虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

レンズーリの拡充学習について

2017-01-21 17:28:07 | 日々思うこと 雑感

Follow your bliss というブログをしておられるtamakiさんが世界にたった1人のこどもの個性や特徴に向き合う子育て

のなかで、『虹色教室が目指しているもの♪レンズーリの拡充学習』の記事を紹介してくださっています。

この記事は、8年前に書いたものですが、現在も算数学習とともに、この考え……

★自分で選択した分野で才能を広げて豊かにする機会

★知識の生産者になる(創造的に成果を生む)機会を支えること

を土台に教室での活動を深めています。

拡充教育は、発達に凹凸がある子たち、ギフテッドとされる資質を持つ子(ギフテッドの教育についてはマイコーさんが、ユア子育てスタジオのCategory Archives: ギフテッド教育のコーナーでくわしく解説しておられます)にとっても重要な意味を持つと考えています。

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『虹色教室が目指しているもの♪レンズーリの拡充学習』の過去記事です。

虹色教室のレッスンは、レンズーリの提案するSEM「全校拡充モデル」という子どもの個性や才能を伸ばすプログラムを参考にしています。

アットホーム な環境で、比較的 自由が利く利点を利用して、そうした理想により近づこうと努力しているといってもいいです。

また子どもの潜在的な能力を本当の意味で伸ばすこうした教育を紹介することで、多くの子どもたちが、家庭でそうした教育の恩恵を得ることができるようになることを願ってもいるのです。

拡充学習は自閉症スペクトラムの子たちを教育する方法としても、非常に優れていると考えています。

レンズーリの考えは、子どもは学校で学ぶ画一的な学習とは別に、

★自分で選択した分野で才能を広げて豊かにする機会

★知識の生産者になる(創造的に成果を生む)機会

も必要というものです。私もその通りだと思います。

子どもは自分の興味のある分野で学習活動に参加する。

興味を共有する他の子どもや大人と情熱を分かち合う。

自分の能力につりあう深さとペースで、その興味を追求する。

興味ある分野に関係する成果を選択する。

直接的な探求者になる。

という時間や場が必要なんですね。

今、子どもにとって勉強が面白くないのは学びの中で他の子と共鳴しあう他人と響きあうという熱~い部分があまりにないからだと思います。

人が大金を出して流行を追うのも、今となればやる気が起こらないファミコンゲームにかつての子どもたちが熱狂したのも、互いを意識しあう人がいるからです。

物だけが与えられて、一人で身につけたり、一人で遊んでも面白くないはずです。

子どもの学習が、コツコツするひとりの作業で他の子に負けない、他の子より先に進んでおく…

という友だちと響きあうのではなく「出し抜く 馬鹿にする 引け目に感じる」といったゆがんだ思いばかり抱いて努力するものなら、学習そのものに冷めたしらけた態度になっていっても仕方がないことです。

また、自分の能力につりあう深さとペースで、その興味を追求する。

という経験の大切さを無視していると、能力の高い子が、だんだん停滞してくる原因になるのではないでしょうか。

レンズーリの提案する拡充学習は、学校でするとなると不可能とも思える一大事ですが、家庭でするならちょっとした空き時間にお金をかけずにやっていけるようなことばかりです。

拡充の幅をより広げるためには、おじいちゃんおばあちゃんや近所の子の協力もいるかもしれませんが、アイデア次第で何とでもなります。

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『J.S.レンズーリの拡充学習について』

レンズーリの本は学校教育について書かれたものですが、

私はレンズーリの考えを幼児教育から取り入れて、子どもの潜在的な能力を多角的に捉えて育てていくのなら、全ての子どもが、すばらしい成長を遂げてくれるものと考えています。

幼児を持つ親御さんも、「拡充」学習に興味を持っていただけたらうれしいです。

『個性と才能をみつける総合学習モデル(J.S.レンズーリ)』の中で、

公教育システムは、ゆっくりだが確実に悪化して、低学力や満たされない期待、敗れた夢の大規模な倉庫になっているのだ。

学校教育の「工場モデル」(規格どおりの製品=成果を効率よく生産することを目標とする)によって、現在の学校が直面している目に見える危機が生じたのだが、

その学校教育モデルを用いるかぎり、そのモデルによって生じた問題は克服できない。

と述べています。

レンズーリは、

★「すべての」子どもに、広範囲の高度なレベルの拡充の経験を提供する。

★そういう経験への多様な「子どもの反応」の仕方を、個人や小集団としてフォローアップをするための足がかりとする。

という新しい教育のあり方を提案しています。

こうした考えを取り入れた海外の学校では、子どもの能力、興味、学習、表現スタイルの好みについての情報を体系的に集め、「全才能ポートフォリオ」という形で記録しているそうです。

全才能ポートフォリオでは、小学生であっても興味の分野の欄に、工芸、演劇、販売、経営、物理、作曲、コンピューター…といったものまで書き込まれています。

学校は自分たちのする授業でだけ子どもを評価するような偏った子どもの見方をしていないのです。

先生が絶えず子どもの得意な分野に関心をしるして、情報を収集し、情報を更新しています。

また、思考スタイルは

・分析的
・創造的
・実際的
・立案型
・順守型
・評価型

のどれにあたるのか、よく観察されていて、

日本では無視されるような創造的発明的に考える子や、日常知恵が働く実際的な考え方なども尊重されています。

表現スタイルは

・文書発表
・口頭発表
・工作
・討論
・展示
・演劇
・美術
・図示
・販売
・奉仕活動

とその子の個性的な良さが理解される形で評価されています。

授業スタイルは

・暗記
・ドリル
・友達同士の教えあい
・講義
・講義と討論
・指定された独立学習
・指定されない独立学習
・学習、興味センター
・模擬、役割演技、演劇、指導による空想
・学習ゲーム
・模倣的レポートやプロジェクト
・探求的レポートやプロジェクト
・実習
・見習い

と、さまざまな授業の中で子どもの様子を評価するので、大人の物差しによって子どもが決め付けられた評価を受けてそのために勉強が嫌になっていく…ということがないのです。

そうした教育や子ども観を一部でも取り入れた学校……すてきだなぁ~!と思いますよね。

きっと自分はだめな子なんだ~と思い込んで勉強嫌いになる子はほとんどいないと思います。

でも日本の学校でこうした柔軟な教育が受け入れられていくのは難しい~とも感じてます。

せめて親はこれくらいさまざまな視点から子どもの能力や才能を見てあげたいですよね。

学校や塾の成績や授業態度で子どもの能力を決め付けるなんてばかばかしいです。

ひとりの人というのは本当に多彩な才能を秘めた複雑な存在なのですから…。

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教室では、ひとりひとりの個性と才能に向き合い、それを発展させる手伝いをずっと続けてくるなかで、拡充学習を成功させるための知恵をいろいろと蓄えてきました。

次回は、それについて、書いていこうと思います。