年長の自閉っ子のAちゃん。
少し前に『ピッケのつくるえほん』というアイパッドのアプリを使って
絵本作りをはじめたものの、
画面に絵を置く先からどんどん消していったり、
ピッケを椅子に座らせたりすることだけにこだわっていました。
その間も、Aちゃんがさまざまなストーリー展開に親めるよう
お手本を見せたり、新しい操作を覚えるための遊びを取り入れたりしていたのですが、
毎度毎度、Aちゃんは自分のこだわりに固執していました。
が、突然、大量の絵本を作りだしました。
いっしょにレッスンしている小1の自閉っ子のBくんも
同じような経緯を経て、大量の絵本を作るようになっています。
自閉っ子たちのアウトプットは、
長い間、ゼロだった状態から突然、百に……というほど
急激に変化するので、いつも驚かされます。
「ききゅうのゆは、小さいゆ?ゆうたくんのゆは大きいゆ?」
といった質問をしながら、上手に文字を打ち込むAちゃん。
機械の操作手順への理解が早いAちゃんは、リスを気球に乗せる絵を作るために、
「気球の絵を画面に出して+ボタンで大きくする →
リスを出して、気球のサイズにあわせて乗せる →
気球をもうひとつ画面に出して、それをカゴだけの部分に変換し、
すでに作っているリスと気球の絵に重ねて、
気球、リス、かごの重なりが正しくなるように調節する」という複雑な作業や、
「くまに風船を持たせる→重ね順を変えるカギのアイコンを押して、
重ね順を変える→、最後にカギをかけておく」といった作業を使いこなすように
なりました。文字も自分一人で自在に打ち込みます。
Aちゃんは、いつも同じ話を再現したがるという強いこだわりがあります。
こちらが新しい展開に誘おうとしても、いつも自分の中にあるストーリーを
一字一句変わらぬ形で繰り返したがるのです。
が、今回のレッスンでは、りすを気球に乗せたAちゃんに、
「りすくん。待ってよ。ひとりで気球に乗って出かけちゃうの?さみしいなぁ」と
声をかけると、Aちゃんはわたしの声に応えるように、たくさんの風船とくまを
画面におきました。
文字を打って絵本を作るBくん。
Bくんといっしょに合体ロボを作って遊んでいるところです。