虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

飽きっぽい子、我慢が苦手な子に根気をつける方法 8

2011-05-07 13:49:03 | 日々思うこと 雑感
「感情」が優れている子たちが、親の考え方の偏りや視野の狭さに
不満を抱いているとき、
成績が上向きだしたとたん、
だらだらとやる気のない態度になったり、
落ち着いてさまざまな課題に取り組んでいたかと思うと、
親の呼びかけにが聞こえていないかのように好き勝手に振舞ったりすることがあります。

ユングによると、「思考」と「感情」は何らかの判断を下す合理的機能で、「直観」「感覚」はまず自分のうちに取り入れる非合理的機能なのだそうです。

「感情」を優越機能に持っている子は、
与えられた内容を、受け入れるか、拒絶するか、一定の価値を自分で与えます。

「思考」が優れていると、
頭で考えて知的な判断を下すのですが、
「感情」が優れていると、好き嫌い、心地よさ、満足不満足、見た目など
で主観で価値をつけて判断するため、
本人がいったん嫌だと感じたら、それは、誰がどう説得しても、
「やっても意味のないこと」になってしまいがちです。

それが、以前の記事で、
「虹色教室で、このタイプの子が勉強を拒絶する場合、
私の力では改善しようのないケースが何度かありました。」
と書いた理由のひとつでもあります。

子どもは柔軟性があるので、ただ知的な課題が嫌だと思い込んだだけなら、
このタイプの子であっても、働きかけ次第で、だんだん学習に親しませていくということはできます。

けれども、そこに、
親の考え方や価値判断に対する
子どもの不満や怒りが隠れているときには、
感情が優れている子たちの場合、他のどのタイプの子より、
こじれて改善するのが難しいように感じています。

よりわかりやすい教え方をするとか、
より良い教材を与えるという方法では、解決しようがないのです。

幼い子でしたら、親子関係の問題に本気で取り組まない限り、
親が何かさせようとするたびに、
これ見よがしに、ぐずぐずと不機嫌な態度でちょっとやっては、
「もうしない」と放り出したり、
まるで親が眼中にないかのように好き勝手に何かしはじめては、
すぐに放り出して、次の作業をしたりする態度を
改めようとはしないと思います。


感情が優れている子たちは、自分の好悪、快不快、満足不満足にとても敏感です。
ですから、親が自分でも気づいていない「考え方の偏り」を
告発するかのような
反抗を続けることがよくあります。

たいていの場合、親自身が非常に苦しい思いをして
自分の考え方の幅を広げない限り、
どんなごまかしもきかない印象があります。

よくあるのは、親御さんが感情が優れているために、
自分の主観的な好悪の判断で、「学歴や成績こそが人の価値を決める」と
いう捉え方のもとで、子育てしている場合です。
(思考が優れている親御さんも、いろいろ論理的に考えた末、同様の判断を下して子育てして、
感情型の子が心を閉ざすケースをよく見かけます。)

感情が優れている子たちは、
親がさまざまなものに
どれくらいの価値を置いているか、
たちまち見抜きます。

そして、自分自身の優れている部分は、親に認めてもらえないし、
何の価値もないと思い込むときがあります。

感情が優れている子たちが求めているのは、
無条件で自分の価値を受け入れてもらうことです。

何ができようとできまいと、

「自分自身にはすばらしい価値があり、
親の目にはいつでも自分が
かけがえのないすばらしいものとして映っている」

という確信です。

感情が敏感なこのタイプの子たちには、
子どもだましの表面的な褒め言葉は通じません。


感情が優れている子たちは、
人と人が支えあって生きていくために必要な
さまざまな能力を持っています。
まだ3つくらいの子でも、
配られたおやつが足りないお友だちがいれば、分けてあげようとする子が多いです。

親御さんが病気になれば、
心から心配して介抱します。

お友だちとはすぐさま打ち解けて、その場を楽しく盛り上げます。
その場にいないお友だちや家族のことも気にかけて、
「○○はどうしているかな?」とたずねます。
「きっとおいしいおやつを食べているんじゃない?」「きっとコーヒーを飲んで、今日は暖かくて気持ちの良い日だなって思っているのよ」と言うと、
幸せそうな笑顔を浮かべます。

感情の優れている子たちのこうした愛らしさや気配りは、
それだけで価値があるものです。
勉強ができたり、スポーツが上手だったりすることより
見劣りするものではありません。
親がそれに気づいて、子どもとの良い関係を作りはじめると、
このタイプの子は持ち前のバランスのよさを生かして、
さまざまな分野でしっかり自分の力を発揮していくことと思います。

次回は感覚の優れた子についての補足記事を書きますね。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ゆいみゆママ)
2011-05-08 17:42:45
年少の次女のみゆがこのタイプです。

私が腹痛で起きられなかったとき優しく布団をかけてくれたり、お姉ちゃんとママと自分を描いた絵をパパが見て「パパの絵は?」と聞かれたら「お風呂から上がったら書こうと思ってるよ」とパパが悲しまないように話したりしてました。

こうした気配りをとても素敵なことだと親の私が忘れずにいれるようにしていきたいと思います。幼稚園の今は素直に素晴らしいなぁと思えていますが、勉強やスポーツの重要度が増してくる中学や高校のころまでしっかり心に留めておけるようにしなければと思いました。

感情型の子はなんだかとても癒される愛らしい存在ですね。
返信する
Unknown (ikko)
2011-05-08 09:35:05
毎日、とても興味深く読ませていただいています。
私はずっと自分は直感型だと思ってきましたが、もしかして感情型かも!
直感型の感情寄り?(そんなのある?)
ともあれ、自分の分析は大事ですね。
子育てする上で、注意する点などとても勉強になります。
返信する
yappari面白いです♪ (ひなママ)
2011-05-07 22:18:52
タイプ論・・・学生時代にかじりましたが、若かった・・・という事も有り、正直胡散臭いなぁ・・・なんて思ったり・・・^^;

でも、ある程度の年齢に達し、子供を育て、自分にとても近い存在でありながら、自分とは全く違う「我が子」の性格を観察する機会が増え、そして何よりも奈緒美先生の経験に基づくこれらの記事を読む機会が多くなり、胡散臭いなぁ・・・と思っていた感情が薄れ、「うんうん、そうなんだよねぇ・・・」と、妙に納得している自分にびっくりしたり・・・@@
人間、変わるものです・・・^^;

きっとわかりやすい文面で書いて下さっているのですんなり頭に入っていくんでしょうね・・・学生時代に今みたいな感情が芽生えていたら人生変わったかもなぁ・・・^^ 

返信する
Unknown (べら男)
2011-05-07 20:51:07
以前の『子どもの個性と学習タイプ』の記事等もとても興味深い内容が多く、印刷してある記事もあります。
本を読んだりして勉強しようとするとユング関係の本は多い&難解なものも多いので、
実体験も含めて要約してくださると身近に感じられます^^
家族のタイプも予測が付くようになると、子育ての方向性も見えてくるような気がします。

息子は外向直感で、親の私達は感情型です。
私達というストッパーがいなくなれば、今よりもマイペースでやんちゃになりそうな予感がします^^;;・・・

私自身は多分内向感情型で、この記事に例として取り上げられている子の気持ちがよく分かります。
人の感情がなんとなく読めてしまいますし、
お世辞なんて一番腹立たしい事だと思っております。
弱きを助けたい!、というような一面もあるのですが、
それを大げさに誉められたりするのも嫌になるんです。
しかし、本心で喜んでくれるお年寄りや動物に感謝されるととても癒されます。


テスト等の点数が下がる時は、その教科の先生と合わない場合が多かったです。

母親が直感型で、恥ずかしげもなく心の底から子供を誉めるタイプでしたから、
親のせいで勉強に躓いた経験はありません。

が、親の作った自慢の料理をいっぱい食べてくれる子は気持ちよくて大好きだ、というのがいつも伝わってきてしまい、
喜ばせる為に『もりもり食べる元気な子』キャラを作り、バクバク食べてはぶくぶく太っていました (笑)


私の場合はただの天邪鬼になってしまっておりますが、
上手く育つとボランティア精神の強い優しい人格になるのだろうな、と思います。








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