虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

常識やイメージの世界わかりはじめることからくる笑いのポイント 4歳児さん

2014-02-14 17:00:31 | 幼児教育の基本

過去記事です。

 

4歳児さんたち(4歳になったばかりの子3人と4歳7カ月の子1人)のレッスンで。

 

数日前、3歳児前後~3歳7カ月の子というこのグループの子たちより

1歳年下の子らのグループレッスンがあったときのこと、

3歳児さんたち、言うことなすことあんまりかわいいもんですから、

それぞれの子のお母さん方は胸がキュンとなった様子で、

帰り際に、「かわいすぎる~」「ずっとこのまま大きくならなければいいのに~」と

口々につぶやいておられました。

 

それに大きくうなずいていたわたしですが……。

それが、それが……、

4歳児さんたちが来たら、4歳児さんたちが最高におもしろかわいいし……。

5歳児さんたちが来ても、6歳児さんたちがきても……小学校高学年の子らが来ても、

やっぱりそれぞれが、思わず微笑んでしまうかわいらしさで……

本当に子どもたちには、日々、癒されています。

 

前置きが長くなりましたが、

今回の4歳児さんたち、ちょっと自分を抑えることができるようになって、

おりこうになってきました。

 

一人の子が魅力的なおもちゃで遊びだすと、ほかのひとりが「か~し~て」と言います。

そこで、「いいよ」と次の子におもちゃが渡るのですが、

その瞬間、別の子が、「か~し~て」と言うもんですから、

おもちゃは再び、次の子の手に。

そうするうちに、最初に遊んでいた子が、最後にそのおもちゃを手にしている子に、

「か~し~て」と言いますから、誰ひとり、1分たりとそのおもちゃで遊ぶことなく

おもちゃがぐるぐる子どもたちの間を回っているということが多々あります。

 

 

わたしが感心した様子で、

「みんな、お姉さんねぇ。お友だちにか~し~て、と言われたときは、

かしてあげるの?」とたずねると、

「そう、そう」とこっくりします。

「あのね、この間、赤ちゃんたちと遊んでいたときに、おもちゃ、か~し~て!と言っ

たら、赤ちゃんったら、そのおもちゃを自分のお口に入れるのよ。

もう一度、か~し~て、と言ったら、今度はポーンとそれを投げるんだから」と言うと、

子どもたちはゲラゲラ笑いながら、「赤ちゃんはね、そういうふうにするのよ~」と教

えてくれます。

「でも、うちの●くんは赤ちゃんだけど、か~してって言ったら、はいっ、てかしてくれ

るよ」と説明してくれる子もいました。

それから、ちょっと誇らしそうに、

「わたしたちは、4歳だから、お友だちにかしてあげるもん」と胸をはっていました。

 

こんなふうに、赤ちゃんたちの行動をゲラゲラと笑っていた4歳児さんたちの様子を、

小学生らのグループで話すと、

「遊びもしないで、かしてって言われたらはいって渡すなんて……!

それじゃ、いつまでたっても遊べないじゃない!」と言って大笑いしていました。

それぞれの年齢で、笑うポイントが違います。

 

4歳児さんたちが大笑いするポイントって、

3歳児さんとはかなり質が異なってくるように思います。

常識やイメージの世界がわかりはじめることから、

ユーモアを感じとる感受性が高まってくるようなのです。

 

今回のレッスンで、子どもたちが木製のおもちゃのケーキに木でできたろうそくを

さして、わたしに届けてくれるというシーンがありました。

このろうそくには、木でできた赤い炎がついています。

わたしが吹いて消す真似をすると、

子どもたちが口々に、「先生、それは、木だから消えないよ」と言います。

すると、「これは、真似だから」とみんなに説明している子もいました。

 

わたしが、「じゃあ、見ていてね。本当に火を消すからね」と言って、ギュッと目を

閉じて、「あっ、見えない、見えないから、火が消えちゃったよ」と言うと、

子どもたちはよほどおかしかったらしく笑い転げながら、

「おもしろい、おもしろい~」と黄色い声を出していました。

 

4歳ともなると、わたしから世界がどのように見えているかを了解して、

そこから生じるユーモアを感じとることができるんだな、と楽しい気持ちに

なりました。


自閉症の子との会話を継続させる工夫 3

2014-02-14 10:12:29 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

朝からたくさん雪が降っています。

自転車のかごに容器を置いて、雪をためています。

冷凍庫で保存して、今度、教室の子どもたちと遊ぶ予定です。

今年の冬を超えるのが難しいだろうと覚悟していた

わが家に来て15年目のセキセイインコが、今日も元気に過ごしています。

ヒナ時代から知っている人には妖怪扱いされています。

 

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自閉症の子との会話を継続させる工夫 2 の続きです。

「言葉を通してコミュニケーションを続けていく前に、

遊びや行為の世界で、相互のやり取りを持続させ、

お互いに影響を与えあったり、それぞれの反応に関心を持ったりする段階が重要だと

感じている」

といったことを書きました。

これについて、★くんとは別の3歳の自閉症の男の子との関わりを取り上げて

もう少しくわしく書かせていただきますね。


3歳の自閉症の☆くん、4歳の自閉傾向が強い●くんのふたりのレッスンでの出来事です。

 マクドナルドのハッピーセットについていた

手品の箱は、自閉症の子たちに人気のおもちゃのひとつです。

●くんも、この箱に入れたアヒルのおもちゃが見えなくなったとたん

強い関心を示しました。

箱の引き出しを閉めて、もう一度引き出す際、2重になっている引き出しの一部に爪を引っかけた

状態で取っ手を引っぱると中に入れたものが見えなくなるのですが、

これをするのにはかなりの巧緻性が必要です。

そこで、わたしが爪を引っかけておくところを手伝って、

●くんといっしょに、「あっ、ないねー、ないない」と中に入れたものは消えた驚きを共有しあうようにすると、

●くんはその都度、ケタケタを笑い声をあげて、わたしの方を見上げました。

 

●くんは何度も、「いっしょにこの手品で遊ぼうよ」と言うように

わたしのところにおもちゃを突き出して寄りかかってきましたが、●くんがこんな風に積極的にわたしと関わろうとしてくるのは

最近、急に始まったことです。

 

少し前までは、☆くん以外の自閉症の子たちとグループで過ごしていたのですが、

他の子らが、人と関わることが上手になり、会話も上達する中で、

●くんだけは、他者を遮断するようにして、物との関わりに没頭していました。

自分で欲しいものを手に入れる知恵がある上、

衝動的に奪い取るようにして要求を満たすことが習慣になっているため、

要求語を教えることも困難になっていました。

 

わざわざ要求を言葉にしなくても、

何かを欲する思いが生じたら、自分で何とかできてしまうのです。

 

「●くんにどのようにして言葉の必要性を感じさせていくのか、言葉を使ってよかった、という体験をさせていくこと。

言葉を使用して、もっとこんなこともあんなことも言ってみようという育てること。」

それがこの1年ほどのレッスンでの課題となっていました。

 

●くんの態度に変化が現れだしたのは、数ヶ月前に、

3人でしていたグループレッスンから

3歳の自閉症の☆くんとふたりだけのレッスンに移ってもらった頃です。

遊び方に防衛的で周囲を遮断するような雰囲気がなくなり、

海外の建築物を模したおもちゃやミニカーが好きな☆くんの遊びに

関心を見せるようになっていました。

 

●くんはゆったりと楽しそうに教室で過ごせるようになり、

自分からわたしのところに

「いっしょに遊ぼうよ」「遊んでよ」と言いたげな様子で

甘えてくるようになりました。

それと同時に、こちらの言葉を真似たり、言葉で何かを伝えようという

意欲が見られるようになりました。

 

次回に続きます。