二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

三浦しをん「神去なあなあ日常」(徳間書店)レビュー

2015年05月09日 | 小説(国内)
林業に携わる人びとを劇画ふうに描いた三浦しをんさんのライトノベル。

《ライトノベルの定義に関しては様々な考え方があり、現在においても出版業界で完全に明確な基準が確立されているというものではない。日経BP社『ライトノベル完全読本』においては「表紙や挿絵にアニメ調のイラスト(≒萌え絵)を多用している若年層向けの小説」とされている。
また、榎本秋は自身の著書における定義として「中学生〜高校生という主なターゲットにおいて読みやすく書かれた娯楽小説」としている。
あるいは「青年期の読者を対象とし、作中人物をマンガやアニメーションを想起させる『キャラクター』として構築したうえで、それに合わせたイラストを添えて刊行される小説群」とするものもある。》(ウィキベディアより引用)

ヨーロッパ19世紀のバルザックやドストエフスキー、あるいはわが国の近代文学の愛読者であるわたしのような“おっさん”が読む小説ではなかった(T_T)
読みながらこれは若者向けに描かれるマンガまたはアニメの原作にいいのではと思った。
作者三浦さんには、文学作品を書こうという意図ははじめからないので、酷評するのも大人げないかもしれない。

こういうラノベの地平から眺めてみると、しばしば通俗作家あつかいされる松本清張や司馬遼太郎には、文学としての香気がふんだんにつまっていることがわかる。
三浦さんはヨキという人物を描きたかったのだろう。型破りな精力絶倫男だが、よく書けていると思われた。
語り手であるおれ(勇気)をふくめ、そのほかの登場人物はすべて型にはまった、型通りの人物。ストーリー展開もいかにもB級。宮崎駿さんがオビ文を書いているが、宮崎アニメの影響も感じられる。

林業という職業があつかわれているため、ある程度取材したり、巻末には参考文献があげてあったりする。
しかし、「お仕事小説」としてのリアリティは稀薄といわざるをえない。

ライトノベルなるものの定義を参照すると納得できるところはあるが、小説家三浦しをんさんには、もっとすぐれた作品がほかにあるのではないか?
正直にいって、そんな感想をいだいた(^^;) 残念。
まあこれに懲りず、現代小説あと何冊か読みすすめてみよう。



評価:☆☆(5点満点)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ムシトリナデシコその他のフォト | トップ | 二眼レフを手にして散歩 ~d... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

小説(国内)」カテゴリの最新記事