ユースホステルでの晩の勉強会で、
遊びや日常のどんな場面で、数学的な考え方に触れる機会があるか話しあいました。
子どもいっしょにとさまざまな考え方に親しむアイデアを共有しました。
その時期、その時期、子どもにヒットすることや、子どもがしつこいほど繰り返したが
ることは、その子の能力を最も成長させてくれるものであることがほとんどです。
先の記事で書いた「絶対、違うに決まっているでしょってことでも、
ちがうよ、こうだよ、と説明しても、少しすると、また同じことばかり言う」という
自閉症のAくんにしても、こちらが、特性によるこだわりだと一蹴せずに、
「抽象的な意味を伴う言葉の意味をわかった、そういうことか、と自分の中に落とし
こめるような体験を欲している」「言葉に対して敏感になっている」という
受け止め方をして、気になる言葉をさまざまな場面で目で確認し、体感できるように
してあげることは知力の大きな成長につながると考えているのです。
Aくんにとって、「大切」とか「重要」という抽象的な言葉は、耳で聞くだけでは
わかりにくいものです。
でも、Aくんが大切にしているものを、「大切だね。これは大切」と言いながら、
大切に扱うボディーランゲージをし、ゴミとして捨てるものを、「大切じゃない。
こんなの大切じゃない。」と言って、ぞんざいに扱う真似をするすると、
Aくんの中に、具体的な大切という言葉のイメージが蓄積されていくかもしれません。
重要などもそうです。
お母さんの話にあった鳥の羽根の話も、
「人が落としていったハンカチは拾いに戻るけれど、鳥が落としていった羽根は
拾いにもどらない。なぜなら、人間が大切じゃないなとポイッとゴミ箱に捨てたものと
同じで、鳥にとってもういらないものだから。
それに鳥は落としたことに気づいていないかもしれない」といったことをテーマにした、
ごっこ遊びや人形劇遊びをするとAくんが今敏感になっていることに寄りそうことに
なるのかもしれません。
発達の凹凸がない子たちは、Aくんのようにひとつのことにこだわって
同じ言葉ばかりを繰り返すようなことはありませんが、
その時期、その時期で、非常に敏感になっている思考のあり方があるし、
月齢ごとにより抽象化した概念に関心を寄せるようになっていることを
遊びや会話の中で感じます。
次回に続きます。