二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

ほんの少しのたいせつなもの(ポエムNO.3-85)

2020年06月30日 | 俳句・短歌・詩集
   (2015年10月 前橋)



たいせつなものは
ほんの少ししかありはしない。
川は流れないとよどんで
いやなにおいを発しはじめる。

時代がよどんで
いたるところ悪臭がしている。
すぐに慣れて感じなくなってしまうから
問題にしようとする人は百人に一人もいない。

たいせつなものは
ほんの少ししかありはしない。
だけど ほんの少しのたいせつなものを
なおざりにしてきた。

よどんだ空気の底で
鼻をつまむかマスクをつけるか。
皆さんそうして繁華街を闊歩する。
背中にI'm a geniusとプリントされたTシャツを着ている人もいる。

「じじいやばばあはすっこんでろ!」
ということなんだろう。
ぼくは人通りの絶えたほの暗い路地をまがる
もう一つ路地をまがる。

そのさきにキレイなお花畑があってね
百年まえのきみとぼくがおままごとをしている。
いやおままごとにしか見えないなにかをしている。
そこへ戻れるとしたらいいのだけど。

ほんの少しのたいせつなもの。
さあて
忘れてきたものをとりに戻ろう。
手後れでなかったら。

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