虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

工作をするだけで国語が得意な子になっていく方法

2011-07-21 07:52:21 | 工作 ワークショップ

工作をするだけで、算数が得意な子になっていく方法に続いて、
工作をするだけで国語が得意な子になっていく方法を紹介します。

作品がどんな出来栄えでも、ただめちゃくちゃになぐり書きをしただけでも、
何を作ったのか言う時、子どもはとてもうれしそうです。

「ドレッサー」とか「お友だちの顔」とか「小鳥と私」とか「宇宙船」など
タイトルを漢字やカタカナまじりで紙に書いて、
作品を飾るときに添えてあげます。

作品についての説明を子どもからよく聞いて、
短い文章にして書いて、
いっしょに添えてあげるのもいいです。

子どもは自分の作品を捨てたがらず(どんなにゴミくずのような作品でも……)
タイトルを何度も読んでもらいたがったり、
自分でも読もうとします。

子どもは勉強にために文字を学び始めるよりも、
誰かに思いを伝える手紙やメッセージカードや自分の作品につけるタイトルや
その日の出来事を書いた日記などで
文字と親しんでいくことを好みます。

工作をするとき、このように文字や文章とも親しめるように
しておくと、
遊ぶ時や、能動的に創造的に活動する時に、
文章を書くことを積極的に取り入れるようになってきます。




工作をするとき、身近な大人が「最初に」とか「だから」とか「それから」といった接続詞を使って、
ていねいに説明するようにすると、
文章を組み立てるのが上手になってきます。

どうして工作をするとき……なのかというと、
工作中はお手本を見せて解説することが多いからなんです。

たとえば、ティッシュ箱で自動販売機を作るとしますね。

「まず、はじめにティッシュ箱の一番、面積が小さな面を下にして、立てるわね。
ほら、これ、ちっちゃいでしょ。こっちはでかい。
小さな面が下よ。

それから、上にある同じように面積が小さい面に穴を開けます。
ここからジュースを入れるの。

最後に、ジュースが出てくる穴を作らなきゃね。
どこに開けたらいいと思う?」

のように、「はじめに」「それから」「最後に」を使って、
何段階かの手順に分けて説明すると、
こうした表現に慣れていきますよね。




工作というのは、子どもと素材とのコミュニケーションとも言えるし、
子どもとイメージの世界のコミュニケーションとも言えます。

上手な作品を作るということに縛られず、
物作りを通して満たされる
自分の内面を外の世界にアウトプットしながら
それに形や言葉を与えていく過程を親子で楽しんでくださいね。

工作をするだけで、算数が得意な子になっていく方法 

2011-07-20 20:26:19 | 工作 ワークショップ




子どもたちと工作をするとき、私は ごく自然に「算数の世界で学ぶ言葉」を使うようにしています。

工作では、箱や折り紙などをよく使いますよね。

そのある形や部分を指して、「○○を貸してちょうだい?」「○○と△△どっちがいい?」など
たずねるときに、自然に、算数に関わる言葉を使うのです。


基本の基本は「形」を表す言葉。

「四角、三角、丸、だ円、五角形、正方形、長方形、二等辺三角形」などです。



たとえば、「四角い紙と、だ円の紙はどっちがいい?」などと使います。

立体を表わす「三角すい、四角すい、円すい、正20面体、立方体」などの呼び名も自然に使います。

また、子どもとのやりとりの中で、
「長さ、高さ、深さ、浅さ、広さ、
垂直、平行、直角、角度、拡大、縮小、重なり、○パーセント」など、
もどんどん使っています。

たとえば、「そこの面は、80パーセントくらいに色を塗ってね」など。



また、物差しや三角定規、分度器、コンパス、量り、メジャーといった
道具も2,3歳の子とする工作でも自然に使うようにしています。
(危険なものは、扱いは保管に注意しています)

子どもに教え込むことはひとつもありません。
子どもたちは、自然に家の中のテレビや冷蔵庫といった名前を覚えますし、
テレビのリモコンや電話の使い方を覚えますよね。
それと同じように
算数に使う道具の使い方や目盛りの読み方も
いつの間にか覚えてしまいます。

工作でそうした言葉に親しませるとき、
無理矢理教え込むことはいっさいしない方がいいです。

何度も何度も工作で遊ぶうちに、子どもたちは
その言葉が何を表すのか、身体にしみこむように
理解していきます。

物差しの目盛りの読み方にしても、
ただ読めるだけでなく、
単位の変換や小数点や分数の概念や、概数の意味まで理解していきます。

工作の世界では、「だいたい3センチくらいのひもがいる」ということがよくあります。
それは、概数について理解するチャンスです。



また、箱を切り開いて使用する工作をしていれば、
頭の中で図を自動的に組み立てることができるようになります。
展開図を見るだけで、それが立体になると
どのような形になるのか、わかるようになってきます。


たとえば、3、4歳の子が、紙皿をちょっと切って工作するようなときにも、
「円の中心が知りたいわ。丸い形のおへそよ。」と言って、2回半分の折って、交差する部分が
円の中心にあたることや、
半径がどれにあたるかを見せてあげることができます。

もちろん、教え込む必要はないのです。
ただ、工作で得る知識は、無駄な先取りにはならず、
とても実用的ですから、
「円の中心に穴を開けて、くるくる回る回転ずしを作りましょう」
「半径の長さに、コンパスをグーンと広げてね、足が痛いよって言うかな?
そして、くるんってバレエみたいに回ったら
円が描けちゃうよ」
といった会話にすぐに使っていけます。

もちろん、一度にたくさん使う必要はなく、
もう1ヶ月、「毎日、毎日、紙皿で船作ってるわ」なんて時に、
ついでに、水に浮かべるときに、「指の上に、円の中心のところを乗せて、そーっとそーっと動かしてみよう」
といった楽しい誘いをしてみるといいですね。

工作をしながら、自然に算数に親しませるコツは、
虹色オンライン教室の 学ぶことが好きになる工作遊び でもたくさん紹介しています。

もくじを、体験別に整理しています↓

9歳の壁 と 『虹色オンライン教材 学ぶことが好きになる工作遊び 』  抽象的思考の基盤となる体験について



夏休みの科学クラブのお知らせ 台風による日時の変更について

2011-07-20 18:03:46 | 生徒募集 イベント参加募集
台風の影響で、
7月20日と7月21日のレッスンを
変更したい方は、

8月1日 2時~4時か
8月3日10時~12時にいらしてくださいね。
希望日時をコメント欄に書き込んでいただけば、後は、
その日に来ていただくだけで大丈夫です。

子どもの個性に合わせた課題 と 衝動性のコントロール  2 (夏休み 日帰り科学クラブ)

2011-07-20 17:04:07 | 子どもの個性と学習タイプ


今日のレッスンでは、最後にモーターで回すおもちゃを作りました。(写真を撮りそびれてしまいました)

☆くんは、回転させる面の色を塗り分けて、
「混ぜるとどんな色になるのか」ということに
興味を持っていました。

★くんは、扇風機のように風を起こせるようにしたいと
考えていたようです。
丸い平たい紙を回していたときも、自分の顔に回転している面を向けて、
扇風機にあたっている時のような表情を作っていましたから。

そこで、紙のふちに切り込みを入れて折ってみました。
すると、本当に扇風機のように気持ちの良い風が起こりました。
★くん、大満足です。

☆くんと、★くんの、遊び方や工作や実験への取り組み方は、
それぞれとても個性的です。
ですから、今後、お家での、
働きかけ方や課題の与え方はずいぶん違ってくるように思いました。

まず4歳の☆くんですが、
言葉だけではなかなか誘いに乗らないし、
自分で動かないで他人にしてもらおうとする甘えんぼのところがあります。
けれども、一度、興味を持つと、知的な好奇心にまで関心を広げながら
根気よく関われていましたし、
正しい手順を覚えて、繰り返し練習することも
自分から求めていました。
ですから、できるだけ、ささいなことでも、☆くんの良い面が発揮する場面に付き合って、
「ゴム鉄砲のゴムのかけ方や、引き金を引くタイミングを
正確に見れていたね。
お手本を見るとき、こことここって、ポイントがきちんと見れているし、
真似るのが上手ね」
など、具体的に褒めて自信や自立心を育むことが大切だと
思いました。
☆くんは、練習を積んで、できるようになれるタイプの子なのですが、
実際、何かをして、自分がどんなことができるか、という具体的なイメージがあまりないようでした。

また、知的な興味も強くそれを言葉で表現しようとする意欲もあるのに、

真ん中あたりに貼る、3番目に、熱い、泡が吹き出す、こぼれる、
長い、もっと遠くから、速い……

といった言葉を耳にしたことがなかったようでしたが、
一度、聞くと、理解して使っていました。
☆くんの興味や考えを表現しやすくなるような言葉を
大人がたくさん使ってあげる必要があると思いました。

★くんは、目で見て察するのが得意な子で、
「こんなことをしたい」という気持ちもひらめきやすいし、
実行力のある子でした。
一方、飽き性で、好奇心が知的なものに向かう前に、
遊んでおしまいとなりがちでした。

感情が優れている子たちは、
身近にいる人々が興味を持っていることに共感しながら、
知的なものにも関心を広げていきます。
本人だけで遊ばせていると、
いじっていたかと思うと、しまいに投げてみて、それを人の注意をひきつける道具にして
おしまい……となりがちです。
こうしたタイプの子は、根気がなくて、表面的な楽しさに終始して活動が終わりがちですが、
エネルギッシュで、力が必要だったり、水や泥にまみれたりするような作業には
強い一面もあります。
短時間にたくさんエネルギーを使わせる活動の場を
用意してあげると、忍耐力がついてくるように思います。
もう少し大きくなると、キャンプや山登り、フィールドアスレチックなどを
体験させるといいのかもしれません。

子どもといっしょにいろんなことを楽しんで、
遊びの中から、不思議を見つけたり、
疑問を抱いて話しあったり、創造的な活動につなげたりすることが
大切だと感じました。
★くんも、☆くん同様、自分の長所を具体的な体験の中で、
褒めてもらう必要を感じました。
「いいこと思いついたね。よく気付いたね。
いつも、やりたいって最初に言うね。やる気があるね。
自分でしようとするがんばりやだね。○○を作った時、自分ではさみを上手に使えたね。
カーブに切るところが難しかったけどひとりでできたね」などです。


子どもの個性に合わせた課題 と 衝動性のコントロール  1 (夏休み 日帰り科学クラブ)

2011-07-20 13:42:14 | 子どもの個性と学習タイプ


今日は、夏休みの日帰りの科学クラブの初日。

台風の心配から別の日に移っていただいた方があったため、
3歳の★くん、4歳の☆くんの
ふたりだけのレッスンでした。

このふたり、赤ちゃんの時期を終えて、
そろそろ、我慢するところはきちんと我慢したり、
大人の指示を最後まで聞いて、ていねいに取り組んだり、
目的を定めて、じっくり物事に関わることをしつけていく
大事な時期に差しかかっていました。
(この時期に、きちんと対応しておかないと、
小学生になっても、なかなか衝動性を自分でコントロールできない子がいます)

マジックボールという水を吸い込んで大きくなっていく粒を使って、
ピタゴラスイッチのような遊びをしたり、
レンズとして使用したり、
酢と重曹を使う実験で使用したりして、
楽しみました。



途中で、☆くんが10円をばねではじいて転がしていく
おもちゃで遊びたがりました。
そこで、「それには、本物の10円玉が必要よ。もし、遊ぶんだったら、
机の上に散らばったマジックボールを、この容器の中に集めてね」と言うと、
☆くんは、めんどくさそうに2、3個集めて、
また遊び始めました。

「☆くん。10円玉はいるの?それで遊びたいの?」というと、
大きくコックリします。
「なら、その玉で遊ばずに、容器に入れてちょうだい」と言うと、
ふたたび、2、3個集めて、手をとめてしまいました。
見ると、ニコニコしながら、私がマジックボールを片付けてくれるか、
先に10円玉を出してくれるかするのを待っている様子です。

☆くんは、穏やかで優しくて茶目っ気があって甘え上手な性質の
上にお姉ちゃんがいるふたり目ちゃん。

★くんも呼んで何とかふたりでテーブルの上を片付けさせてから、
10円を渡すと、
熱心にばねをはじいていました。

「10円をポンッてはじいているのと、
同じ仕掛けを作ってみる?」とたずねると、
☆くんはまだ10円をはじくのに夢中でしたが、
★くんが工作をしたがりました。

そこで、ペットボトルのふたをアイスの棒に貼って、
はじく道具を作りました。

工作には興味がないという様子だった☆くんですが、
★くんが、作ったはじく道具でマジックボールを飛ばして遊び出すと、
「ぼくもやりたい!」と言って、作り始めました。

「ついでに、回転しながら円盤が飛んでいく道具を作ろうか?」とたずねると、
またしても★くんが、「やるやる!」と乗り気で、
☆くんは、さっき作った道具で玉を飛ばすのに夢中でした。


アイスの棒(100円ショップに売っています。わりばしでも作れますが、危険なので遊ぶときに
注意してください)に輪ゴムを貼って、
紙皿に切り込みを入れるとできあがり。

またしても、★くんが遊ぶのをみて、自分もそれが欲しくて
たまらなくなった☆くん。
★くんに作り方を教わりながら、
円盤を作りました。



☆くんは、最初、切り込みを半円を描くように丸く切りました。
それだとゴムが引っかからないのですが、
間違いとして正しい方法を教えるのでなくて、
「こういう切り方だとどんな風に飛ぶのかな?」と言いつつ、ゴムを引っ掛けて見せて、
「あっ引っかからない。すべっちゃう、どうすればいいかな?」とたずねて、
「もうひとつ、★くんと同じ三角に切ったところも作っておこう」と誘いました。

このように子どもが自分でできるレベルの工作は、
子どもから比べる力や分析する力、予測する力を
引き出します。



自分で作った飛ばす道具で、円盤を飛ばし始めた時、
それまで自分から積極的に何かし始めたり、
じっくり取り組む姿が見られなかった☆くんが、
何度失敗しても、ゴムを円盤にかけなおして、
「右手で棒を立てて持って、左手でゴムを円盤に引っ掛けて引っぱるの」という説明を真剣に聞いて、
何度も何度もチャレンジして、紙コップのおばけに当てて喜んでいました。



その後は、いろいろな科学の道具に触れて、
いろいろ試してみたり、
感じたことを言うときにも、
熱心で、ていねいな態度でじっくり遊んで、強い知的な好奇心を示して、いろいろな質問をするようになりました。
その時、☆くんの心に響いているのは、
感覚が優れている子特有の、
五感から入ってくる繊細な情報の違いをいつまでも楽しんでいて、
それを言葉で表現しようとしたり、
「それなら、これだったら、どうかな?」「こうだったらどうかな?」
と試していく行為でした。

おそらく外向的感覚の思考寄りの子ではないかと思われました。
☆くんが、道具で遊ぶときに、より上手に扱えるようになるために、きちんとお手本通りしようとし、
できるようになるまで、繰り返し練習する姿からも、
感覚が優れている子だろうと思いました。




一方で、3歳の★くんは、外向的感情の直観寄りの子ではないかと思いました。
★くんは何をするときも、一番関心があるのは、
他人の感情でした。
遊ぶときも、実験するときも、興味があるのは、遊びや実験そのものではなく、
それを介して、いかにお友だちや私の関心を引き付けることができるかです。
それぞれが静かに自分の活動をするような時間には
わざとちょっかいをしかけて、笑いながら相手の様子をうかがっています。

外で追いかけっこをしたり、川遊びをしたりするような、
人と触れ合いながら、全身を使って遊ぶことが好きなタイプなのでしょう。

でも、工作にしても実験にしても、知的好奇心を抱いていろいろなものに関わることにしても、
★くんに合わせたアプローチをすることで
楽しめてはいました。


次回に続きます。

アスペルガー症候群の子 と テスト 2

2011-07-19 17:53:58 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子
☆ちゃんのテストでの困難と関わりが大きいようなので、
ちょっと話が脱線しますが、1冊の本を紹介させていただきます。


『決定権を誤解する子 理由を言えない子 
 発達障害がある子に 誤解をもたせない育て方のポイント』
湯汲英史 小倉尚子  かもがわ出版


に、「理由が言えない、わからない」子どもの困難と、
理由が言えるようになることが自律的な行動につながることが解説してあります。

著書にある「理由が言えない、わからない」子に見られる姿と、
理由への理解が発達する段階を要約して紹介しますね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「理由が言えない、わからない」子に見られる姿

●会話でイライラしやすく、けんかが多い(理由づけがわからないので、
話の意味がよくわからない。相手は理由をつけて提案していても、一方的に
指示された、命令されたと思い込む)

●すぐに「はい」「わからない」と言う(会話が進み、理由を聞かれるのがイヤ)

●自分の考えをまとめられない (理由を考え、表現できない)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

理由の段階

①理由が言えない段階

(理由が表現できない段階。理解できない説明を受ける経験が
積み重なると、人の話を聞き流す習慣がつく恐れもあります)


②理由が相手への説明になっていない段階

(「好きだから」といった、自分の感じのみの表現)

③理由の内容が、一般的に考えて了解できる段階

(おいしいから」「たのしいから」など。)

④理由の内容が、一般的な知識や道徳になる段階

(「からだにいいことだから」「これはいいことだから」など、知識として学んだことが、
言動の際の理由になります。
ただ、一般的な知識や道徳を盾に、周りの人を強く非難したり、違う考えを受け入れなかったり
する場合は、要注意です。)

⑤理由に他者が入る段階

(「みんな、いいと言っている」「お友だちもほしいって話してた」など。
多数の考えであることや、権威ある人の本などを論拠にしたりします。)

⑥理由を自分流に表現する段階

(以前、青森に入ったことがあって、りんごの鼻を見てきれいだと思いました。りんごは健康にもよいと聞き、
ますます好きになりました」など自身の体験や知識を入れ、自分なりに考えた表現となります。
一般的に小学校高学年~中学生にかけて増えてきます。



          (『決定権を誤解する子 理由を言えない子 
           発達障害がある子に 誤解をもたせない育て方のポイント』
            湯汲英史 小倉尚子  かもがわ出版 より)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

話を小4の☆ちゃんは、あまり考えていないような口調で、すぐに「わからない」ということが
よくあります。

やりなおしのテストも、
「4億の100倍 という問題は、4億をまず数字であらわしてね。それから……」と
指示を与えられると、その通り解きますし、
もし全く同じ問い方で数字だけ変えてあるものなら、いくつも
がんばって解いていきます。

でも、「100倍とか、10倍とかにする問題の時は、
どうして、4億を数字にした方がいいのかな?
400000000って書いたら、次に100倍に変える時
わかりやすいのかな?」と、ゼロを指しながらたずねると、
「わからない~」と首をかしげて、考えているように見えません。
(☆ちゃんは、具体的に目で見える形にしないと、100倍、10分の1などに
数が変化することがわかりにくいので、この形で解くようにしています)

☆ちゃんは、問題を解くのに、
「こういう理由で、こういう方法で解くのか」という理由を把握せず、
解く手順を丸暗記して解くか、
お母さんや学校の先生の指示があるまで、「わからない」というポーズを取っていて、
指示が出たら、その通りするようにしています。

小学3年生くらいまでの問題は、教科書に出てきた問い方のまんま
テストになっていることもよくあったようですが、
4年生ともなると、理由がわかっていないと、
どれにどんな方法を使ったらよいのか、ごちゃごちゃになってしまうような問題ばかりです。

でも、「これはこういう理由で……」と☆ちゃんの手にあまる説明を
繰り返しても、
聞き流すだけでしょう。

☆ちゃんがわかるレベルで、短くシンプルに、
どうしてそのような方法で解いているのか、
理由を説明する必要を感じました。
また、理由を問いかけていくことも
大切に思いました。

☆ちゃんは、よく「わからない」と言います。
でも、「どこが、わからないのかな?」と問いかけると、
首をかしげるだけで終わりがちです。
今回のテストでも、
「5枚のカードで5ケタの数字を作ります」という説明の、
5ケタの意味がわかっていなかったのですが、
自分がわからない部分を指摘して、たずねることができないのです。

ですから☆ちゃんの「わからない」は、
「指示を出して」というサインで、
「わからない」内容について説明を求めているわけではないのです。

5枚のカードを用意して、
「2ケタで数を作ってね」と具体物を通してたずねて、
問題文の「ケタ」というのが、何かわかっていなかったことに
こちらも気づけたのです。

そんな姿を見て、「わからない」と言った時、
ただ、解く手順を教えるだけでなく、

何がどうわからないのか口で伝えることができるように支援して、

わからないものを、わかろうとする
気持ちを育てていくことも大切だと感じました。

理由が言えないし わからないと困るのは、
勉強面だけではありません。

生活の場面でも、理由の段階を少しずつ向上させていく
工夫が必要なのだろうなと感じました。




台風と明日、明後日の科学クラブについて

2011-07-19 14:06:11 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子
明日と明後日の科学クラブにいらっしゃる方々にご連絡します。
もし、台風が心配なので日時を変更したいという方々のために
8月3日10時~12時のレッスン時間を設けています。
(希望が多い場合、他の一日も用意しています)

日時の変更を希望する方は、コメント欄にハンドルネームを書き込んで
ご連絡ください。

アスペルガー症候群の子 と テスト 1

2011-07-19 13:47:49 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子
小4のアスペルガー症候群の☆ちゃんは、
お家での学習や
虹色教室でわからない問題を習っているときは
そこそこできるのに、
テストだとさっぱり点数が取れない状態でした。

そこで、学校でしたテストの間違えた答えを隠して
テストをする様子を見ることにしました。


4年生のテストでは、問題のレベルはそれほど難しくないものの、
同じパターンの問題を繰り返し問う形ではなく、
1問、1問、解き方が異なる問題がバラバラと入っていました。

頭を切り替えることが苦手な☆ちゃんは、
ひとつのパターンだけを繰り返すときなら すらすらできるものも、
いろんな問題が次々出てくるのに混乱して、
さっぱりお手上げ状態になっていました。

☆ちゃんのテストで力が発揮できない理由は、自閉症の方の特徴である
シングルフォーカスによるものが大きいようでした。

シングルフォーカスというのは、全体にバランスよく注意を向けることが難しく
細部に強く注目してしまう特性です。

複数の情報の同時処理ができなくて、
問題の背後にある意味や意図を汲み取ることが困難です。



☆ちゃんは、テストの最中に、次のような理由で、
途中で 手をとめてぼんやりしていました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


◆前の問題から次の問題へ頭が切り替えられない

◆次に自分は何をすればいいのか、自分の力で決められない
具体的な作業が思いつかない。

◆どこを解いているのかわからなくなる。

◆わからないときには、問題を見直すということが思いつかない

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そこで、☆ちゃんに、問題を解く前に、
「どんな方法で解くといいと思う?」と
言葉で説明を求めました。

すると、☆ちゃんは、「うーん、わかんない」と首をかしげています。

☆ちゃんのお母さんは、☆ちゃんが首を傾けて困惑した態度をしめすたびに、
「ここの問題を読んで」
「ほら、0をつけて」
「ここに数字を書いて」
具体的な指示を出していました。

どうも☆ちゃんの「うーん、わからない」は、お母さんからの
具体的な指示を求めるサインになっている様子です。

私は☆ちゃんのお母さんに、
「いきなり自分で考えるよう突っぱねる必要はないでしょうが、

☆ちゃんに与える指示を 少しずつ不親切にして、

☆ちゃんが ちょっと自分の頭で考えなくてはならない場面を作ってください」

とお願いしました。

不親切という言い方はおかしく聞こえるかもしれませんが、
要は、具体的に、「これして」と指示するのではなく、
「次は何をするんだった?」とたずねたり、
「ここを見て」と指さすのでなく、
「どこを見たらいいのかな?」とたすねたりするなど、
自分で考えて行動できるようになるよう、補助の手を抜いていくことです。

そうして、
「わかんない」と☆ちゃんが言えば、
「わかんないときは、どうすればいいんだった?」とたずね、
「そうだ、問題をもう一回読むんだった」と本人が言って
自分で作業に戻れるくらいを目標にします。


次回に続きます。

食べることや ドライブや 音楽が 好きな子を やりとりする遊びに誘う方法

2011-07-19 13:07:44 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子
次のような質問をいただきました。

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はじめまして。何度も勉強になり実行させていただいてます。
わが子は自閉症で手先も自信をなくすのか、ほめてもいろいろな教材道具で興味を広げようと思ってもすぐやらないと拒否したり怒ります。
好きなものを食べることやドライブや車で聞く歌はすきです。
虹色教室のように好きなものから・・ままごとや料理、見立て遊びと違うものに置き換えて遊びにつなげたいのですがうまくいきません。なおみ先生。食べること、ドライブ、歌を聴くで遊びややりとりにつなげる方法を教えてください。お願いします。

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歌を聞くのが好きな子には、
歌いながら手遊びをしてみせたり、
木琴や鉄琴や子ども用のピアノなどで、その曲を弾いてあげると
いいかもしれません。
もし親御さんが楽器を弾くことができない場合、
タンバリンやカスタネットでリズムを取るだけでもいいです。

とにかく、ただ機械から流れる音楽を聴くだけにせず、
「真似てみたいな」という気持ちが起こるような
人の動きを通した遊びを、増やしていくのがいいと思います。

そうして、適当に楽器を鳴らすことを
楽しめるようになったら、
次には、簡単な楽器を作る工作(紙皿に鈴を貼っただけのタンバリンや、ペットボトルのビーズを入れたマラカスなど)
を見せるのもいいです。

自閉症の子たちには、最初からアウトプットを期待せず、
見せて、慣れたり気に入ったりしてもらうことを
第一に活動するといいと思います。

初めてすることや、先の見通しが立たないことを
するのは嫌がることが多いからです。
何度も見せていると、自分からやりやがるように
なることはよくあります。


好きな物を食べることが好きというお話ですが、
好きな物を容器に入れて、ふたをかぶせ、
「何が入ってるのかな? 何が入ってるのかな? トントントン」
と言ってから、ふたを開けたり、
「お店屋さんです。どちらにしますか?」と好きな物とそうでない物を
並べて選ばせることも、次の遊びにつながります。

ただ、自閉症の子の人と関わる能力はずいぶんちがいますから、
大人が誘って、活動に導くことが難しい子もけっこういます。

そんなときは、子どもが夢中になっている行為を、
少しアレンジした遊びを大人が後から追う形でするうちに、
大人がすることに興味を持つうようになることもあります。

たとえば、物を手から離して落とすのを喜んでいるのを
見かけたら、ハンカチやティッシュを落として、
「ちょうちょ、ちょうちょ」と言いつつ、
下で受け取る遊びもできます。


ドライブが好きということでしたら、
段ボールに入って、「ブー」と車に乗っている
見立て遊びもできます。
気にいったら、ドライブ時のドライブスルーを利用した体験や
高速券を購入したり、
パーキングに寄った体験などを
遊びに取り入れるのもいいでしょうね。

1,2歳児の工作素材にピッタリな紙皿工作

2011-07-19 09:08:14 | 工作 ワークショップ


1,2歳児の工作素材に紙皿はピッタリです♪

色をつけたり、ちぎった色紙をのりで貼るだけで、
「ホットケーキ」「ピザ」などの
食べ物に見立てることができます。

丸いシールで目をつけると、
動物の顔にもなります。

短いひもやボタンやスパンコールなどを
たくさん用意して、
自由に貼らせて、
「たこ」「くらげ」「もじゃもじゃ」「おばけ」など子どもが好きなように命名して楽しむ
独創的な作品を作りもできます。