前回までの記事にこんなコメントをいただきました。
ーーーーーーーーーーー
いつも多方面から子どもの成長について考えておられる奈緒美先生に感服しながら、
記事を読ませて頂いております。
今回の記事に、「少し難しくなるとやりたがらない子」は年相応の「向上心」が育って
いないように見える子がいるとありました。
確かに、挑戦して、成功するという小さなハードルを越えることを繰り返した経験が
ないと、なかなか向上心に繋がらないのかもしれませんね。
高学年の息子の友達を見ていて思うことは、自尊感情が高すぎる子も、新しいこと、
自分が苦手とすることにチャレンジしない傾向にあるように思いますが、
どうでしょうか?できない=恥ずかしい、格好悪い。いつも褒められる自分でいたい、
優秀な面だけをみんなに見せていたい。という思いがあるように見えるのですが。
そういう子は、苦手なことに挑戦しないだけでなく、全力で何かに取り組むことも
ないようです。失敗した時に「手を抜いていたから」と言い訳を用意しているようにも
感じられます。息子を含め、大人に近づきつつある子どもの達の心は難しいですね。
見守るべきか、親として背中を押してやるべきか、見極めが難しいです。
ーーーーーーーーーーー
自尊感情というのは、長所と短所、できることとできないことを全部含めた
自分をかけがえのない大切な存在だと感じられることです。
自分の意見を言って自己決定でき、自分を評価し受け入れ、人との関わりの中で
しっかり生活していることを実感していることでもあります。
親御さんの中には、「子どもの自尊感情を高めるために、習い事をさせてできることを増やしてあげたい。他の子はできて自分はできなかった……という体験をさせると、自尊感情が低くなるかもしれないから、みんなができることは、前もって練習させてできるようにしています」
とおっしゃる方はいます。
そうした大人の考えのもとで身に着けさせた「自尊感情だと思っていたもの」は、
先に書いた本当の「自尊感情」とは似ているようで全く別物です。
「長所があるから、自分は愛されている」「できないと、認めてもらえない」
「自分自身の良い面しか認めたくない」といったあるがままの自分に
価値を見いだせない心に基づいたものですから。
コメント主さんの目に、自尊感情が高すぎるように映る子は、おそらく、
自信満々に振舞っているけれど心の底は不安でいっぱいで、防衛心が強い子だったり、
完璧主義で強迫的な性質の子が、大人の期待に無理して応えてきたけれど、
自分の願望ややりたいことがわからない子だったり、
今までの成功から自分をすごい子だと信じ込んでいるけれど、
メタ認知力やさまざまな視点から物を眺める力が育っていないために
自分を正しく評価できなかったりする子なのかもしれません。
そうした子は、周囲の評価が気になって、優秀な面だけ周囲に見せたがるし、本気を出した上で失敗すると恥ずかしいので、何に対しても全力投球することを避けたがります。
子どもに自信をつけてあげようと一生懸命、大人ががんばった結果、
そうした自尊感情が高いように見えて実は自尊感情がとても低い子が
量産されているんじゃないか、と感じています。
自尊感情が高くなる関わりについては、また近いうちに記事にさせていただきますね。