写真家としてお名前がヒットしたが、こちらがご本業なのかもしれない。

正直にいって、わたしは大いにインスパイアされた(^-^*)/ さらにいうなら、構図の作り方に肖像権時代に対する配慮が働いることがわかる。個人の識別がしにくいように、人物は多くの場合、点景人物として登場している。そのあたりもたいへん参考になった。



最後にもうひとこと付け加えておこう。
スナップシューターとは、結局のところ、何者であるのか?
それは、あえて断定的にいうなら、世界をイメージで再編するという欲望に憑かれた人のことである。



※くり返しますが、ここに掲載したフォトはすべてpanDx1さんのもので、著作権はpanDx1さんに帰属します。

※panDx1さんとお知り合いになったあと、わたしはtakkさんというすぐれたスナップシューターとお友達になっている。panDx1さんとはリアル友ではないかとお察ししている。
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