本書に対する評価はまっぷたつに分かれている。賛否両論、喧々囂々。
『南京事件について「あった」「なかった」などの結論を持たずに、あくまで一次資料などから
その実体を調査している人にとっては常識であるが、この本には改竄が多すぎ、全く信用に足らない。参考文献として引用されているのも、でたらめで有名な本である。』(AMAZONカスタマーレビュー)
『南京事件を語るとき否定にせよ肯定にせよ、感情的な論議が多く見受けられる。
右にしろ左しろ政治屋が介入して冷静な論議ができていないからと思われる。
その中で否定派の目の敵にされているこの本。』(同カスタマーレビュー)
いささかうろ覚えだけれども、たしか小林よしのりさんも本書を取り上げていたな。
読んでいけばわかるが、とにかく引用だらけで塗り固められている。
当事者の証言といっても、その信憑性について、ウラをとっているわけではなく、ジャーナリストや外交官などのしるした資料やネタ本を調べ、これは「すべて真実であろう」というふうにならべている。
なにがあったのかは問題がない。
歴史にその惨禍をしるす「大虐殺」はあったのである。
しかし、それらが、この本で「検証」されたものそのままであったかどうか。
そこには、本書を一冊読んだだけでは判断できない、いろいろな問題が伏在している。
岩波の本の帯には「徹底的な資料検証にもとづく歴史叙述!」という一文がある。
しかし、著者自身が認めているように、指揮系統もろくにないような軍隊が、広範な地域にわたっておこなった虐殺の全貌を、その数字にいたるまで完全に正確に把握するのは、いまとなっては不可能なのである。つまり、本書は推定の域を出ない、多くの書類のうえにのっている。じっさい、多くの反証があげられ、議論百出といったありさまになる。
だから、こういう本を評価するのは、ほんとうにむずかしいし、わたしには、むろん不可能である。
笠原さんは、本来は中国の近現代史がご専門のようだが、本書によって、「南京虐殺」の事実認定論争に巻き込まれた。たしかに、それだけの衝撃力をもった本なのである。
しかし、ウィキペディアによると、この笠原さん、本書初版において、写真の「誤用問題」を引き起こしているようである。インターネット上にも、「南京事件・関連資料」というページがあり、膨大な歴史資料の一部を参照することができる。
この通りのことを日本の軍隊がおこなったとすれば、戦争に惨禍はつきものとはいえ、国際法を、あるいは人間性をまったく無視した前代未聞の大量虐殺となり、あたりまえながら、日本人として無関心ではいられない。
小林よしのりなども、証言者の立場の違いによって、証言の信憑性がゆらぐことを指摘している。そういう意味でこういった混乱のさなかの大事件における「事実認定」の困難が立ちはだかってくる。
したがって、わたしにとっては、「皆さんのご意見を拝聴しよう」という段階である。
だが、ほんとうは、虐殺された犠牲者の「規模」の問題ではなく、なぜ、どのように、おこなわれたのか、そういった「真相」の究明が大事なのである。日本人が、必要以上に自虐的になることはないし、中国の反日運動に利用されるための本ではないはずである。
評価:なし
『南京事件について「あった」「なかった」などの結論を持たずに、あくまで一次資料などから
その実体を調査している人にとっては常識であるが、この本には改竄が多すぎ、全く信用に足らない。参考文献として引用されているのも、でたらめで有名な本である。』(AMAZONカスタマーレビュー)
『南京事件を語るとき否定にせよ肯定にせよ、感情的な論議が多く見受けられる。
右にしろ左しろ政治屋が介入して冷静な論議ができていないからと思われる。
その中で否定派の目の敵にされているこの本。』(同カスタマーレビュー)
いささかうろ覚えだけれども、たしか小林よしのりさんも本書を取り上げていたな。
読んでいけばわかるが、とにかく引用だらけで塗り固められている。
当事者の証言といっても、その信憑性について、ウラをとっているわけではなく、ジャーナリストや外交官などのしるした資料やネタ本を調べ、これは「すべて真実であろう」というふうにならべている。
なにがあったのかは問題がない。
歴史にその惨禍をしるす「大虐殺」はあったのである。
しかし、それらが、この本で「検証」されたものそのままであったかどうか。
そこには、本書を一冊読んだだけでは判断できない、いろいろな問題が伏在している。
岩波の本の帯には「徹底的な資料検証にもとづく歴史叙述!」という一文がある。
しかし、著者自身が認めているように、指揮系統もろくにないような軍隊が、広範な地域にわたっておこなった虐殺の全貌を、その数字にいたるまで完全に正確に把握するのは、いまとなっては不可能なのである。つまり、本書は推定の域を出ない、多くの書類のうえにのっている。じっさい、多くの反証があげられ、議論百出といったありさまになる。
だから、こういう本を評価するのは、ほんとうにむずかしいし、わたしには、むろん不可能である。
笠原さんは、本来は中国の近現代史がご専門のようだが、本書によって、「南京虐殺」の事実認定論争に巻き込まれた。たしかに、それだけの衝撃力をもった本なのである。
しかし、ウィキペディアによると、この笠原さん、本書初版において、写真の「誤用問題」を引き起こしているようである。インターネット上にも、「南京事件・関連資料」というページがあり、膨大な歴史資料の一部を参照することができる。
この通りのことを日本の軍隊がおこなったとすれば、戦争に惨禍はつきものとはいえ、国際法を、あるいは人間性をまったく無視した前代未聞の大量虐殺となり、あたりまえながら、日本人として無関心ではいられない。
小林よしのりなども、証言者の立場の違いによって、証言の信憑性がゆらぐことを指摘している。そういう意味でこういった混乱のさなかの大事件における「事実認定」の困難が立ちはだかってくる。
したがって、わたしにとっては、「皆さんのご意見を拝聴しよう」という段階である。
だが、ほんとうは、虐殺された犠牲者の「規模」の問題ではなく、なぜ、どのように、おこなわれたのか、そういった「真相」の究明が大事なのである。日本人が、必要以上に自虐的になることはないし、中国の反日運動に利用されるための本ではないはずである。
評価:なし