虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもの個性にじっくりと関わること

2016-04-02 20:47:29 | 子どもの個性と学習タイプ

Aくんはやんちゃで衝動性が強くひとつのことに集中できない一面と

秩序のある美しいものが好きで完璧主義で好きなことに深く集中する一面という

正反対の性質を併せ持った男の子です。

同年代の子といっしょの時はわくわくするあまり気持ちが高まって

自己コントロールがききにくくなるため、

個人レッスンに切り替えて、Aくんがやりたいことをとことんやりつくすことが

できるような環境を用意するようにしています。

 

そうして、Aくんという子とじっくり関わってみると、

この子は面白い子だなぁ、賢い子だなぁ、

やんちゃさの背後にこんなに繊細で優しい性質が隠れていたんだな、

ちょっとした刺激に影響されやすくて、おふざけ全開モードになっている時は

遊びの成り立ちにくさが気になっていたけど、

環境次第で上手くいかないことが続いても何度もチャレンジしなおすほど

エネルギッシュにひとつのことに集中できる子なんだな、

とAくん独自の魅力が浮き彫りになってきます。

 

この日、Aくんが興味を持ったのは、他のグループの子が作って帰った

警察署の車を上らせていくための坂の部分でした。

その上にビー玉を落とす仕かけを取りつけて、

大きいサイズのビー玉を落として遊びだしました。

 

Aくんは実験が大好きです。

他の子らとブロックでミニ四駆のレース場を作った際、

ゴールのトンネルにティッシュペーパーを挟んでおいたら、

車がそれを突き破って走っていった話に強い関心をしめしました。

ビー玉を滑らせる坂の途中にトンネルを作り

ティッシュペーパーを挟んでみることにしました。

 

突き破って滑っていくのかと思いきや……この通り。

とても感心したのは、

もっと高いところからビー玉が落ちるようにしたらいいんじゃないか」

「もっとビー玉をたくさん転がしたらいいんじゃないか」

と試行錯誤するAくんの根気とていねいさ。

何度やっても上手くいかなくても、驚くほどへこたれないし、

それは熱心に、条件をひとつずつ慎重に変えていきました。

どの条件でティッシュペーパーが破れるのかわかった後で、

ビー玉の落下装置にアルミ箔をはさんでみることにしました。

はじめ、簡単に破れてしまったのですが、

Aくんの「アルミ箔をボコッとさせて、ビー玉が入るようにしたら?」という意見を

取り入れて、アルミ箔をピンッと張らずにブロックに挟んだところ、

ビー玉を落としても穴が空きませんでした。

 

面白かったのは、

意外なほど予測がはずれてしまうことです。

見た感じこだろうと踏んでいても、

実際にやってみると思ってもみなかったような結果を得るのです。

 

 

 先月のブロック講座まではAくの作品は平面が主でしたが、

ほんのひと月ほどで物を立体的に組み立てるのが得意になっていました。

あってという間にビー玉を落とす道具やサッカーゲームなどを

ブロックで作っていました。

 

Aくんの個性にゆったりと関わったことが功を奏したのか、

算数の学習でもすばらしい集中力と実力を発揮してくれました。


簡単なピタゴラスイッチの装置

2016-04-02 07:11:53 | 理科 科学クラブ

ピタゴラスイッチの装置作りは、どの年齢の子にも大人気の遊びです。

遊ぶ際は、作品全体として立派に仕上げるよりも、

それぞれの子が見つけた「こういう風にしたい!」という

思いに焦点を当てて、上手くいく方法を探って試行錯誤することを大事にしています。

 

この日、新小4のAくんと新小1のBくんが興味を持ったのは、

赤いボタンを押すとビー玉が飛び出すしかけです。

Aくんが、ふと思い立って赤いボタンにブロックをぶつけたことから

「こんな風にしたい!」のアイデアが生まれました。

 

男の子って、「バリン!バシャン!ガシャッ!バーン!ドーン!ドカーン!」なんて

ぶっそうな音がしそうなことが好きですよね。

物は大切にしなくては……。

それに、危険な真似はしちゃダメですが……。

でも、「好き」「面白い」と感じる気持ちは、創造の原点でもあります。

 

Aくんは、ちょっと高い位置からブロックの塊を赤いスイッチの上に落としてみて、

ビー玉が飛び出すか確かめました。それから、先に作っていたビー玉用

レールの先にブロックを置いて、

転がってきたビー玉がブロックに当たる

→ ブロックが下に落ちて

→ スイッチボタンを押す

→ビー玉が飛び出して、次のレールを転がっていく

という流れをイメージしていました。


が、簡単に成功しそうで、現実は厳しい。

ブロックの塊がスイッチに当たっても、ビー玉が飛び出すことはありません。


パワーが足りないのならと、ブロックのサイズを大きくしても、

衝突と同時にブロックがバラバラになるだけでビー玉は動きません。

「レールを高い位置に設置になおして、もっと高い位置からブロックを落とすように

したらどからしら?」と提案した時、

Aくんがいいことを思いつきました。

ビー玉が当たったブロックが落ちる時、

↓の写真のように傾いて180度回転して落ちていくことから、

ボタンに衝突する面積ができるだけ小さくなるようにブロックの形を工夫するのです。

Aくんは面積を小さくすることでどんな効果があるのか

正確にわかっていたわけではありません。

でもそれが大成功。 

 

落としてみると、こんな感じに回転した後、ブロックの先がボタンに

当たってビー玉が飛び出していました。

 

スタート地点。

 

衝突してビー玉が転がっていった後。

 

温泉卵(4つ入り)のパックを使って、こんな装置も作りました。

ビー玉をセットして回転させると、穴から落ちて、ビー玉がスタートします。